Books

折々にひもとき、
ココロに残った本たちをセレクト。







 ▲ 博士の近著。表紙に
   バッハの手描き楽譜




 ▲ 私、頭ボサボサ…




 ▲ セイゴオ氏、週に1〜2
   度来店されているそう。
   ニアミスしないかな〜


※佐治博士から伺った「トリビア」。キティちゃんの「サンリオ」は、社長様が山梨出身。「山梨男(さんりお)」が命名由来とか。


※セイゴオ氏を良く知る友人のH御大曰く「重厚感は素晴らしい。ただ初見でこの書籍の配置の構造を理解するには相当なリテラシーが必要」との見解も。…御大、流石。

「佐治博士と丸善探索」new!  2009.11.29

連載を描かせてもらっている「船井メディア」さん主催、池袋の教会で佐治晴夫氏の講演に行ってきました。

ご存知の方も多いと思いますが、宇宙物理学者の佐治理学博士は、NASA特別研究官として無人探査船「ボイジャー」にバッハの曲を搭載したり「1/fゆらぎ理論」等量子力学の第一人者。ご縁あって、親しくしていただいております。

科学、数学、物理、天文学と芸術、文学を、それはそれは見事に融合させる稀有なお方。

オルガニストでもある氏の講演は、大抵パイプオルガン演奏で幕開け。今日はシューベルトの「アヴェ・マリア」やカッチーニの曲を演奏。

「“私”とは何か」という哲学的命題を主軸に、宇宙開闢を電波の「記憶」から探る話、人体の全細胞の全DNAをつなげると地球−太陽間の800倍の長さになるという途方もない話、「プレメンティア」(ラテン語「寛容」の意)があったから、古代ローマ帝国は繁栄を続けた等…。

金子みすず、まど・みちお、谷川俊太郎に聖書の一節も引用しての「佐治ワールド」な2時間でした。何度拝聴しても壮大で繊細、儚く、しかし力強い話に心地良い眩暈がします。

明後日の仙台講演を前に、新幹線乗車まで時間があるというので、お昼をご一緒に。丸善に行かれると伺ったので、それなら…と、松岡正剛氏が先月プロデュースした「松丸本舗」にお誘いしました。

ここはセイゴオのお家芸!的、徹底したレイアウト、レビュー、書棚。例えば中原淳一、「リボンの騎士」、夢二がある棚は「“美”分方程式」なるカテゴライズ。捻った語彙遊びにニヤリと口元緩み。セイゴオ氏も流石だけど、これらを管理するスタッフさんの力量にも脱帽です。

…と思ったら、お話した女性スタッフさんは、セイゴオ氏が主宰する「ISIS編集学校」修了生。あら。私も6〜7年前に学ばせていただきましたので、親近感。佐治博士と「ここなら日がな居ても飽きませんね〜」と頷きあってしまいました。書籍の小宇宙に“遊”(←お分かりになる方、いかほど?)しそう!








▲リズム&スピード感
 ある展開は、訳者の
 力量も大きいです。


 英国ならではの
 ユーモアセンスも
 楽しい(銀行からの
 レター部分など)。

 この本は2001年に
別の出版社から一度出
されていますが、邦訳の
題名のよさ、表紙のおおた
さんの絵のよさ、そして
「翻訳本」特有の長い
言い回しを避け、日本の
女性誌的なノリのいい文体。
全て上手くできてます。
「レベッカのお買いもの日記」

滅多に読まないジャンルです。家人の上司から「面白いよ」と薦められ、図書館で予約。好きなイラストレーターのおおたうにさんの表紙!

資本主義国の単なる「お買物好き女子」の話かと紐解きましたが、成程、買い物依存症者の思考はこうなのね(なんたって原題「The secret dream world of a Shopaholic」ですし)

よく「大金があれば男性は「女性」を、女性は服飾品を手に入れる」なんて言われますが、確かに「お買物」には、女性がかかりやすい魔力が潜んでいる(ちなみに男性がお買物をする場合、コレクター的要素が付随することも)

高級ブランド店で「特別扱い」される優越感、「今は使わないけど、きっといつか使うし♪」という独善的予測、似た物を所有してもまた買ってしまい「いやいや、これは今までとは違うのよ〜」という、ご都合スピリット。どれも思い当たる節があり、自己投影して笑えます(私も数日前服を買い、家人に「また同じようなのを買って…」と呆れられ、上記の如し言い訳)

前述の男女差による「お金の使い方」、これって「放出型と蓄積型」なんですよね(性差で考えても納得…)。「手に入れる」ことで満足(書籍も「積ん読」(汗))。あれこれ品定めして(時には一目ぼれで即!)華やかな包装、洒落たペーパーバッグを下げて帰るあの多幸感。

脳内ドーパミン(放出!)させる依存症は多様で、誰しもその要素は持っていますが(中村うさぎさんは最たるもの)、一方で潜在的な「餓えや欠乏」を補填するように、本能たる女性DNAが底辺で煽動させているのかもしれません。






眺めるだけでもウットリ…
全訳 マルコ・ポーロ東方見聞録」と
「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」


岩波書店からこれらが刊行されたのを知った時「絶対ゲット〜!」と息巻いてました。…でも、値段が150万円!買えません〜!

ですが、私みたいな読者のために用意してくれてあったのが100分の1のお値段。それでも百科事典並みのサイズで見ごたえ充分!すぐ注文したところ…なんとすでに絶版!

時祷書は入手できたのですが、東方見聞録が見つからない。…あってもオークションで高額!

でも「願えば叶う!」がモットーな私、この念のしぶとさ(?)が勝因か、やっと先日安価で入手できました!うれぴ〜〜^▽^!

ちょうどこの頃、中世の絵画がお好きというKさんに、別版の時祷書をお貸し出ししたところ「この青色が素晴らしい!」と、私と同じ感想を話されていました。 そうなの、そうなの!

特に好きな本は「所有すること」にも喜びがあります。私の書棚の「一生モンコーナー」に、また仲間が増えました。









 ▲「水の夢」。
  しっかりサインを
  おねだりしました。
  厚かましい私は作品に
  出てくる動物の「ケー」
  も描いてもらいました。
「どーぞ、いいお仕事を!」森雅之さん

札幌に行き、かねてから尊敬するマンガ家さん・森雅之さんと面会しました。
画風の通りの心やさしきお人柄はやっぱり本物。「ビッグコミック増刊号」で連載中のマンガの下絵をくださり、もう鼻血でそう…! 

彼の描く作品は、ノスタルジック・ファンタジック・せつなさ・ステキな孤独感・うっとりする美意識・誰もが持ちうる繊細な感覚が本当に詩的表現も重ね、見事に描かれています。

初めて森さんの本を手にしたのは十数年前。印象的なのは「水の夢」という作品。

睡蓮の花の本当の名を知っている、内向的な少女(皆は「ハス」というのに、彼女は「ヒツジグサ」と)。ある夜、彼女の夢に少女の姿をした「睡蓮」が現れ「あのね、私、本当の名前を知ってもらえてて嬉しかったよ!」と言うのです。親しくなる二人。別れ際、睡蓮は主人公に「私のしらなかった、私の本当の名前」をそっと耳打ちします。そして主人公の心に残ったのは「生まれたばかりのような幸せな気分」。

こういう詩的な世界をつむげるマンガ家さんってそうそういません。(でも家人はこの感覚がいまひとつ難しいって…クスン) 華々しい活動はされてないけれど、彼の世界観に惚れこむ方は多く、これからも私の心を震えさせる作品を描いて欲しいものです。

近年、いただくお手紙の最後に「どーぞ、よいお仕事を!」と書いていただくのですが、プレゼントしてもらった下絵の綿密さを眺めるたび、私もがんばらねば…と思いました。






巨星堕つ  〜 岡部伊都子さん 〜 

敬愛してやまない随筆家・岡部伊都子さんが4月29日に亡くなられました。数年前、NHK教育テレビの講演で初めて拝見し、ハッと胸打たれ、著書「沖縄の骨」でこのお方の深遠さに震え。

美を求め、平和を求め、戦争を憎み、差別を憎み、おのれの内奥の凛としたともしびを、決して消さなかった人。こんなに真摯に生き抜いた方はまだこの世にいるでしょうか?

初恋であり婚約者であった木村氏を戦争で失い、「加害の女」として自己を責め、贖罪するかのように平和を求め続けた岡部さん。
…今頃は、木村氏と手をとりあい、黄泉の岸辺にたたずんでおられるでしょうか。いえ、そうであってほしいと願うばかりです。

親しくしてもらっているアナウンサーのMさんに本のことをちらりと話したら、読書好きな彼女は、さっそく本を求められ。文体のうつくしさ、ものごとの本質を見つめるまなざし。岡部さんの心持ちの片鱗を少しでも分かち合えたことに嬉しさを覚えました。

私も岡部さんのような凛々しい心持ちの女性になっていきたいと思いました。    合掌







「カロリーヌ キャンプにいく」BL出版
カロリーヌとおともだち

子供の頃、小学館の「世界の童話シリーズ」(金色の箱入り!)の、フランスの童話「カロリーヌ」シリーズが大好きでした。

カロリーヌという少女と、子犬、子猫、子熊…と動物たちがキャンプや宇宙旅行したり。
実家が上記30冊を処分するときも、カロリーヌシリーズだけは難を逃れました。

実はこのお話、ネットで調べるとかなりファンが多いのです。きっと私ぐらいの世代なんでしょう。最近復刻版が出たので早速求めたのですが、なんてことでしょう! 作者・ピエール・プロブスト氏はかなり加筆修正してたのです!ガーン。

朝食にカフェオレを注ぐシーンではステンレスの魔法瓶。当時は曲線美しいポット。動物たちもジャージを着ていたり。ううう。あの当時の絵のタッチが好きなのに!!

…個人的には白猫の「プフ」が好きです。なぜか今でも口癖で「ぷふっ」とつぶやくことがあるのですが(笑)、もしやこのルーツって童話から来てるのかな? 家人にも伝染してるし… 。





「神童」全3巻

さそうあきらさん

図書館で見つけた「富士山」。すごく重くて、でも目が離せなくて。いのち・大自然の象徴でもある富士山は「不死」でもあり、6つの短編はどれも富士山と生と死が縦糸、富士山が横糸に織られている。おぞましいほどの残酷なストーリーも、繊細な絵で濃度が薄まっている感じ。

もうひとつは「神童」。天才ピアニストの少女と音大浪人生のストーリー。最近クラシック音楽を題材にしたコミック(「のだめカンタービレ」は抱腹絶倒!)が人気だけど、この本もそのカテゴリーの中では有名。

天賦の才を12歳で発揮し、その代償?が主人公に襲い掛かるけど、ちゃんと救済の手が差し伸べられているところに安堵感。さそう氏の「コドモのコドモ」も、小学生が妊娠(!)という破天荒なテーマだけど、これも見逃せません 。



岡部伊都子さん

まさに名文筆家と呼ぶべきお方。「沖縄の骨」が名著ですが、他の本もどれも素晴らしくて。どうしたらこんなに新玉のごとき文を綴れるのだろう。梅原猛氏との共著「仏像に想う」しか持っていなくて、でも図書館で何度も借りるのが面倒で、全集を一気買い。1巻ずつひもとくのが至福。



シブサワの本澁澤龍彦について

20歳の時彼を知り、そのドラコニアワールドに耽溺した。「知の巨龍」。黒魔術、錬金術、芸術論、快楽主義、ダンディズム…いつもシニカルでシャイな文体。未だに私はこの龍王国の塔から抜け出せない。



沖縄文化論「新版 沖縄文化論−忘れられた日本−」

天才は雲丹や金平糖のように数多く才能が突出する。本書は民俗学的見地に立ったオキナワが描かれている。芸術の筆が入り、その審美眼、観察力、表現力には圧倒。 斎場御嶽、亀甲墓、イザイホー、ニライカナイ、そして強烈な太陽。



マジカルヘアー「マジカル・ヘアー」
伊藤俊治 1987年 PARCO出版


美術評論で名高い著者が“髪と髪的なもの”を古今東西から梳きだした秀作。 オフィーリアの髪は流れに乗り、クリムト、ムンク、モローのファム・ファタルがなびかせる髪には生命が宿る。女性の髪には巻付け、絡めとる力がある。



now printing!「ライフ・レッスン」
エリザベス・キューブラー・ロス


20年以上前に世界的ベストセラーを呼んだ名著「死ぬ瞬間」の著者が“よき人生を全うするレッスン”を提言。 臨床の場からの声は説得力があり、そのへんの人生論なんてメじゃない。人生は短いから、満喫しなくちゃ!



佐治さんの著書佐治晴夫さんについて

物理学者で数学、天文学にも長けている氏の魅力は、その難解な世界にロマンを見出すこと。素粒子も彼にかかれば「いのちのつぶつぶ」。 自然科学とファンタジーを融合させたマンガを描いている私が何点か作品を氏に送ったところ、お褒めのハガキをいただけて嬉しかった。



供養絵額「供養絵額 −残された家族の願い−」
遠野市立博物館 2001年


遠野地方では江戸〜明治に遺族が寺院に死者の絵額を奉納した。描かれた調度品や着物は美しく、目前には豊富な御馳走。幼子には玩具、女性なら架空の子を描き、彼らがあの世で楽しく暮せるよう描かれている。よもや死者が迷わぬように封印する呪詛か。



生命の樹・花宇宙「生命の樹・花宇宙」
杉浦康平 2000年 NHK出版


「銀花」の装丁などで著名な氏。著書をなかなか手に取る機会がなく、読後に「もっと早く読むべきだった!」と後悔。
意匠、思想、デザインにほどこされた意味をひもといていく氏の筆使い、「…」と余韻を残す文体に私も誘われていく…。「宇宙を呑む」も秀作。



ルナティクス「ルナティックス」
松岡正剛 1993年 作品社


シブサワが「知の巨龍」ならセイゴオは「知の宇宙」。
本書は月にまつわるさまざまな意匠、文学、科学、民俗、コミックが青白く照らされている。
各章に十二の陰暦をつける心憎さはセイゴオのお家芸。一冊ぬかりなく「遊」している。


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