西穂高岳〜焼岳縦走
2005. 8/29〜9/1

穂高連峰の南端に位置する西穂高岳へのコースはロープウエーを利用して登れる為
穂高の入門トレイルとして知られている。 今回はこのロープウエーを利用して
時間短縮を図り西穂岳〜焼岳縦走をゆっくり登山で3泊4日で計画した。

10:00 静岡を出発して松本でおり沢渡(14:00)を過ぎて旧安房峠を目指し
釜トンネルを左に折れていくと中の湯温泉旅館がある。
最後の日(9/1)に焼岳からこの中の湯まで下ってきて一泊するので
ここへ駐車させてもらい受付を済ませる。
丁度上高地から客を乗せてきたタクシーを捕まえ新穂高温泉の今夜の宿
カントリーハウス「つくしんぼ」まで行く。15:00

北アルプスの雄大な山々に囲まれたちいちゃな民宿。
案内された2階の部屋からは槍ヶ岳が望め、24時間掛け流しの豊富な湯量の露天風呂
飛騨牛のステーキや炭火でじっくり焼いた川魚など飛騨の郷土料理を囲炉裏を囲んでの
夕食などアットホームな雰囲気でとても気に入った。
夜は露天風呂に入りながら満天の星を眺めた。

70歳になるつくしんぼの親父さんはこれからの時代はインターネットだと思い
アビバへ通って パソコンを一から習い宿のHPまで作って
今やネットでの予約が主流だと話してくれた。
夕食後一緒にHPを見たり娘さんが静岡に嫁いでいるとか楽しい話に花が咲き
帰ったら メール友達になろうねって約束した。(~_~)
何事にも前向きで教えられるものがいっぱいあった。
おかみさんも花が好きで玄関いっぱいに手作りのドライフラワーを飾り、メニュー以外のお惣菜などを
これ食べてみて〜なんて持ってきてくれたりして、とても気さくで暖かいおもてなしを受けた。
これからも双六山や三叉蓮華などに来るときは、ここを利用したいと思った。

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民宿のつくしんぼ      

しらかば平駅

   笠が岳が見えた     

山頂シンセサイザー   

8月30日 天気 快晴

飛騨の地味噌、飛騨ねぎやしいたけなどをのせたほうば味噌で、ご飯をお代わりまでした朝食を
済ませ宿の親父さんがロープウエーの発着所, [しらかば平]まで車で送ってくれた。
快晴で笠ヶ岳 錫杖岳がくっきり見えて心も躍る。
8/24までは始発が6:00〜で何本も出ていたが台風で一週間遅れて出発になったため
8:40始発の ロープウエーで千石平園地に到着。(2156m)
着いた途端, シンセサイザーの音楽が鳴り響いていて驚いた。
大自然の中でその優しく爽やかな旋律は
シャワーのように体中に染み渡り感動してしまって胸が熱くなってしまった。
聞いてみると日本各地の山へ作曲演奏登山で山頂シンセサイザー紀行をしている
IZANAGIという 人が演奏していた。
CDも売っていたので迷わず買ってしまった(¥3.000)

澄み切ったシンセサイザーの音色が,谷間を越え初秋の風が吹く遥か山々のかなたへ
吸い込まれるように 同化して行く千石尾根を西穂山荘に向かう。
登り始めてすぐ左手に、北アの高峰・槍ケ岳、笠ケ岳の開山の祖とされる念仏行者.
播隆(ばんりゅう)上人の 記念碑があったのでお参りしていく。
175年前、混濁の世俗を捨て、深山幽谷での修行にはいった播隆上人は、槍ケ岳開山を志ざす。
辛苦を重ね急峻な岩壁をよじ登り、念願の頂上を踏みしめたという。

樹林の中の道が続くが途中樹林が切れて西穂が望めた。
いくつもの鋭いピークが重なり手ごわそうだなと 武者震いする感じ。(9:00から歩き始めて10:10着)

西穂山荘について水とお弁当と,雨具だけ入れた軽いサブザックにしてすぐに西穂へ向かう。
丸山を越えると正面に西穂のピーク群が見えるようになった。足元は岩だらけで歩きにくい。
あたりはグリーンのカーペットのようにハイマツの海が広がりお花畑も見られてうれしい。
最初のピーク独標(2701m)で昼食とする。(山荘10:28〜独標11:25)
見下ろすと梓川がきらめいて見え焼岳も低くなっていてずいぶん登って来たんだな〜って思う。

西穂までの間には13のピークがあるという。気合を入れ直して12:00独標を出発。
縦走路の途中には三点支持が必要な岩場がいくつもあり,スリリングな岩稜を緊張しながら登っていく。
先を歩いていた若い女性の単独登攀者が「雷鳥がいるよ!」って教えてくれた。
2羽の子供を連れた親鳥がハイマツの実を食べていた。
近づいても全然逃げないで長いこと眺めていた。


トリカブト     

特別天然記念物の雷鳥

   雷鳥    

トウヤクリンドウ   

遠くから眺めるとすうっと切り立って見えたピラミッドピークを過ぎて尚も岩稜帯の登り下りを繰り返す。
西穂高岳への登りはガラガラとした滑りやすい岩礫の道 最後まで気が抜けない。
やっと西穂高山頂 (2909m)へ到着。(13:10着)
 
ようやくたどり着いた山頂には ついついのんびりしたくなって,下りたくなくなってしまう。(~_~)
山頂に立つと穂高の向こうに槍ヶ岳の頭が見え,奥穂と前穂を結ぶ吊り尾根も迫力ある。
別世界のような大スペクタルを見つめていると,山頂に立った満足感に包まれ,気分が高揚してくる。

前の日にこの西穂で男性が一人滑落して死亡したとのニュースを聞いていたので
帰りは特に事故のないようにゆっくりと下りた。
お花畑にはオヤマノリンドウやイワツメクサ、イワベンケイ、チシマキキョウ、
トウヤクリンドウなどが 咲き乱れていた。

行きに雷鳥を見た地点まで来て探してみたら居た!居た!
又あの親子の雷鳥の親鳥が 見えなくなった子供を探して盛んに鳴いていた。
嬉しくなってしまって又ここでもゆっくりとのんびり雷鳥をいつまでも眺めていた。
山荘に戻ったのは15:30

夕食を待つ間,西穂高登頂のビデオを見ていたらす,ごく怖くてよく登ってきたなと思ってしまった。
ヘリコプターから撮影した山は両側が急な崖で細い尾根だけが続いていた。
もし先にこのビデオを見ていたらとても登れなかったかもしれないと思った。


播隆上人の碑      

この山越えて〜〜

   この岩稜を越えてきた     

まだまだ遠い   

西穂独標      

ピラミッドピーク

   西穂高山頂にて     

星カラス    

槍が望める     

笠ヶ岳

   イワベンケイ    

西穂山荘  

8月31日

5:00 目が醒めると雨 風もある。 朝食を済ませ 雨具、スパッツをつけ出発、雨はあがってきたが
泥道と深い笹やぶのアップダウン 開けると左に霞沢岳右に笠が岳を見ながら進む。
槍見台に着くが西穂岳方面は,雲がかかり見えない。 昨日登っておいて良かった。
あれだけ賑わっていた西穂山荘辺も、このルートでは2人しか会わない。

11:00  下半身泥だらけになって焼岳小屋に着く。 
昼食をとっていると小屋番さんがお茶をサービスしてくれる。
雨具を脱いで焼岳展望台に登る。ワイルドな焼岳が迫ってくる 。
グロテスクな岩の塊、でも足元には高山植物がひっそりとした優しい姿で心を和ませてくれる。
がれた急坂を登り左に回り込むと鞍部に出る。 

黄色くなった硫黄の結晶が岩にこびりついた噴気孔からは今も荒々しい噴煙が上がる 。
硫黄の臭う白い蒸気を横に見ながら山頂へ 。
焼岳北峰の山頂(2458m)に立つと眼下にはコバルトブルーの火口湖、
右には大正池、 生々しい火山活動の痕跡を見ることが出来る。
そして最高峰の南峰も間近に見えた。しかしこの南峰は危険で現在では登山禁止
上高地の上には穂高連峰、残念ながら上部は雲がかかっている。左には笠が岳と素晴らしい景色だ。
山のエネルギーを肌に感じながら、鞍部に戻り中の湯温泉へ向かう。

 

焼岳への登り口     

焼岳はまだ向こう

   ワイルドな焼岳   

コケ庭のよう   

噴煙     

火口湖

           焼岳山頂

焼岳の山頂の岩   

噴煙を背にがれ場を下り 名前の通りリンドウがあちこちに咲き乱れ紫色のような草原の
リンドウ平を過ぎ、 樹林帯を下ると中の湯温泉旅館裏に出る。
焼岳頂上を14:10に出発して17:10 その3時間が倒木、水溜り、悪路の連続。
西穂山荘を朝の7時に出て夕方の5時半まで休みも入れて10時間
クタクタに疲れてしまって体力の限界だった。
唯一つ疲れた身体を癒してくれたのがコケモモ、真っ赤に熟れたコケモモがあちこちに群生していて
びっしりと実をつけていたのでビタミンC、ビタミンCと言って小鳥やリスたちの分け前を大分頂戴してしまった。

綺麗な旅館なので泥靴、スパッツを脱いで車に置き部屋へ入る。
日本秘湯を守る会の温泉は気持ちよく、本当に生き返ったような感じだった。
生ビールで乾杯して夕食を済ませると、露天風呂からの満天の星も見ないで熟睡してしまう。


北峰の裏側の噴煙     

中の湯へ下る標識

中の湯温泉旅館   

宿の部屋から

9月1日

部屋の窓からは穂高連峰が見渡せて、ゆっくりとのんびりと山の宿で過ごす至福の時間。
霞沢岳の上には変わった笠雲がかかり夏ツバメが群をなして飛び交っていた。
きっと天気は下り坂になるのだろう。

歩くと筋肉痛がひどい。朝食の前に又ゆっくりと温泉につかるとようやく少し収まった。
10:00にチェックアウトを済ませて静岡に戻る。15:30