みきのくち 2




みきのくちの歴史


 工芸品のみきのくち の歴史は資料が少なく、詳細は不明ですが、商品化されて一般家庭で使われるようになったのは、神棚が普及し、商品経済が発達した江戸時代中期以降です。薄い板を作る事が出来る「前挽き大鋸」と、板を薄く削る事の出来る「台カンナ」(前に引いて削る)が普及し、板を薄く削って作った経木を組み合わせた「みきのくち」が製作されました。それ以前の槍カンナの時代は、枝を削る「削り花」と紙の折形が使用されたと思います。
 戦前の日本の一般家庭には仏壇と神棚があり、工芸品のみきのくちも、戦前が全盛期でした。 戦後の昭和20年代後半からの生活様式と意識の大変化(経済至上主義)によって、今までの地域共同体の崩壊が始まり、冠婚葬祭や年中行事も衰退変容しました。みきのくちの需要が減るとともに製作者も減って、暮らしから段々と遠ざかってしまいました。現在では、名前も存在も知らない人が殆どです。


清水市内の使用例
大神宮棚 本多 迪夫 家 大般若会 慈雲禅寺
みきのくち(板製・神具店で購入) みきのくち(紙製。自作)

荒神棚 花田商店 大神宮棚 花田商店
みきのくち(経木製)火焔 みきのくち(経木製)扇
佐々木 福弥 作





材料別みきのくち

経木 真鍮

工芸品としてのみきのくち の材料には、紙、竹、板、板を薄く削った経木(きょうぎ)、真鍮(しんちゅう)、ブリキ などがありますが、製作者は全国的にも極めて少なく、静岡県(中心は清水市)でも絶える寸前です。そこで当会では、民俗の文化遺産でもあるみきのくち(神酒口) を後世に伝えたく、これまでに蒐集した、郷土清水市の経木製のみきのくち と他府県の作品の一部を、公開させていただくことに致しました。
江戸文化の香り、民具の美
をご鑑賞ください。



http://www3.tokai.or.jp/mikinokuchi/