アリは、リングで生きるったけを生きた。 輝くだけ輝いた。 やがて、リングの中で彼の肉体は、急速に滅んでいった。 アリは、バラバラになろうとする手足をかき集め それを操りながら、なおも戦った。 なぜアリがあそこまで、戦わねばならなかったのか。 それは、僕が応援していたからだ。 そして、アリは彼自身の玉座にとりつかれていたのだと思う。 今、アリはグラブをはずし、バンデージも解き、座っている。 夏の宵の星々に囲まれて、座っている。
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