三年前の夏、仕事が終わると、車で海へでかけた。 足ひれをつけて泳いだり、潜ったりした。 プールでクロールで泳いでも、ちっとも前へ進まない。 海で足ひれをつけて泳ぐとビュンビュン進む。 まるでイルカになった気分だ。 わたしはイルカ、わたしはイルカ 車の中で窮屈に着替えをして、帰るのは、 夏の夕暮れ。そんな時、海からイルカが 上がってきて、少年の形をして笛を吹く。という想像をぼくは、した。 やがて、そのイルカの少年を彫った。
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