丸竹ロッド製作方法
丸竹ロッドとは・・・
丸節竹、矢竹、布袋竹等を使用したロッドで、竹を割り、削って貼り合せる、六角のスプリット・ケーンロッドとは違い、和竿同様に、素材がそのままブランクになる竿です。六角と比較すると、ブランクの重量が、圧倒的に軽いのが特徴です。フライロッドとしての性能でも、六角はもとより、グラスやカーボンにも、決して引けをとるものではありません。一度手にして、キャスト、釣りをすればよーく分かります!ぜひ製作にチャレンジしましょう!!
製作方その1 竹材の入手
まず、竹を入手しなければ、話は始まりません(^^ゞ自分で良い竹を探して採取できれば1番ベストですが、これは、竹の種類の見分け、良材の選別、所有者の許諾、などなど、なかなか厄介で、ボクは最初にとても苦労しました。今思えば、一本目を作った時に、1番大変だったのは、竹の採集でした。最初は苦労して自分で探すより、ネットやタウンページなどで竹材を扱っているお店を探して、購入した方が得策と思います。矢竹がお勧めです。
普段から気にしていると、段々と良い竹がみつかるようになります。所有者が分かる場合は許可を得て、採取します。丸節竹は至るところに自生しているので、もっとも採取しやすいでしょう。日当りの良い場所のものが良く、良材は、節間が短い・青みが薄い・袴(竹の皮)が古い・枝が多い・真直ぐ伸びている・節で上下に互い違いが少ない、などが良材の条件です。切り旬は11月下旬〜1月中旬です。枝を払い、日陰で青みが抜けるまで、乾燥させます。
上記画像は丸節竹の藪です。枝を払った後、振ってみるとすでに竿っぽい感じで、にんまりしてしまいます(^^ゞ。この時のアクションがほぼ、完成時のアクションとなります。
どうしても良い竹材が見つからない場合はメール、掲示板でお知らせください。一緒に竹採りをする、或いは、ボクの採取した竹材をお分けする、等、お力になれると思います。
その2 竹材の選別・節の処理・洗浄
製作したい竿の構想を練り、採集した竹材から構想に合う材を選別します。同じ種類の竹を選ばなくても構いませんが、仕上がりがちぐはぐにならないように気をつけます。また、ティップの材は良材がなかなかありません。製作を重ねるうちに良材が手に入るようになりますが、製作を急ぐあまりに、ひょろひょろの竹や、その年に生えた新竹を使うと、ぺなぺなで使い物にならない竿になってしまうので、納得のいく材を使いましょう。
竹の選別が済んだら、所定の長さにカットします。節の位置を考慮して5センチほど余裕を持って切断します。繊維がささくれないように、刃の細かい鋸で一方向に回転させながら切ります。

長さを決めたら、採集した時に払った枝の残りや、汚れなどを取り除きます。汚れはクレンザーや、耐水ペーパーで落すと奇麗になりますが、竹肌にキズが付かないように気をつけましょう。
枝の残り部分を鋸で切断 彫刻刀や、ノミなどで枝の痕跡
が無くなるように取り去ります。
矢竹のように、芽があるものや、
袴(竹の皮)も奇麗に取り去ります。
その3 火入れ及び曲がり直し
採集してきた竹は、当然、曲がりや捻じれがあるので、釣り竿として機能的に使用するため、できるだけ真直ぐになるように、矯正する必要があります。竹に、熱を加えることにより、繊維が柔らかくなり、曲がりを矯正できます。また、竹材の、油分、水分や、蝋質物が抜け、繊維のケイ素分が強度を増して、弾性が向上し、軽く、丈夫になります。
スプリットケーンロッドの場合は、専用のオーブンを使い、温度と時間の管理を正確に行いますが、丸竹の場合は、伝統的な、和竿の制作法に倣い、火にかざして曲がりを矯める方法が適しているかと思います。熱源は、カセットコンロやアルコールランプといった簡単なものでOKです。竹肌を焦がさないように、気を付けて、矯正したい部分を熱します。(ボクは、下唇のすぐ下に竹をあてて、温度をみます。)加減は竹材によって色々ですが、180℃くらいの熱で竹材に変化が起こるようです。表面に油が浮いてきたり、香ばしい竹の匂いが立ち上ってくるのも目安になります。火傷をしないように、皮手袋などを使用しましょう。文で紹介するより、経験の積み重ねが1番です。2,3回失敗すれば大体の感じがつかめるでしょう(^^ゞ。よく火が入ると、「くにゃ」って感じで飴のように曲がります。平らな台の上で作業するとやり易いです。
火入れ及び矯正 矯正完了
以下の工程は順次アップしていきます。暫くお待ち下さい。