VOL. 16
● バイクの視点から道を見直したら
2005年2月27日(日)に静岡県や浜松市,静岡新聞社共催のシンポジウム『道路づくりシンポジウム・バイクの視点から道を見直したら』がアクトシティ浜松コングレンスセンターで行われました。事前申し込みで観覧が可能だった為、申し込みをして参加してきました。 コーディネーターは静岡文化芸術大学大学院デザイン研究科長の川口宗敏氏,パネリストはモータージャーナリストの柏秀樹氏,元WGPライダーの平忠彦氏,エッセイストの山村レイコ氏,モータージャーナリストの小林ゆき氏の計4名です。
第1部は川口氏による基調講演から。海外と国内の交通事情の違いをスライドを使いながら紹介していきます。この中で欧州等では街中にバイク専用の駐輪場やバイク専用レーンが整備され、混合交通の一翼であるバイクが街中に溶け込んでいる点が印象に残りました。そして日本での道路事情は四輪車優先となっておりバイクは社会的に低俗の乗り物として認知されているという厳しい現実が紹介されます。続いて柏秀樹氏による基調講演。海外での取材も多い柏氏も海外と国内の道路事情の違いもスライドで紹介していきます。柏氏の話の中で非常に興味深かったのは海外の交通事情でのリスクは運転者自らが負い日本はお節介とも言える程、行政が介入してくるといるという事です。そしてその行政によるリスク排除は必ずしもバイク乗りにとって有難くないというでした。例えばガードレール。海外では必要な場所にだけ設置しており道路外に飛び出してもエスケープゾーンや傾斜を利用して危険回避を行っているのに対し、国内では延々とガードレールが続きガードレールの支柱への衝突で災害が大きくなっている事があるという現実。またバイク乗りにとってはガードレールとバイクに挟まれて重大災害に至る事があると紹介されます。また高速道路のSAやPA内では人の流れと車の流れが合致していない事によるエリア内での事故発生の危険を含んでいるという事実。どれも改めて指摘されるとその通りと言わざるを得ない事ばかりです。
第2部はパネリスト4名でのディスカッション。柏秀樹氏は、「道の駅等の既存施設は物流的な使い方しかされていない。交通啓蒙を促す様なシンポジウムや教室等を開いて安全意識を高める教育の場として活用できないか」と提案。平忠彦氏は、「浜松地区は国内メーカーの内、3社の主要工場が集まりしかも発祥の地でもある。にも関わらずバイクの歴史を語る施設が無いのは残念。市や企業が合同でバイク博物館を作ったらどうか」また、「2005年はバイク乗りにとって待望の多くの規制が撤廃される年で社会からの厳しい目で評価される年でもある。社会に迷惑を掛ける行為でようやく手に入れた権利を失う様な行為は慎まなければならない」と話しました。静岡県に在住でパリダカ等のラリーへの参戦経験もある山村レイコさんは「静岡県民は他県に比べ温厚で人情味に溢れている。また豊かな自然を有しツーリングスポットも多い。ライダー自身が行動を起こせばバイク文化の拠点となるのではないか」 小林ゆきさんは「日本では2輪車用の駐車場整備が行われていない。全国に先駆けて市での条例を制定してバイクへの理解がある街づくりをして欲しい」と話しました。
私も静岡新聞社の記者の方から意見を求められ「静岡県内は観光地やツーリングスポットが多い割りに2輪車用の駐車スペースが少ない。この為、4輪車用スペースや路上駐車をせざるを得ない状況であるが、この行為が社会(特に四輪車しか乗らない人)から反感を買う遠因になっているのではないか」と意見を述べました。
そこで私から静岡県や浜松市に提案。浜松市も平成の市町村大合併で新浜松市に生まれ変わります。次代の街づくりの一環として花博会場跡地にバイク博物館と交通教育(実技や座学)を行える施設を整備して全国に先駆けててバイク天国の町にしていって欲しいと思います。今後も数回静岡県内でシンポジウムを開いて様々な意見を聞いていくとの事ですので、何かの機会に提案していきたいと思います。
今年はライダーのモラルが試される年です。様々な規制を撤廃した事が仇となって「ほらっ、見た事か。やっぱり規制をするべきだ!」と机の上で物事を考えている役人と票目当てのセンセイ方のイジメに会わない様に注意を払いたいですネ! ご同輩。