VOL. 28 
● 2009 東京モーターサイクルショー

 3/27(金)〜3/29(日)の期間中に東京ビックサイトで開催された「東京モーターサイクルショー」を見に行ってきました。近々、発売が噂されている国内販売予定モデルや国内初登場の海外モデルが展示されているかを見るのが目的です。3/28(土)からETC割引が適用されるのを機に最新モデルの見本市に最新型のMV AGUSTA F4で乗り付けるという暴挙に出ました。といっても高速道路走行で慣らし運転を完了させたかっただけなんですけどね。
 裾野から大井松田間で時雨がふったりあまりの寒さに手の感覚が無くなったり、横浜ICから先の交通情報案内に×マークが出ていたりと、途中で何度も引き返そうかと思いましたが、厚木を過ぎてからはコンディションが回復したのでそのまま走行を続けました。11時過ぎに東京ビックサイトに到着しましたが駐輪場案内がなく、大勢いた交通誘導係りも自家用車で来た人ばかりを丁寧に誘導してライダーはまったく相手にしてくれません。使えない人ばかりです。今回はバイクのイベントじゃないのか? 駐輪場をたらいまわしにされたうえに駐車料金を払うのに大渋滞で30分以上もかかったので会場に入場できたのはお昼少し前になってしまいました。
 とりあえず展示場内をクルリとみて各社のブース位置を確認しながら見て回ります。屋内展示場では国内4メーカーをはじめ、現在、日本で購入可能な最新モデルを揃えた海外メーカー、パーツサプライヤーが出展していました。アンケートに答えながらカタログをもらいグルリと会場を回った感想を以下に書き連ねます。

【HONDA】
昨年末のF1撤退を発表してからというもの、今ひとつ企業としての元気が感じられません。昨年のインターモトで発表されたV4コンセプトや今年発表と噂される新型VFRを期待させる隠し玉もありませんでした。スポーツバイクとしてはスポーツABSを搭載したCBR600RR&CBR1000RRが展示されていました。雑誌のインプレッションによると絶賛されていましたが、どんどんライダーの仕事が減ってイージードライブ化されていく気がしないでもありません。まぁ、転倒して大怪我をするリスクを減らせると思えばその恩恵は明らかなのですが・・・。またフルモデルチェンジされたVTR250が大々的に宣伝されていました。将来のバイクユーザーやリターンライダー獲得のために厳しい今を耐え忍び、将来の為の種まきをしている時期だと感じました。数年のうちに夢が詰まった魅力あるバイクを再びリリースしてくれる事を期待しています。

【YAMAHA】
出店企業最大のブース面積を構え、昨年のモータースポーツのタイトルを総なめにした勢いが感じられました。とにかく人波が絶える事がなく一番活気に満ちていたのではないでしょうか? 特に注目を集めていたのは25年の時を経て新型へ切り替わる事が発表されたV-MAXと、昨年のモトGPチャンピオンマシンのDNAを受け継いだYZF-R1の2台の国内販売予定モデルです。V-MAXの乗車体験(またがるだけ)には長蛇の列ができていました。またYZF-R1にはエンジン開発LPLの方が、発売を期待しているファンやメディアと思われる人達の質問攻めに丁寧に答えていました。ボクもこの2台が展示されていることを一番期待して見に来ました。YZF-R1は初代R1並みの150PS程の最高出力を確保できれば、クロスプレーンクランクシャフトによるトラクション性能の恩恵によってFUN TO RIDEが期待できます。本気で買い足ししたい1台です。

【SUZUKI】
スズキはスポーツバイクは海外専用車両であるGSX-R1000やGSX1300隼の展示がありましたが、残念ながら国内発売予定モデルはありませんでした。GSX-R1000は2年毎のモデルチェンジを宿命づけられたモデルなので、今年の東京モーターショーまでに国内仕様の発表がないと国内ではお目にかかる事はなさそうです。目玉の展示車両もなく大型スクーターであるジェンマに来場者の興味は向けられていました。

 【KAWASAKI】
カワサキも目玉はZRX1200DAEGだけです。モトGPから撤退してしまったのでモータースポーツを前面に出す展示はされていませんでした。ZRX1200DAEGはビックネイキッドの中ではスポーツ性も高く、4メーカーの中では興味のある1台ですが、そもそもネイキッドそのものにあまり興味がないので食い入るように見る事もありませんでした。ただカワサキはZXR250NINJAの販売が好調という事もあってカスタム車両の展示がありました。

【国内メーカー:注目の市販車・市販予定車】

HONDA   YAMAHA 
悪系?CBRグラフィック CBR用ABSユニット 国内モデル登場間近 YZF-R1 注目度1 V-MAX

SUZUKI KAWASAKI
逆車を輸入予定
GSX-R1000
スポーツネイキッド
ZRX1200DAEG


 海外モデルはライダー憧れのモデルやどれにも似ていない個性的なデザインのモデル、ネオクラシックのモデルと百科繚乱の様相を呈していました。特にイタリアメーカーの両雄であるDUCATIとApriliaは最新スポーツモデルを国内初登場として多くの来場者の注目を集めていました。

【DUCATI】
興味があったのは、1098スーパーバイクのネイキッド版となるストリートファイターです。少しダルな空冷モンシター系とは一線を画したアグレッシブなモデルです。ただ日本人には少々アクが強すぎるかな?という気がしなくもありませんが・・・。他人とは違う速いバイクが好きなライダーには好意的に受け入れられると思います。1098Rは2年目に入りましたが相変わらず美しいですね。ちょっと車体が大きいのが気になりますが…。所有欲では負けますが公道で乗るには1198sの方が楽しいかもしれませんね。

【MV AGUSTA】
MV AGUSTAとハスクバーナは既に国内で販売が開始されたモデルのみの展示でした。車両に触れることができず高額すぎて来場者の興味はあまりなさそうでした。でもこっそり色々な情報も入手しましたよ。

【Aprilia】
注目株は今季からWSBKに参戦を開始し新開発のV4エンジンを搭載したRSV4です。国内販売が正式にアナウンスされていました。車体は思っていたよりもずっとコンパクトで格好良かったです。300万円以下での販売であれば結構、国産車に対しても競争力がありそうです。あとは中野選手の活躍次第かな? 個人的にはこの車両の部品開発に携わったのでたくさん売れてくれるといいんですが・・・。

【BIMOTA】
BIMOTAからは昨年、購入を真剣に考えたDB7の上級仕様となるカーボンフレームのスペシャルDB7が展示されていました。販売価格が表示されていませんでしたが、これって800万円以上するんじゃないでしょうか?でもトラリスフレームのメリットであるしなやかさがカーボン化によって無くならないのかな?

【MOTO GUZZ】
MOTO GUZZIには今のところ興味のあるバイクはありませんでした。でも世界的な流行であるネオクラシックの1200SPORTをはじめ新世代エンジンを搭載した車両が展示されていました。この先、数10年間はエンジンが変更されないんだろうなぁ。

【BMW】
BMWも今季からWSBKに参戦するS1000Rのレース車両とボクサーツインエンジン搭載のHP2シリーズ(Sportsとメガモト)が展示されていました。このHP2シリーズは本当に欲しい1台です。ボクサーツインの良さはライディングパーティーの試乗で身をもって知っていますから。ただBMWに乗ると二度と国産車に戻れなくなる恐れはありますが・・・。

【KTM】
欧州2メーカーであるKTMからは昨年発表されたV2スーパースポーツのRC8とその上級機種であるRC8-Rが展示されていました。個人的にはレッドブルカラーのRC8が一番のお気に入り。通常販売モデルにもこのカラーがラインナップされればもっと売れると思ったのはボクだけではないハズ。
 
【TRIUMPH】
世界中で好評の3気筒ミドルスポーツのデイトナ675が気になりました。同僚が昨年末にマイナーチェンジする前のデイトナ675を購入しましたが、その独特のエンジンサウンドと国産600ccクラスに対してプラス75ccの余裕がもたらす走行性能はまさにメーカーの狙い通りだと思います。また1960年代に栄華を誇ったボンネビルの現代版リメイクとなるネオクラシックモデルが人気を集めていました。ネオクラシックは年配層と意外と若い女性層に人気がありそうでした。若い世代にはかえって新しく見えるのかな?
 

【HARLEY-DAVIDSONとBUELL
基本的にアメリカンモデルにはあまり興味がなく老年になっても乗ることはないと思いますが、仕事でも両社とは取引があるのでたくさん売れてほしいな。ちなみにMV AGUSTAは昨年にHARLEY-DAVIDSONの傘下に入ったので同じ会社なんですよね。

【その他】
アジアやイタリアでは日本と同じようにスクーターの大型化が進んでいました。またキャノピー付きモデルもあって独特の世界観を放っていました。250ccブームが再び訪れればHYOSUNGのGS250等も国産車に対して競争力が得られると思います。ただ空冷でフルカウルというのは熱的に大丈夫かな?という心配はありますが。



【海外メーカー:注目の市販車・市販予定車】

DUCATI(イタリア) MV-AGUSTA(イタリア) Aprilia(イタリア)
 新モデル ストリートファイター 最強Vツイン
1098R スーパーバイク 
F4-RR1078とブルターレ1078   WSBKでも活躍中のV4スポーツ
RSV4

BIMOTA(イタリア)  MOTO GUZZI(イタリア)  BMW(ドイツ) KTM(オーストリア)
カーボンフレームのスペシャルDB7 ネオクラシックの1200SPORT 史上最速フラットツイン
HP2-Sports
2010年からWSBK参戦
RC8-R

TRIUMPH(イギリス) HARLEY-DAVIDSON(US)  BUELL(US)
 
トリプルエンジン搭載のミドルスポーツ
DAYTONA675
ネオクラシック ボンネビル H-D社の入門車両
883スポーツスター
H-Dエンジン搭載のXB12R

HYOSUNG(韓国  KYMCO(台湾) GILERA(イタリア) adiva(イタリア)
 空冷V2搭載 GS250  DownTown300 3輪メガスクーター Fuoco 500ie 3輪キャノピースクーター AD-3W


【レース車両】
HONDA YAMAHA SUZUKI
 
 2008鈴鹿8耐優勝車両
CBR1000RRW
 2008MOTO GP参戦車両
RC212V
 2008MOTO GPチャンピオンマシン
YZR-M1
 2008MOTO GP参戦車両
GSV-R
 

KTM BMW MV-AGUSTA
2008年スーパーストック参戦車両
RC8
2009年からのWSBK参戦車両
S1000RR
1960年代に活躍した4st GPマシン

 世界同時不況で市場が縮小したと言われていますが、このモーターサイクルショーには老若男女、多くの来場者がありました。このビックサイトにいる限りでは全然、不況なんて感じられません。やっぱり景気に関係なく魅力的なモデルがあれば買いたいと思う人はいるし、万人受けしないけど欲しい人だけ買ってくれ!と言わんばかりの個性的なモデルは海外メーカーに多く見られました。国内4メーカーの中ではヤマハだけが走行性能・官能性能に磨きをかけたニューモデルを持ち込んで1社だけ元気で気を吐いていました。これってライダーが何を求めているのかをしっかり理解しているという事だと思います。
 まもなく国際モーターショーが世界各地で開催されます。「これを待っていたんだよ!」と思える魅力的なモデルが出てくる事を期待しているのはボクだけではないハズです。


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