VOL. 30
● リフレッシュ!
2004年の国内モデルとして発売され新車で購入したVFR-VTECも5年半で走行距離が33000kmに達しました。実はバイクキャリアの中で一番長く乗っているのがこのVFR-VTECであり、他のバイクは長くても4年未満で買い替えたり残念ながら廃車になったりしていました。現状ではこのVFR-VTECを手放して買い替えたいと思えるバイクは無く、2010年春に発売が予定されている新型VFR1200Fの出来栄え次第ですが、来年に迎える3回目の車検も通す予定でいます。
しかし流石に33000kmも乗っていると経年劣化があちらこちらで感じられるようになりました。車検以外の軽整備は自宅ガレージで行っていますが最近、以下の症状が気になってきました。
・3〜5速ギアで3000rpm一定で走行している時に、急にエンブレが効いた様に加速が鈍る症状が出る。
・タンデム走行の機会が増えた事で前後のサスペンションのダンピング特性が劣化して思ったラインをトレースできなくなってきた。
・コーナーアプローチでブレーキをリリースした時に前後ともにブレーキが引き摺り気味となってバイクが倒し込めない。
・パワーダウンが感じられる様になった。
そこで今年の春から段階的に消耗部品の交換を兼ねてバイクのリフレッシュ作業を行う事にしました。まず春先にいつもお世話になっている名古屋市にあるサスペンション専門ショップ『スクーデリア・オクムラ』さんで前後サスペンションのオーバーホール(以下、O/H)を実施。ボクのVFR-VTECは以前に同店のオリジナルチューニングメニューである『MEチューン』を施してあるので、今回は通常のO/H作業となる『フルメンテナンス』を実施しました。同店の『MEチューン』で良いところは内部構造を変更して用途にあったセッティングを出してくれる事です。もちろん通常のO/H作業だけでもサスペンション動きが手に取るように体感できる様になります。ボクのVFR-VTECは前回のO/Hから20000km近く走行していたので、かなり劣化が進んでいました。
次にブレーキングからリーンに移る時にバイクが気持ちよく倒れこまない要因として、前回の交換から14000kmを走行してセンター部ばかりが摩耗したタイヤの段減りが考えられたので前後ともにミシュランパイロットロード2に交換しました。これと同時にセンタースタンドで後輪を浮かせて手で回した時の感触が重く、バイクの押し引きでもブレーキが引き摺っている感じがあったので、『ホンダドリーム浜松東店』に前後ブレーキのO/Hをお願いしました。VFR-VTECは前後連動ブレーキシステムが採用されている為に前後輪のいずれかをブレーキ操作しても両輪でブレーキが効いてしまいます。ブレーキのO/Hとしては定番のピストンシール類の交換とピストン研磨をお願いしました。やはり経年劣化によりシール類は硬化しておりピストンの戻りも悪くなっていたとの事でした。昔、ブレーキ会社に勤務していたので部品があれば自分でやれない事もありませんでしたが昔の話であり、重要保安部品でもあるので信頼のおけるお店に作業を委ねました。
最後に3000rpm一定走行時の加速の鈍りとパワーダウン対応として、エアクリーナーエレメントの汚れとスパークプラグの劣化が考えられたので同時に交換しました。エアクリーナーエレメントは純正品、スパークプラグはDENSO製イリジウムプラグへの交換です。いずれも前回の交換から15000km程を走行しています。
部品1つずつの交換やO/Hではなかなか効果を体感するのは難しいですが、これらの消耗部品や劣化部品をほぼ同時期にリフレッシュした事で「新車時ってこんなに快調だったかな?」と思える程に走りが見違えました。特に最近気になっていたパワーダウンとレスポンスの悪化が解消し、VFR-VTECのキャラクターであるスポーツツアラーの資質を取り戻せたことが一番です。車体が大き過ぎずタンデム走行も楽にこなし、パワーも十分で(ボクのは細工によりフルパワー化してありますが・・・)パニアケース装着により積載性も抜群。国内で使用するにはとても良くできたバイクだと思います。
1台のバイクと長く付き合っていくには、車検整備とは別にコンディションを維持・復調させるための整備も必要だと実感しました。
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センター部がフラットに摩耗しています(左) | 電極が摩耗してギャップが広がっています(右) |