VOL. 33
● 大将、Honda Dream Ride Festaで試乗する
開催日:2010年4月18日(日)
去る、4月18日(日)にホンダの試乗会【HONDA DREAM Test Ride Festa】が静岡県浜松市にあるレインボー浜名湖で開催されたので行ってきました。
http://www.dream-shop.info/testride2010/
今回の開催は中部地区のホンダドリーム店合同の試乗会です。既に各地で開催され始めていましたが、この春に発表された新作3台の試乗が目的です。その3台はVFR1200F,CB1100,VT750Sです。特にVFR1200Fは現行VFR800VTECオーナーであるボクにとってはとても気になる存在です。そこで今回はへっぽこライダー大将が試乗インプレッションをお届けします。なお、このインプレッションは一流ライダーや二輪誌編集部員によるものではないので、そのバイクの絶対的な優劣を示すものではありませんのでご了承下さい。
まずは一番気になるVFR1200Fから。現行VFR800VTECオーナーとして一番気になるのは400ccも大型化された事によるライポジへの影響でした。しかし目隠しして乗れば現行型と区別がつかないと言えるほどにポジションに差はありません。400ccも排気量が増え、Vバンクが狭角化された事で重心位置が上がっているはずなのですが意外でした。そしてエンジンフィールは明らかに過去に乗り継いできたホンダV4のそれでした。ただし今までの750cc系から1200cc化されたされた事で回転数で走る性格からトルクで走り性格に変わっています。RC30以降、レースエンジンベースで熟成されてきたV4エンジンがツーリングという目的のために明らかに方向性を変えてきました。個人的にはVTECやDOHCが省略された事で常にホンダエンジン技術のトレンドセッターとして君臨してきたハイメカ度合いがなりを潜めてしまった事が少し物足りません。(実際にはもの凄い先進技術が用いられていますけどネ!)。今回の試乗車は通常のMT仕様車であり走行コースの都合で3速までしか引っ張る事ができませんでしたが、トルクが強すぎるせいかシフトチェンジの度にピッチングが強めに出る傾向がありました。この様な挙動は今夏に発売予定のDCT仕様では発生しないとの事なので、DCT仕様の開発はこれを見越してのものではないかと勝手に推測しています。
試乗車はまっさらの新車だったのでブレーキにアタリが付いておらずレバータッチがやや硬質でカックンブレーキになりやすかったです。ABSは作動させるシチュエーションはなかったので効果は分かりませんが、約3年前に転倒による大事故で瀕死の重傷を負っていますのでツアラーには付いていた方が絶対に良いと思います。自分のVFR800VTECにも2006年モデルのユニットを移植したい位に欲しい装備です。
また前述のトルクで走る性格が原因かわかりませんがフロントの立ちが強くややハンドリングが重く感じました。VFR800VTECの方がヒラヒラ感があります。これも新車状態である事とタイヤ銘柄で性格がガラリと変わるので個体差の範囲かもしれませんが。唯一不満に感じたのはスクリーンにヘッドライト上面のカウルが映り込んでしまい視界に入ってしまう事です。試乗したホワイトカラーだけかと思いましたがワインレットも同様でした。他の作りが良いだけに気になります。
次にCB1100です。愛車としてMV AGUSUTA F4 RR1078にも乗っているので同じ1100ccでどれだけ違うか気になりましたが、全然違いました。比較すること自体が無意味です。だからといってCB1100が退屈なのかというと全くそんな事が無く、この日の試乗で一番気に入ったバイクです。
先導のインストラクターが運転するCB750(教習所でお世話になった方がたくさんいるハズ)よりもコンパクトで400ccクラス並みというと大げさかもしれませんが、本当に股下1100ccもの4発シリンダーが並んでいるのか?と思える程に凝縮感があります。それに両足がベッタリと地に着くシート高。60km/h位で流して走行するには全く不満が無いエンジンフィール。いわゆるネイキッドに属されるバイクに乗った事が無いのでアップライトなライポジには慣れませんでしたが、以前試乗したCB1300SFに比べるとまったく緊張せずに乗れました。これ、いい具合に力が抜けていてライダーを急かさないんです。そしてスーパースポーツみたいに乗ると乗りにくく上半身の力を抜いてお尻で曲がる感覚で乗ると気持ちよく乗れます。
しかし前後サスのスプリングレートが低いのかややピッチングが大きくブレーキをリリースするとフロントが跳ね上がる感じになり曲がるきっかけを掴みにくかったです。ネオクラシック調のデザインは好き嫌いが分かれるところですが、CB750が息の長いモデルとして育ったようにホンダとしてもCB1100は大事に育ててほしいですね。これ、結構売れる気がしますし、欲しくなってしまいました。買わないのに試乗しながらカスタムプランを練ってしまったのはもはや病気?
次はVT750Sです。デザインがH−Dのスポーツスターに酷似しているという世間の評価はさておき、車両価格が75万円以下というのはホンダとしては凄く頑張ったのではないでしょうか?しかしフォワードステップのクルーザータイプに乗った事が無いので身体をどの様にホールドすれば良いのかさっぱりわかりませんでした。もちろん、自分の経験の無さと慣れの問題なのですが、クルーザタイプのバイクには今後も乗る事は無いと思います。
水冷Vツイン750ccエンジンは非常にトルクフルで2速ホールドで試乗コースを回り切ってしまいました。エンジンはVツインエンジンに期待するドコドコ感は希薄です。たぶん排ガス規制や音量規制でかなり抑え込んでいるものと思われます。リプレイスマフラーに交換してやれば(もちろんJAMCA対応の合法マフラーにですよ)、もう少しパルス感が出るのではないかな?と思います。
しかしこのバイク、なぜにクルーザータイプなのか?このエンジンとフレームを利用していわゆるミドルネイキッドバイクを作ればかなり魅力的なバイクになると思います。もちろん、値段据え置きで!CB750がCB1100にスープアップしてしまった今、750ccクラスってラインナップが完全に抜けてしまっているんですよね。CBR600RR等の尖鋭化されたバイクではなく、大型初心者やリターンライダーが無用な緊張をする事無くリラックスして乗れるバイク。このVT750Sには派生機種の誕生を期待させる魅力を感じました。
この日の試乗会は9:30からスタートだったので9:30に自宅を出て10:00前に会場に到着すれば十分乗れると思って到着してみたら既に試乗待ちの長蛇の列が出来ていました。今、本当にバイク不況なのか?と思いたくなる程の大勢のライダーが来場し賑わっていたのが印象的です。「マーケットがないからバイクが売れない」のはメーカーのお決まりのコメントですが、マーケットは常に存在しています。ただニーズに合致したバイクをタイミングを間違わずに提供すればユーザーは歓迎してくれると思います。80年代のバイクブームはあくまでブームなのであって、今の状況は定着した文化だと思います。文化はなかなか廃れません。そして文化人は自分の信じる文化のためにはそこそこお金を投資します。今後はこのバイク文化に浸っている一人ひとりが文化を広げる努力をすればもっと活気づくんじゃないかな?
この日は元全日本ライダーの宮城光さんがゲストとして見えられお昼休みにはトークショーやレインボー浜名湖のインストラクターによるバイク用ABSの効能確認のデモンストレーション等も行われていました。
レインボー浜名湖には軽食コーナーがないので近くのコンビニでお昼ご飯を買ってきて食べようと思いましたが、今回はケータリングサービスとして移動販売車が来ていたのでこれで済ませました。
えっ?それでボクはバイクを買い換えるのかって? 一昨年、MV AGSUTA F4を買ってしまったし事業仕分け人(嫁はいないケド・・・)によっておそらく予算が真っ先にカットされるので当面は無理でしょう。でもDCT仕様のVFR1200Fが噂通りの出来栄えだったら衝動買いしてしまいそう…。
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会場風景 |
20車種近い試乗車 |
お昼御飯 |
ゲストの宮城光さん |
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