VOL. 34 
● BikeJIN読者ミーティング 【双天の路 トークショー】

開催日:2010年4月10日(土)


 ツーリング情報誌【BikeJIN】主催の読者ミーティングとして同誌に連載をもっている、元全日本チャンピオンである平忠彦氏のトークショーが磐田市にあるヤマハコミュニケーションプラザにて開催されました。事前申し込み制で14:00から開始されたトークショーには全国各地から200人程が観覧に訪れました。
 MCにはエイ出版社の埜村氏が務め、レーサー時代の秘話やBikeJIN誌の取材で全国を訪れた時の思い出話を聞き出して行きます。会場になったヤマハコミュニケーションプラザの会議室にはかつて平氏がライディングしたレーシングマシンや思い入れのある市販車が展示され華を添えます。

まずは展示車両にまつわるトーク内容から。
●ヤマハXS-1(市販モデル)
 これは平氏のライダーキャリアとして初のビックバイクであり、一番思い入れのあるバイクで近年、中古車を1台入手しレストアしたその車両だそうです。このレストアにあたって二輪誌の売買広告欄に購入希望の告知を出してエンジン単体を2機購入しご自身が買い付けに行かれたそうです。この車両は普段はタイラレーシングのお店に展示されています。

●ヤマハFZR750 1985年鈴鹿8耐参戦車両
 ご存じ、キング・ケニーとのペアで初参戦した悲運のレーシングマシンです。キング・ケニーを見たくてボクは生まれて初めて鈴鹿8耐に観戦にも行きました。そして悲劇の午後7時。メインストレート上でエンジンがストップしピットウォールにマシンを立てかけてリタイヤしました。リタイヤした理由はピストンリングの破損というのが通説になっていますが真相は闇の中だという事です。何故、メインストレート上でマシンを止めたかというと、レーサーである以上、ゴールラインを跨がないと記録に残らないので壊れたマシンをゴールラインまで導き、チームのピット前で当時の監督であった前川氏にエンジン破損を口頭で伝えてリタイヤを決断したそうです。面白いエピソードはポールポジションだった#21号車がスタートに失敗して最後尾からのスタートになった理由です。ケニーロバーツはこの件に関して後年、「エンジンがかからなかった」と言っていましたが、真相はケニーがスターターボタンとは違う場所を一生懸命押していたのを車両を支えていた平氏が目撃していた事でした。25年たった今、初めて明らかにされる真実。流石のケニーも大一番には緊張していた様です。このエピソードに会場内は大爆笑でした。

●ヤマハYZR500(1985年全日本参戦車両)
 平氏が3年連続チャンピオンを獲得した車両です。今となっては懐かしささえ感じる、2ストローク・500ccの純レーシングマシンです。この当時からWGPと同じくタイヤ開発競争が始まりバイアスタイヤからラジアルタイヤへ移行する過渡期でタイヤ開発に没頭した時期だそうです。そんな中で強力なライバルを打ち負かしてチャンピオンを獲得しました。

●ヤマハYZR250(1996年WGP参戦車両)
 当時は市販レーサーが大多数を占める中、唯一のヤマハワークスマシンであり開発を行いながらの参戦となりました。ライバルに比べ始動性が悪かったので毎回、後方からの追い上げとなったそうです。最終戦となったサンマリノGPでは翌年、500ccにステップアップするアピールの為に必死で走行し優勝する事が出来たそうです。平氏は250ccに参戦するライダーの中では体格が大きかったので不利だった様です。

続いてBikeJIN誌の取材先で訪れた全国各地のエピソードをスライドショーを使って話しました。一番印象に残っている土地は九州の高千穂地方だという事です。取材時には天気や撮影風景で思った通りに進行しない事もあるので誌面では伝わらない苦労話やデジタル技術を使って写真を修正していた?等の裏話まで披露。また平氏はプライベートでもバイクで全国を移動する程のヘビーユーザーだそうですが、北海道ツーリングを3年計画で実行中だそうです。また平日には浜名湖北岸の三ケ日オレンジロードをツーリングする事もしばしば。運が良ければ公道で平氏と遭遇できるかもしれませんね。しかし間違っても平氏に勝負などを挑まないように!現役を引退して数十年が経過していますが、我々素人が太刀打ちできない程のライディングテクニックを持っていますから。

トークショーの後は質問タイム,タイラレーシングやヤマハさんから提供して頂いたグッズを巡ってのジャンケン大会で盛り上がりました。イベントは16:00終了予定でしたが、平氏が「私は何時でも構いませんよ」との一言で16:00過ぎとなってもサインや記念撮影に気軽に応じていました。今年は全日本JSB1000クラスのヤマハチーム総監督という立場で忙しくなりそうですが、これからも誌面での活躍も期待しています。ちなみにボク、タイラレーシングのお客さんですがあんなに喋る平氏は初めて見たなぁ。

ヤマハコミュニケーションプラザ 歴代レーシングマシンの展示 トークショー風景
 

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