VOL. 66
● Go for it! 奥美濃ツーリング

2011年4月1日(金)


 
 未曾有の災害をもたらした東日本大震災による余波は震災を免れた静岡県浜松地区にも確実に押し寄せています。自動車・オートバイの製造業で成り立っている全国屈指の自動車生産の街は、東北地方にある部品メーカーの稼働停止,完成車自動車工場の稼働停止により、多くの工場が稼働停止や減産調整を余儀なくされています。
 ボクの勤務先工場でも震災発生の翌週は1週間まるまる強制的に有休を取得させられ予定外の長期休暇。そして翌週と翌々週は自宅待機や日勤で出勤するものの開店休業状態で工場内外の清掃やラインの清掃、はたまた遊休工場に保管してある製品バケットの掃除など不急の仕事やその日に出勤してみなければ当日の仕事も分からないという状態でした。年度末という事で棚卸作業があったのがせめてもの救いでしたが、それも正味1日の仕事量でした。
 そんな毎日が続くと正直、働くモチベーションが維持できません。4月からは部分的に生産が再開されるとの情報もありましたが、蓋を開ければ思いがけない原発事故の影響による計画停電もあり、震災の影響以外の不安定要素から取引先の自動車メーカーや部品工場はすぐには稼働できない状況に追い込まれました。

 そんな開店休業状態が長く続いた事ですっかり働く気力が失せてしまったので4/1(金)は前日の帰社前に突発で有休を申請してソロツーリングで気分転換をする事にしました。行先は岐阜県の奥美濃方面です。目標は、グルメ・観光・道の駅スタンプラリーの大量制覇です。

 当日は7:30に浜松市の自宅を出発します。平日という事で高速道路のETC上限¥1000の適用は受けられないので少しでも高速料金を安くすべく、いつもの浜松西ICではなく、三ケ日ICから東名高速に入る事にしました。東名高速→名神高速→東海北陸道を走行し、関ICで高速道路を降ります。スピードパスが利用できる国道156号線沿いのエクスプレスで給油したところ、VFR1200F DCTの新記録となる20km/Lの高燃費を記録しました。ここのところ、燃費に留意したエコ走行を行っていますが今まで20Km/h以上を記録した事はなかったので、ちょっと驚きです。
 ちなみにこの関市はボクが今から20数年前の短大時代を過ごした刃物の街です。20数年も経過するとだいぶ街並みが変わってしまいました。

 国道156号線を美濃市方面に北上し、【道の駅・美濃にわか茶屋】で最初の休憩です。ここは3年ほど前のGW期間中に行った北陸ツーリングの時にも一度立ち寄っています。当然、今回の目的は道の駅スタンプラリーなので記念すべき岐阜県1ヶ所目となるスタンプをゲットしました。トイレ休憩とスタンプのみが目的だったので飲食はせずに出発します。国道156号線をそのまま長良川沿いに走行し、国道256号線に入ってすぐにある岐阜の小京都、郡上八幡が今回の観光目的地です。
 初めて郡上八幡を訪れるので、事前にHPで観光協会発行のマップを印刷しておきましたが、これが実際の街並みに対してかなりデフォルメして表記してあり、思っていた以上に路地が狭く、おかげで距離感と目印としていた観光スポットがどこにあるのか分からず、かなりウロウロしてしまいました。こういう時は得意のローラー作戦です。地域の外側からグルグル内側に追い込んで行き、だいたいの地形と観光スポットを把握する事が出来ました。

 そしてまずは昼食です。以前から郡上八幡に行ったら是非、訪れたいと思っていた【鉄板料理 泉坂】さんに到着しました。お目当ては昼食にはちょっと贅沢な『飛騨牛サーロインステーキ定食』です。ヒレ肉とロース肉のいずれかから肉を選ぶ事ができますが、ボクは店員さんお勧めの脂身の美味しさが愉しめるロース肉にしました。お肉は150g、これにご飯とみそ汁、漬物、小鉢、デザートがついて¥3600なら良心的な値段だと思います。ちなみに我が家では飛騨牛を好んで食べている(そんなに頻繁ではありませんケド・・・)ので飛騨牛には馴染みがあります。全国にブランド牛はたくさんありますが、個人的には飛騨牛が一番美味しいと思います。
 店員さんに伺ったらこの時期は春休みという事で卒業旅行やカップル、家族旅行の観光客が多いそうですが、震災の影響もあって観光客は激減しているそうです。特にアジアからの旅行客が日本は放射能に汚染されていて危ないという風評被害が出回ってしまい軒並み観光ツアーがキャンセルされたそうです。被災地から遠く離れた奥美濃でもこんな形で影響が出ているんですね。
 お店の従業員の方々もバイクに興味があるのか、駐車場に停めてあったボクのVFR1200F DCTを入れ替わり立ち替わり見に行っていました。そして、もう聞き慣れましたが、「あのバイクってどこのメーカーですか?」・「排気量は何ccあるの?」・「あれってクラッチがないんだね!」と。通り一遍の答えをすると「最近のバイクは車並みなんだねぇ」と言われます。でも「キラキラしていてとても綺麗なバイクだね」と褒められるとちょっと嬉しかったりします。

 【鉄板料理 泉坂】さんでプチ贅沢を楽しんだ後は郡上八幡市内を少し観光するためにまずは郡上八幡城へ向かいます。お城が建っている小山の麓にも無料駐車場がありましたが、天守閣近くまで車で行けそうだったのでバイクで登っていく事にしました。しかし、この道は一方通行でトライアルバイクでなければ到底登れない様な急勾配・急カーブで歩行者もいたりして走行中に何度も足をついて転倒しそうになりました。ホント、タンデムでなくて良かったですヨ。そして郡上八幡城天守閣に到着します。無料駐車場にバイクを停めて徒歩で天守閣入口に向かいます。
 入館料を払って復元再建された木造4階建ての天守閣内へ。1階と2階は資料館になっていました。4階から郡上八幡市内を見下ろすと、にわか城主になった気分に浸れます。上ってきた道とは反対側となる一方通行の道を降りて麓の駐車場の横にある公園内の銅像前で記念撮影をしました。この銅像、司馬遼太郎作品の【功名が辻】で有名な山内一豊とその妻である千代で、千代の生誕地はこれまで四国とされてきましたが、近年見つかった文献により郡上八幡の可能性が出てきたそうです。

好天の中、出発します 絶品!飛騨牛ステーキ定食 山内一豊と千代 像

 続いては郡上八幡の古い町並みの中にある観光スポットのひとつである宋祇水へ。場所が分かりにくくグルグル捜しましたが、【鉄板料理 泉坂】さんの近くで商店の間の小路を入って行く場所にありました。ここは環境庁指定の日本名水百選の第1号に指定された郡上八幡を代表する観光スポットです。郡上八幡には他にも観光スポットがたくさんありますが、一度に全てを見て回ってしまうと次回の楽しみが無くなってしまい、時間の都合もあるので今回の観光はここまでとしました。

 この後は次の目的地に向けて国道156号線を北上して行きます。途中から県道317号線に入り、【道の駅・古今伝授の里やまと】へ。当然、今回の目的であるスタンプラリーをゲットします。食後のデザートとしてこの日初の儀式を狙っていましたが、心を掴むソフトクリームはありませんでした。しかし和風のアイスクリームを販売しているお店があり、その中に『和三盆アイス』なるものを発見しました。和菓子に多く用いられる和三盆の甘味がどんなものか興味があったので購入してみました。甘みがキツクなく丸みのある味でした。でもアイスなのでコーンの中身がスカスカです。できればソフトクリームで食べたかったなぁ。

 
道の駅・古今伝授の里やまと】での休憩のあとは、県道317号線→県道82号線でこの日、3ヶ所目の道の駅となる【道の駅・白尾ふれあいパーク】へ。当然、スタンプラリーもゲットします。しかし数分前に休憩したばかりなのでスタンプだけを押して次の目的地へ。やまびこロードと呼ばれる快適なワインディングとなる県道316号線を走行していくと路肩に残雪が現れました。調子に乗ってコーナーを駆け抜けると足元をすくわれかねないので、少しペースを落として路面の状態を確認しながら走行して行きます。ひるがの高原付近では左右の路肩共に結構な残雪がありました。あまり汚れていない雪だったのでまだ降り積もって間もない雪だったのかな? 温暖な静岡県西部地方に住んでいると降雪という気象そのものがピンときません。少し視界が開けた直線道路の左手には大きな山が見えました。ツーリングマップルによるとおそらく大日ヶ岳ではないかと思います。

 県道321号線を走行し車が全然走行していない東海北陸道の高架道路を走り抜けると国道156号線に出ます。郡上八幡方面に少し戻るとすぐ右手に公園が現れますが、ここがこの日2ヶ所目の観光スポットとなる【分水嶺公園】です。大日岳から流れ出た水がこの地点を境に太平洋側へ流れる長良川と日本海側流れる荘川とに分かれる分岐点になります。公園内にその川の分岐となる記念碑があるそうですがこの日は生憎、積雪でぬかるんでいて中には入れなかったので記念撮影だけして出発します。

 分水嶺公園を出発したあとは、数Kmしか離れていない夫婦滝へ。ツーリングマップルにも記載されていて国道156号線沿いにあるとの事だったのでここも見てみたかったのです。しかし勝手なイメージとしては大瀑布規模を想像していましたが、意外と小規模で見逃して通り過ぎてしまいました。すぐにそれと気付き交通量も少なかったので少し先の路肩に停車して歩いて見に行きました。しかし後から調べてみると、どうやらボクが見たのは夫婦滝ではなく駒ヶ滝である疑いが・・・。夫婦滝はその名の通り、2つの大小の連なった滝で国道から少し山中に入るらしいのですが、ボクが見たのは写真の通り1本の水流で国道脇にありました。これは近いうちに再び事実を確認しに行かねばなりますまい。

 第二の観光目的も果たし、ここからは道の駅スタンプラリーの大量制覇を目指してラストスパートです。まずは夫婦滝に近い国道156号線沿いの【道の駅・大日岳】でこの日4ヶ所目のスタンプを、国道156号線を南下して行き、【道の駅・白鳥】で5ヶ所目のスタンプゲットしました。そして郡上八幡を通り過ぎ、帰路で立ち寄るつもりで往路では通り過ぎた【道の駅・美並】を目指します。3月の伊豆河津桜ツーリングでは道の駅が16:00で閉館していた苦い経験があるので、できるだけ早めに到着したいと思って上記2ヶ所の道の駅では飲食はせずにスタンプだけ押して【道の駅・美並】を目指してきました。この道の駅は18:00まで営業していたのでそれほど急ぐ必要はなかったのですが、無事に6ヶ所目のスタンプゲットする事が出来ました。
 時間も16:30を回っていて少し小腹もすいてきたのでここでようやく飲食をしながらゆっくりと休憩です。この日2回目の儀式も考えましたが、少し寒くなってきたのとお勧めのソフトクリームがモロヘイヤ味だったので諦めました。ボク、香草やクセのある味・苦味は苦手なのです。結局、明宝フランクと缶コーヒーで休憩しました。

日本百名水の宋祇水 まだ残雪のある広域農道 右手側が太平洋・左手側が日本海 明宝フランクでおやつ

 このあとは往路と同じ関ICから東海北陸道に乗ると面白くないので、美濃加茂ICから東海環状路に入る事にしました。関市の市街地を走行し、国道248号線で美濃加茂市へ。美濃加茂市は短大時代を過ごした隣町で頻繁に買物などにも来ていたので思い出が詰まっています。しかし、国道248号線がバイパス化されていたりして道路や街並みが変わっていました。
 事前に調べておいた国道21号線にあるエクスプレスで給油すべく美濃加茂市街地を走行して国道21号線に出たところ、あると思っていたガススタはエクスプレスではなく別のガススタでした。どうやら抜け道を思い違いしていた模様です。仕方が無いのでもう1店調べておいた国道248号線沿いのエクスプレスで給油する事にしました。東海環状路の美濃加茂ICに入る前に、夕食を食べておきたかったので、美濃加茂市街地にあった【すき家】で食べてから高速に入ります。お昼御飯でプチ贅沢したので、夕食は¥100引きサービス中だった『豚の生姜焼き定食』を頂きました。この1日でかなり肉食をしてしまった・・・。

 東海環状路に入り、週末の金曜日だったので豊田JCTあたりでの渋滞を覚悟していましたが、やはり震災の影響でしょうか? 東海環状路→東名高速と浜松西ICまで大きな渋滞に巻き込まれる事なく、21:00過ぎに浜松の自宅に到着する事が出来ました。

 被災された方々からは、「仕事が暇だから会社を休んでツーリングに行くなんて贅沢な悩みだ!」とお叱りの声が聞こえてきそうですが、今回のツーリングに行った事でかなり気分がリフレッシュする事が出来ました。過剰な自粛ムードに包まれた4月の国内情勢ですが、被災しなかった地域の方々まで必要以上に生活を委縮する必要はありません。

Go for it!』   みなさん、頑張りまっしょい!!

本日の走行距離:500Km


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