クラリネットには次のようなたくさんの種類があります。
・A♭クラリネット
・E♭クラリネット
・Dクラリネット
・Cクラリネット
・B♭クラリネット
・Aクラリネット
・E♭アルトクラリネット
・Fバセットホルン
・B♭バスクラリネット
・E♭コントラバスクラリネット(コントラアルトクラリネット)
・B♭コントラバスクラリネット
全部で11種類。A♭、D、Cクラリネットはほとんど使われることはありません。クラリネットだけで大編成のオーケストラができてしまうくらい、高音域から低音域まで種類が豊富です。音域が違えば楽器の長さも違ってきます。小さな楽器は25p。一番大きな楽器になると、その長さは2mを超えます。楽器屋さんに行って「クラリネットください」と言って出てくるのはB♭クラリネット。一般的なクラリネット奏者が持っているのはB♭、Aクラリネットの2本です。
A♭クラリネット
楽器の大きさは25pほどで、本体は二つのパーツに分かれません(上管、下管に分かれない)。昔、A♭クラリネットはイタリアのBanda(バンダ)といわれる軍楽隊で使われていましたが、ヴェルディのオペラ『仮面舞踏会』の中に登場しています。また、現代音楽にも少しずつ使われ始め、G.アミ(Gilbert AMY)の『Espace deploye(広がった空間)』などにその例がみられます。
E♭クラリネット
通称「Es エスクラ」。B♭クラリネットよりも4度高いE♭クラリネットは、カン高くて鋭い響きのする音を出し、高音域はB♭クラリネットよりも音が出にくいです。しかし、この楽器はだんだん専門化されてきていて、オーケストラの中では大変重要な役割をしています。
例えば『幻想交響曲』の特徴あるソロをとりあげてみると、ここで作曲者のベルリオーズはイデー・フィクス(固定楽想)の旋律的なテーマをE♭クラリネットを使って品を落として登場させます。また、R.シュトラウスの『ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』のとても比喩に富んだソロなどもあります。中音域はラヴェルの『ボレロ』がその良い例で、柔らかくふくよかでメランコリックに響きます。
Dクラリネット
DクラリネットはE♭クラリネットよりも柔らかく響きます。よく inDで書かれた譜面をE♭クラで読みかえ(移調)て代用していますが、基本的には誤っているのかもしれません。例えばR.シュトラウスの曲などでは、ほんとはこのDクラリネットをつかうほうがいいのではないでしょうか。でも、この楽器を持ってる人はほとんどいませんが・・・。
Cクラリネット
この楽器は現在ではほとんど使われていませんが、 inCで書かれた楽譜はオーケストラなどでたくさんあります。例えば、イタリアオペラやベートーヴェン、R.シュトラウスの『バラの騎士』などにみられます。ソノリテが少々挑戦的で、クラリネット奏者の多くは耳にさわる鋭い音を嫌ってB♭管を使って楽譜を移調しながら吹いています。
B♭クラリネット
現在、技術的に見るとB♭管はほとんど完成されているようですが、それぞれの楽器メーカーはこれをもっと完璧なものにしようと前向きに努力しています。
この楽器はクラリネット族の中では最も多く使われています。みなさんがよく見かけるクラリネットはこのB♭クラリネットです。響きは華やかで明るく、吹奏楽ではヴァイオリンの役割を担っています。また、シンフォニックなオーケストラでのB♭クラリネットの位置は非常に重要です。
音色はピアニッシモ(pp)では非常に柔らかく、フォルテッシモ(ff)では激しくドラマティックに響き、表現力に非常に富んだ楽器です。
Aクラリネット
幸運にも大作曲家がこの楽器を愛し、名曲を残しています。モーツァルトやブラームスが書いたクラリネット五重奏ではビロードのように柔らかい音を巧みに使っています。B♭管と比べて半音低い分(つまり管が半音分長い)、それだけ豊かで渋い響きを出すことができます。僕はロングトーンやスケールの練習をするときには、A管を使うようにしています。A管で吹くと息の圧力がより多く必要になり、B♭管を吹いたときにそのことがとても役に立ってくるからです。
作曲家がA管のクラリネットを指定して曲を書いている場合、とりわけB♭管のクラリネット用には移調しないほうが良いのは確かです。というのは、ほかの楽器に換えてしまうとフレーズの色が変わってしまうからです。
ある楽器メーカーは、A管で低音のCまで出るバセットクラリネットを作りました。この楽器は稀に見るすばらしいもので、モーツァルトのコンチェルトをオリジナル版で吹くことができます。スイスのクラリネット奏者、シュタルダーの録音があります。
E♭アルトクラリネット
アルトクラリネットは吹奏楽やクラリネットアンサンブルなどの室内楽で使われています。中音域に独特の響きがあり、最近特にその評価は高まっています。
Fバセットホルン
B♭クラリネットより4度低いバセットホルンは響きがたいへん魅力的で格調にあふれ、モーツァルトはこの楽器を宗教音楽にみごとに取り入れています。
また、この楽器にはなにか神秘的なものが感じられます。そういう意味でモーツァルトの『レクイエム』の2本のバセットホルンのパートをクラリネットに代用してしまうのはちょっともったいないです。
モーツァルトのオペラ『ティトの仁慈』や、2本のクラリネットと3本のバセットホルンのための『アダージオ』、有名な『13管楽器のセレナーデ』などのすばらしいソロを是非聴いてみてください。
B♭バスクラリネット
バスクラリネットの響きにはとても風格があり、厳粛で豊かな感情に満ち溢れています。また、見事は音の同質性があって、まじめに専門化が要求される楽器です。
この楽器には低音域のE♭まで出るものと、さらにその下のCまで出るものがあり、後者は現在最も多く使われています。ロシアのほとんどの作曲家たち(ショスタコヴィッチなど)は自分の作品の中でLow Cまでの音を書いています。
また、A管のバスクラリネットもあります。B♭管のバスクラリネットより感じのいい、きれいな音ですが、この楽器もまた移調しなければなりません。
E♭コントラアルトクラリネット・B♭コントラバスクラリネット
バスクラリネットよりもさらに大きく、多くの場合、軍楽隊で使われています。クラリネット族の中では重要な役割を果たし、特にクラリネット六重奏などの室内楽では欠かせない楽器です。
最近、現代音楽にも使われ始めています。低音域は豊かで並外れた深さがあります。
シェーンベルクのオーケストラのための5つの小品やヴァーレーズの作品、あるいはクセナキスのノモ・ジャンマ(Nomos Jamma)の中でコントラバスクラリネットが使われています。
大学時代の2年間、吹奏楽で僕もコントラバスクラをふいていました。コントラアルトはまだバスクラに近い感覚で吹けるのですが、コントラバスクラはちょっとちがった感じでした。キィの間隔もかなり広いので、手の小さな女性だと演奏するのは少々きついかもしれません。
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