| 行政対象暴力 |
| 行政対象暴力とは |
○行政対象暴力の意義
行政対象暴力とは、暴力団等(暴力団・暴力団員・準構成員・総会屋等及び社会運動等標榜ゴロをいう)又は右翼が、不正な利益を得る目的で、地方公共団体等の行政機関、又はその職員を対象として行う違法又は不当な行為をいう。
○行政対象暴力の形態
「権限行使要求型」
行政機関の持つ指導監督、許認可、公金支給等などの権限発動を促す形態、例えば、土木建築担当部門に対し、「下請参入」などを要求するような行為。
「金品要求型」
行政機関又はその職員自体をいわば資金源として、公金その他の金品を要求する形態、例えば、機関紙誌の購読要求とか、個人的なスキャンダルをネタに金品を要求する行為。 |
| 行政対象暴力事件の事例 |
●郵便局における暴力団関連郵便物の特別扱い事案(平13・12)
暴力団員差出の絶縁状、破門状等の郵便物について、配達遅延や汚損等による因縁付けを防止するため、受付スタンプを押さず、マル暴
と書かれた通信事務扱いの封筒にて、配達局送達が報道された。
郵政事業庁の調査の結果、全国44都道府県の普通郵便局で同様の実態が確認された。
●陸運支局における不正車検事案(平14.6)
陸運支局の自動車検査官が、自動車検査の受検者からの威圧的な言動に屈し、保安基準不適合の着色フィルム貼付の自動車、排ガス試験を未受験の自動車を合格させていたことが報道された.
国土交通省が調査した結果、全国194人の検査担当職員が約990台の自動車を合格させていたことが確認された。
●北陸池方の市役所における地元ミニ新聞・雑誌の購読強要事案(H12・12)
某市役所の各管理職職員は、ミニ新聞・雑誌等の機関誌購読を要求され、一人年間、最低で約15万円、市役所会体で約5千万円の購読料が支払われていた。
平成12年12月、民暴弁護士が管理職346人の代理人となり、購読拒否の内容証明郵便を一斉に発送したところ、相手方のリアクションもほとんどなく関係遮断に成功した。
●近畿地方の市立病院における恐喝事案(H12、5)
某市立病院では、暴力団組長が事務手続きや対応等に因縁を付け、示談金や和解金名目で職員個人から金銭を騙し取る行為を長期問にわたり繰り返していた。(恐喝罪で検挙) |
| 「行政対象暴力」の新聞報道 |
○ 事なかれ主義にワナ
行政対象暴力について、各報道機関では
・ ミスは担当者任せにしないで、組織的対応が必要
・ 行政は、「事なかれ主義」を排除しろ
と、呼びかけている。その中で、次のきじが大きく目についた。暴力団等反社会的勢力の目的のためには手段を選ばないという暴力性、執着性が浮かんでくる。組織的な攻撃には1人では弱い、組織で対応することの必要性が痛感される。 |
○ 行政への暴力頻発、机たたき威圧「身すくむ恐怖」 (読売新聞)6月22日から抜粋
暴力をちらつかせ、自治体職員に不当な要求を繰り返す「行政対象暴力」が頻発している。栃木県鹿沼市の幹部は、廃棄物処理をめぐる不当な要求に毅然(きぜん)とした態度をとったため、逆恨みされて殺された。
検察側は公判で、市と業者のなれ合い体質を指摘したが、関係者は口をつぐみ、真相はいまだに明らかになっていない。行政対象暴力の背景には、役所の事なかれ主義も浮かんでいる。
◆執ような攻撃◆
「なぜ就任あいさつに来ないのか」町役場の会議室。就任したばかりの助役は、十数人の男たちの執ような攻撃に耐えていた。ある団体を名乗る男らが1年ほど前から、10回以上も役場を訪れ、住宅貸付制度の限度額を上回る金額の融資を要求し、渋る担当者に、男は「野焼きを放置する役場の姿勢は問題」と繰り返して、「机をたたき、床に空き缶をたたきつける。「これ以上突っぱねると混乱を招く」と判断した町長は、助役のもとに男たちが押しかけた直後、「政治判断で融資する。議会で補正予算を組む」と伝えた。融資の上乗せを要求されたが、それは断った。
助役は「特定の者に便宜を図り、町に損害を与えれば、背任罪に問われる」と即日辞表を提出。退任のあいさつで、「公務員は一部の奉仕者ではない」と言い残して役所を去った。
◆甘かった「穏便に」◆
当時の町長は、読売新聞の取材にこう答えた。「背後に組織的な圧力を感じた。穏便に済ませるつもりが、逆に食い込まれた。一時的にしろ要求をのんだことは甘かった」
◆「お前の命30万で」◆
T市産業廃棄物指導課には、「おまえの命を30万円で請け負う人間がいる」という脅迫電話が掛かってきた。不法投棄現場で、職員がパワーショベルで頭から砂をかけられたり、鉄パイプを振りかざされることもあり、防刃ベストを購入した。
◆「癒着の職員、責任取らない」◆
栃木県鹿沼市の環境対策部担当参事だったAさんが帰宅途中に拉致された後、殺害された。首謀者は市環境クリーンセンターに持ち込むごみを巡ってAさんと摩擦が絶えなかった元廃棄物処理会社社長(自殺)とされる。「大声を出し、まるで暴力団」。元社長の振る舞いを、市の関係者はそう振り返る。「ごみのどこに問題がある」とAさんをどなりつける一方で、市の上層部に巧みに取り入ろうとした。
検察側によると、「なれ合い」は11年に及び、元社長は「便宜を受けるのが当然」と考えるようになった。「厳しすぎるほどきっちり仕事をする」と同僚に評されるAさんは、無法な要求を拒み、元社長に逆恨みされた。
Aさんの妻は、「癒着のあった職員は責任をとらない」と憤る。仕事の愚痴を言わなかった夫が1度だけ、「不正をした業者にもうけさせてしまった。なぜ早く気づかなかったのだろう」と漏らした時の悔しそうな表情が忘れられないという。 |
| アンケート調査の結果概要 |
平成19年5月から6月にかけて、暴力団等の反社会的勢力による行政機関に対する不当要求等の実態、これに対する行政機関の対応など行政対象暴力に対する実態を把握するため、日弁連民事介入暴力対策委員会、全国暴力追放運動推進センター、警察庁の三者が共同し、全国の都道府県、市及び特別区の合計852自治体〈総務、公共事業、環境、福祉、不動産の5部門)にアンケート調査を実施した。調査票回収数は3,018通(回収率70.8%)であった。
1 不当要求等の有無
回答のあった3,018通のうち、過去に反社会的勢力から不当要求等を受けたものは約30%。うち最近1年間に不当要求等を受けたのは約50%。
2 不当要求等の行為者(複数回答)
えせ右翼、えせ同和行為者がそれぞれ約40%で、暴力団、暴力団関係企業を上回る。
3 不当要求等の内容
機関誌購読(24%)が最も多く、次いで、物品購入要求(20%)、生活保護等の公的給付の支給要求(14%)等。
4 不当要求等の態様(複数回答)
電話(80%)、来庁(57%)によるものが大半。
5 来庁時の態度
言動、態度で威圧(86%)、執拗に来庁(33%)、灰皿を投げる・胸倉をつかむ等の暴行(15%)もある。
6 対処の仕方
全ての不当要求等を拒否したものが約87%、全体の11%は一部の不当要求等に応諾。
7 応諾理由
・ 威圧感を感じた (32%)
・ 報復の危険を感じた (17%)
・ 対応に不慣れ (27%)
・ 他の行政機関でも対応しているから (5%)
・ 金額が少額 (8%)
・ 当方にも非 (14%) |
| 行政対象暴力対策の必要性 |
○暴力団の死命を制する問題
暴力団対策法施行後、暴力団対策は「暴力団VS警察」から「暴力団VS国民」の構図に転換した。
公務員は全体の奉仕者として、国民を守るべき立場。職務の根拠である各行政法規に基づく行政権限を適正に行使することにより、暴力団等反社会的勢力の表社会への進出を阻止できる。
行政対象暴力に屈することは、暴力団等が表社会へ進出することに手を貸す結果となる。
○行政機関の姿勢、真価が問われる問題
行政の運営は、公正、公平が基本である。
現代の行政は、透明性、説明責任に加え、法令を厳正に遵守するコンプライアンスが問われており、暴力容認は行政に対する信頼を損なう。
○企業対象暴力対策を左右する問題
企業は、平成9年以降、暴力団等との関係遮断を懸命に行っている。
行政が不当要求行為に屈して、企業に誤った行政指導をすることは、企業の暴力団等排除活動への努力は水泡に帰することとなる。同時に行政は、信頼が地に落ちることとなる。
◎対応策として考えるべきことがら
○不当要求行為には屈しないとする毅然たる対応
○組織的対応を進めるための仕組作り
「不当要求行為防止の対策要綱」「職員コンプライアンス条例」などを制定
「不当要求防止責任者講習」の受講等
○警察、顧問弁護士、暴追センター等と連携
反社会的勢力についての情報を共有しあうこと。
暴力団等は、警察による検挙をもっともおそれている。 |
| 静岡県内の行政対象暴力事件等 |
○暴力行為等処罰法違反の疑いで、田方郡土肥町、自称右翼団体機関紙記者(53)が逮捕。
調べでは、記者は平成15年4月10日、土肥町役場で町の行事に対する補助金交付などに因縁を付け、町職員ら4人に「でかいの3、4台で街頭宣伝をかけてやるなどと脅迫し、書類などを職員らの顔に投げ付けるなどの暴行をした。(15/06/25)
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○アンケート調査結果
静岡県内では、行政対象暴力事件としての検挙事例は少ないが、一部の市で幹部職員に対してアンケート調査を行っているが、その結果によると、回答をよせた者の40%〜55%の者が反社会的勢力からアプローチがあったと回答している。
回答の多くは、「機関紙誌の購読要求」「紳士録の購入要求」であるが、「公共工事の下請参入の要求」等があり、一部には自宅まで押し掛けられているとの回答があった。 |
| 行政対象暴力対策の推進状況 |
○静岡県暴力追放運動推進センターでは、平成14年8月から、警察本部、静岡県、各市町村との連携を強化し、行政対象暴力排除のために
・各自治体単位での行政対象暴力対策の「幹部職員研修会」の開催
・各自治体による「行政対象暴力対策要綱」の制定
・不当要求防止責任者講習会の開催
を呼びかけている。 |
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