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◆「付き馬屋おえん 吉原御法度」 南原幹雄 -29- P324 \590
吉原の付き馬屋、おえんの活躍を描く短編集。TV番組と同じで、時間つぶし以上の意味はない。最大の問題は、付き馬=取り立て屋であり、その取り立て方法が全く唾棄すべきものであるということである。
いくら作者が「おえん」を魅力的にしようとしても、こんな無法者には共感できないし、吉原という特殊な社会の仕組みを天下の正義のように振り立ててたとえ違法であっても、手段を選ばないで取り立てを行う「おえん」には反感を感じてしまう。
まるで自国の正義を振りかざして戦争を始めるどこかの国みたい。
いいかげんにしろよ!
読む価値は全くありません。
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◆「退屈姫君伝」 米村圭伍 -30- P433 \590
この前の「付き馬屋おえん」と同じ時代物、値段も同じ。
えら〜〜〜い違い。こっちはすごっぅく良いです。
「風流冷飯伝」から読んでください。こちらの方がさらに楽しいが、続けて読むと更に良い。
いいですよ。590円でこれだけ楽しめれば本当にラッキー。 |
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「昇竜剣舞5」 ロバート・ジョーダン -31- \640 P271
かしまし娘とマットのエバウ・ダーお騒がせ旅行記は一向に進展しないが、妙なことから「識女」の組合?の監視を始めることになる。
意外なことに、光の子の本拠地がショーンチャン人に襲われ、モーゲイズは脱出がかなう。
ペリンとビアレインはギールダンに赴く。
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◆「華栄の丘」 宮城谷昌光 -32- \495 P287
先日読んだ晋の士会とほぼ同時期の宋の華元の活躍を描く中編。
華元は、礼と徳の人である。そういう意味で、自分にとっては士会よりよほどわかりやすいし、素直に同意できるところが多い。
「宋襄の仁」をこれほど美しく書いている本はないと思う。
そして、再び楚と対峙し、200日の籠城を成功させる。宋という国の姿の美しさ。
さて、引用は華元が士仲を自分の臣とするときの会話。
華元は士仲のその才能を確認し、自分が士仲を公に推薦した場合どうするか聞いたところ、士仲は、
「わたしは頑鈍な者ゆえ、二君に仕える器用さをもちませぬ。こういう者は、主に益をもたらしたかといって、君に仕えれば、損をもたらします。およそ有能とは、両刃の剣にたとえてよく、人を傷つけ、おのれを傷つけもするのです。それゆえ、人に仕えるには、能ではなく徳ですべきであり、主はその徳をおもちですが、哀しいことに、わたしには薄徳しかありません。それが存念です。」
華元はこの決意におどろく同時に、徳の薄さを悲しむ士仲の心に打たれた。
「徳は、生まれつき、そなわっているものではない。積むものだ。足下に落ちている塵をだまってひろえ。それでひとつ徳を積んだことになる」
一瞬、目が覚めたような表情をした士仲は、つぎに、
「恐れいりました」
と、いって、華元にむかって拝手をした。 |
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◆「十手人」 押川國秋 -33- \619 P288
青年源七が同心佐々木玄一郎の岡っ引きとして成長し、活躍していく姿を、流刑人の母との葛藤、薄幸の娘お菊との愛をからめて描いている。
読んで損のない本です。 |
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◆「御宿かわせみ」 平岩弓枝 -34- \476 P284
活版組の本です。軽いです。
本の値段は安いが、このシリーズは古本屋で買えば十分か? |
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◆「象と耳鳴り」 恩田陸 -35- \562 P318
解説など非常に持ち上げて書いてあります。2001年このミス6位。
恩田陸さんの本はあまり読んでいませんが、この本に関する限り、怖いお話を書く人です。
ミステリィの短編集なのですが、QEDの後、収まりが悪いというか、ぞっとする方向に一押ししてくれます。これが怖い。怖い方に怖い方に倒れていく。
すごい人ですね。 |
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