歴史小説

定金伸治
ジハード1・2・3・4 集英社文庫 この作者はやはりジャンプノベルの「ジハード」で高校生デビューした作家さんです。10年続いた小説で、若者向けでしたがなかなか面白かったです。それのいわばリメイク版で、大人でも楽しめる歴史小説に仕上がっています。内容が濃くなって深みが出て、キャラも増えています。歴史に基づいていますが、十分に仮想戦記しています。実は最初はただの文庫版と思いかっていませんでいたが、ちょっと覗いてみたらぜんぜん濃いので、1.2と2冊同時にかってしまいました。3が楽しみです。主人公のヴァレリーとエルシードの2人を中心にラスカリス、ルイセ、シャザラート、元暗殺者カミール、などなどのイスラム世界と、獅子心王リチャードの十字軍との対決を軸に物語りは進んでいきます。ロビンスクリュー(ロビンフッド)も出てきたり、遊び心にもとんだ作品です。しかしこの作品を読むと当時のイスラム世界の寛容の精神があればと思ってしまいます。むしろ当時の十字軍の方が今のイスラムに近い印象を受けます。(まあ今のアメリカのやることも現地の人にとっては十字軍と同じ余計なお世話かもしれませんが・・。)
正月中、書店回りをし倒して、やっと4巻を買えました。さて、今回ですが、戦いよりも政治的な動きがなかなか見所です。しかし獅子心王リチャードの果断な一直線なところは今の日本の政治家にほしいところでしょう。なんていうか、派閥だの何だの、最初は国民のためでも最後には派閥のための政治にしてしまう現状を何とかしてほしい感じです。まあ、「ジハード4」ですが、今回主要な登場人物が2人死亡します。また、陣営を変わる人間が2人。しかもあの人物も入れれば3人かな?その人物とは高木彰光の作品や伝説の部分で、死亡していたはずなのに逃れて生きていた歴史上有名な人物です。正体は次巻に行けばもっとはっきりします。しかい、。新書版の2冊分の容量+新規書き起こしで、文庫でも大変お徳感のある本です。是非はまることお勧めです。
さて、5巻です。物語も佳境に入ってきていますが、戦いのペースはだんだん落ち、しかし大規模になっています。物語は宗教を超えた政治?の舞台から戦闘になっている感じですね。最初の頃よりも個人の動きが揺らぎのようになってきている感じですね。リチャード王の妻べレンガリアや、妹アリエノールなどはそれが顕著なのでしょう。蒼狼もその中の一人?・・・?まあ来月が楽しみです。


トップへ
トップへ
戻る
戻る