SF



アイザック・アシモフ  いわずと知れたSF界の大御所。特に有名なのは「銀河帝国の興亡」の「ファウンディーション・シリーズ」でしょう。正に大
作といってよいと思います。ただ、シリーズ終盤の作品は、だんだんE・E・スミスのような感じを受けました。特に第2ファ
ウンディーションのあり方はまるでアリシア人(レンズマンシリーズ)のようです。

E・E・スミス 巨匠といわれるにふさわしい作家でしょう。やはり代表作はレンズマンシリーズ。はるかな未来で銀河パトロールと宇宙海賊ボスコーンの戦いを描いたSFです。初期の頃の「スカイラーク」シリーズもいいです。しかしこの人の小説はまさにアメリカ人といった感じです。知力の優れたアメリカ人が1番。といったアメリカ主義的な発想が見え隠れします。また、人名などは小さな犠牲のような感じに書いてあるのもちょっといただけません。正義のためには惑星すらぶっ壊す感じ、まさにいまのイラク?に共通する感性がありますね。人種偏見もあるでしょうね。黒人などの有色人種はほとんど出ません。唯一出るシローという日本人は夫婦で武道の達人という設定ですが、台詞はなし。主人公の危機を救うシーンがありながらこれです。さらにイメージとしては頭が弱いようにに感じてしまう書き方をしていますね。まあ、同時期の推理小説の「ノックスの十戒」にも「中国人は出さないこと」などある時代ですから。(中国人は魔術的な事ができて推理小説に出すにはアンフェアーだと思われていた。)

エドモント・ハミルトン 古典的SFの名手。スペースオペラといわれた時代活躍しました。代表作は「キャプテン・フューチャー」シリーズでしょ
う。「太陽系7つの秘宝」「人口進化の秘密」など、1950〜1960年代の科学をふんだんに取り入れた傑作です。今読む
とやはり科学が古臭く感じてしまいますが、素朴でよいです。たとえば、宇宙船のエンジンにサイクロトロンを使うのに
遮蔽物をしてないし、燃料が銅?だったり。テルビウムをつかった、振動エンジンであっさり高速度を突破したり、原子
の電子の軌道を圧縮することで人間を縮小したり、縮小した世界でには原子核の恒星に電子の惑星があって、太古
の移住した人類が住んでいたり、原子の電子の回転を磁力で逆回転してタイムトラベルしたり、滅茶苦茶というかおお
らかな作品群です。ただほとんどすべて絶版で、手に入りにくいです。「スターウルフ」シリーズ3冊5000円で古本屋で
売られていました。
キャプテンフューチャーシリーズ 全20冊 早川書房
スターウルフシリーズ 全3冊 早川書房
東京創元社でキャプテンフューチャーシリーズは復刻されるようです。僕はちょっと買いません。お金というよりも書棚の
場所がないのでちょっとね・・・。

神坂一
トラブルシューター・シェリフスターズ
MSシリーズ全5巻
SSシリーズ全4巻
MMシリーズとMSシリーズとかぶってリンクしています。SFですね。スペースオペラですよ。ある意味クラッシャージョウと世界観が似ていますね。それを神坂一特有のシリアスとギャグと外しのテイスティングが絶妙。イラストの光吉賢司もいいイラストを書いてますね。コミックも1年ぐらい前に書いていますが、いい味を出していますよ。


笹本祐一
ARIEL1〜20完結 やっと出ました20巻。これで最終巻となりました。これを1巻から読んでいくと、宇宙開発がわかったような気になるのはなぜ。さて、物語はゲドー社を名乗る宇宙人が全長10kmの巨大宇宙船で、銀河帝国の名の元に人類に宣戦布告をし、毎週1回ペースで宇宙怪獣(宇宙人の起動兵器)を使って侵略する。それに対し、通常兵器は歯が立たず、富士山麓にある国立科学研究所所長がほとんど趣味で作り上げた、人間型レーザー核融合とうさい美少女ロボット兵器ARIELが人類ただひとつの希望・・・。と書くと際物のように思えますが、細部の描写はリアルですし、ちょうどウルトラQ のような回もあります。また、当然人類側には各省庁の思惑、政治家の思惑、各国家の思惑が絡んだり、宇宙人のほうも侵略は帝国からの下請けで倒産寸前の会社が補助金で行なっていたりと、なんと言うかリアルでサイケでサイエンスといった感じです。特に最終巻の20巻では特にアメリカはアメリカといった感じです。
別シリーズの「星のパイロット」シリーズは近未来の宇宙開発を舞台にしたSFです。特に「彗星狩り」はお勧め。火星探査で盛り上がったところでこのシリーズの特集があってもいいと思うのに・・。でもこの作者は火星探査のTVでNHKに出演しました。


庄司卓 いろいろシリーズがありますが、あえてスーペースオペラ形式の作品としてここに入れました。代表作「それゆけ宇宙戦
艦 山本洋子」。雰囲気は今風ですが、科学的な考証がしてあるように見えるのにはすばらしいです。時代は遥かなる
未来ですが、量子力学的な「タイムパラドックス」の説明が出来ています。「絶対観測者」「トュプラーの円筒」などな
ど・・。しかしあくまでエンターテーメントして出来上がっているのがいいです。この作者の物は、ファンタジーの「ダンシン
グ・ウイズ・ザ・デビル」と並んで好きな作品です。その「ダンシング・ウイズ・ザ・デビル」も裏設定?には量子力学が絡
んでいるようです。


林穣治
記憶汚染 この作者は仮想戦記が主体でいましたが、最近はSFも守備範囲に入ってきています。デビューが「大日本帝国欧州大進撃」で、その後は「兵隊元帥シリーズ」「帝国海軍航空隊シリーズ」などリアルな仮想戦記が多いです。しかし、遊び心はあふれていて、思わずにやりとしてしまうことも多いです。最近ではガンダム戦記をやはりリアル系で書いていますが、納得してしまう出来に仕上がっています。さて、この「記憶汚染」ですが、2030年代の話です。衛星軌道上に通信端末を建造し、個人の認証から経済上のことまで端末で済んでしまう時代です。その結果、第3世界がの情報格差がなくなり、戦争よりも経済生産になり、平和になっています。日本では10年前にテロで原発がメルトダウンし、その後遺症で苦しんでいます。そこに古代の縄文時代の地層から円盤上の土器が出土します。その分析をするとそんなに古代ではない可能性が出てきます。書いてある文字はHPのweb言語のような文法です。さらに遺跡は爆破され、テロリストの仕業のようです。さらに別の場所では新しいCPを研究していますが、モルモットの脳に繋ぐと、10匹が同時に死んでしまいます。さらにいつの間にか外部につながっているようで、外部の映像を表示し始めます。そこにテロリストが絡み政治上の政党が絡み、ある思惑も絡んでいきます。時代の世相から感覚、技術までしっかりとした世界観が感じられる小説です。

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