架空戦記



佐藤大輔
レッドサン・ブラックク
ロス
佐藤大輔の名著。継続中(というか中断?)日露戦争で乃木稀輔がもう少しばかをした後の世界。おまけにクロパトキンもちょっと強気。奉天会戦で乃木が自暴自棄を起こして突っ込んで、陸戦では日本が負けた後(史実でも乃木は旅順要塞での戦闘の目的と結果を間違えていたし)、日英同盟が続き、日本は貿易国家となり、第2次大戦が始まったが、日本本土は英国より遠く、英本土陥落、米国は孤立主義で、ルーズベルトは失敗で失脚、ウィルキー政権になりドイツより。そこで第3次世界大戦がドイツの米国侵攻で始まる。まあアメリカがぼろ負け、首都には原爆を落とされるわ海戦では負けるわ、さらには南部諸州が分離し東西アメリカの分裂。といったところでの、強大になったドイツ帝国と、日本の戦いを描いた物。88mm新型砲塔をつけたパンテルUと秋月級の長10cm砲をつけた7式中戦車の戦いや、大和級(大和、武蔵、、但し史実とは違い33ノットの高速戦艦になっている。また集中防御方式ではなく、ダメージコントロールを含む間接防御方式になっている)、改大和級(信濃、甲斐46cm砲が45口径から50口径に強化)、紀伊級(紀伊、尾張、史実の51cm×6門の超大和級戦艦)、播磨級(53cm×12門のガスタービン駆動34ノットの超々々々々巨大戦艦)対ビスマルク級、バルバロッサ級(O級巡洋戦艦、38cm×6門)、フリードリッヒ・ディア・グロッセ級(史実のH級戦艦42cm×8門)、フォン・モルトケ級(51cm×8門)フォン・ヒンデンブルグ(53cm×8門)の海戦。など大艦巨砲主義にも空母優先主義にもたまらない世界です。ちょっと日本の経済力が強すぎです。いくら貿易立国になり、中国が共産党と蒋介石の戦いが泥沼になり、蒋介石への武器貿易でもうけたとしても、999艦隊計画(9隻の新鋭戦艦、9隻の巨大空母、9隻の旧式戦艦の改造)から輸送船、護衛駆逐艦、護衛空母、果ては戦車から原子力潜水艦、勿論、戦略爆撃兵団(富獄および富獄改)墳進式戦闘機(いわゆるジェット戦闘機)などの生産力がちょっとすごすぎでしょう。 徳間書店 文庫1巻〜7巻
外伝3冊
中央公論新書完全版2巻まで
死線の太平洋上・下
パナマ侵攻1〜3続巻?
侵攻作戦パシフィック
ストーム
こちらはやはり第3次世界大戦物。もしアメリカが南北戦争で分裂したままだったら、カナダとアラスカはイギリス領、第2次大戦に日本は深入りして、海軍も陸軍も近代戦を戦いまくった。海軍は海上護衛戦を経験、主人公の真田少将はイタリア海軍の戦艦部隊に軽巡と駆逐艦の舞台で殴りこみ。日本はイギリスとフランス上陸作戦までしたが、国力不足でドイツ降伏まではいかなかった。かくて日本とイギリス、南部連合は同盟国。合衆国とドイツは準同盟国。日本の海軍力は戦艦主体だが、大鳳級装甲空母もそろえ、ジェット化も完成。サウジなどの石油を押さえ世界の第2位の経済力。10年後には世界で1位になる予想。そこでジョン・F・ケネディーは横須賀軍港を空母で奇襲し、日本を叩きのめそうとするところから始まる。10年後の覇権をかけて・・。 中央公論新書
1巻〜3巻
外伝1巻
皇国の守護者 主人公、新城直衛を描いたちょっと偽悪的な小説。はっきり言って主人公は性格だけなら立派な悪人。小心で疑り深く、嫉妬深く、後ろ向きな性格。しかし戦争となるとその性格が向きすぎている。細心に大胆。心より罵倒しつつ戦いを楽しんでしまう。副官は美しい両性具有者。愛人は捕虜にした東方辺境姫。上流階級には妬まれ、下層者にはあがめられる。国をうえいるものには中心にすえられる。
最新刊8巻発売
中央公論新書1〜8巻
凶鳥フッケバイン この作者は、レッドサンブラッククロスなどの仮想戦記が主体です。これは第2次大戦末期のベルリン攻防戦のさなかにある田舎町の近郊に墜落したコードネーム「フッケバイン」をめぐる攻防戦を描いた物です。主人公の陸軍降下猟兵グロスマイスター中尉は、ベルリン攻防戦のさなかスコルッツィーニィ少将に呼び出され、回収もしくは破壊を命令されます。全編にちりばめられているのは、敗色濃厚なドイツのリアルな現状ですが、その裏には結構きているものがあります。勿論最後の方に出てくるE-100超重戦車、マウスなどの兵器群。しかしもっとそそるのはツングース大隕石から始まるMJ-12に関する物です。H・G・ウエルズの宇宙戦争から、ムーを読んでいた人にとってはなかなかの一品です。 角川文庫




横山信義
架空戦記の草分け的な方です。有名なのは88艦隊物語(徳間書店)やはり男と生まれたからにはいつかは戦艦てな感じですね。
修羅の波濤1〜8 もし真珠湾攻撃が合衆国に察知されていて、ハワイが鉄壁の防御をされていたら?という出だしで始まる仮想戦記です。日本はトラック島まで放棄し、兵力密度を上げ、通商破壊戦から機動部隊による補給部隊の襲撃から米空母部隊のおびき出し、などあらゆる方策を採って戦います。史実よりもよりベターな戦略をとっているのが面白いです。最後に講和の盤面で宣戦布告の送れた原因になった外務省職員を懲戒免職するのがいいです。なにしろ責任を取らない役人が多すぎる。
海鳴りはつるとき ミッドウエー攻略でなく、米豪遮断作戦(いわゆるFS作戦)を行なった場合の連作です。5巻でソロモン撤退するために、山元五十六が武蔵に座乗して撤退作戦の指揮をとり、最後に米戦艦3隻と戦い戦死してしまいます。その後、連合艦隊司令長官は古賀峯一、参謀長は山口多聞で6巻が始まります。全体的な戦術戦略面での描写はさすがです。しかし、ややマンネリのような気がしています。米軍の質と物量の航空戦か。角田提督ひきいる機動部隊、第三艦隊は間に合うか。トラックは防衛できるのか。時間がターニングポイントでしょう。

トップへ
トップへ
戻る
戻る