第2話。『第4特殊遊撃部隊』
1936年・・・小雪のパラつく日に僕は自分の計画の第一段階を叶える事に成功した。『第4特殊遊撃部隊』・・・。何も知らない・・・。ある意味稀有。ある意味・・・異質な存在。・・・そんな人間を集め・・・。上層部は・・・人体実験を目論んだ。それが・・・『ЯR』・・・『リバースプロジェクト』だったのだ・・・。最初の被験者は・・・『彼』。隊長だ。秘密を保持するためには最適の人事。・・・云わば、『失敗作』だった・・・『ファーストタイプ』。彼はだからこそいつでも罪悪感を抱いていた。実験とその実験体の選定に加わる事に・・・。だが。僕は希んで実験体になろうとしている。
こんなプロジェクト・・・無くていい。・・・どうしてこんな物が決まってしまったんだろう?・・・誰ももう傷付く事無い様に。もう、こんな辛い世界に悲しみを感じる事も無い様に・・・。・・・それが、僕の目的。本当の。誰にも悟られないままで構わない。・・・誰かが苦しむ必要なんて・・・無いから。僕が引き受けるから。皆、何も知らなくていいよ・・・。僕が・・・なるから。『あれ』に。皆が大好きだから・・・。だから・・・そんな皆があんな『計画』で自分を失うなんて事無くていいから・・・。
僕が実質の被験者を選定する部隊『第4特殊遊撃部隊』に入隊した時、部隊には隊長の他に4人の『被験者』候補が居た。
まずはYou。元々は補給部隊に居たらしい。僕の入る半年ほど前まで。敵襲で全滅した時の生き残り・・・。おそらく、その生命力やそして半年ほどで前線に復帰するほどの精神力・回復力。それが原因で『被験者』候補になったのだろう・・・。およそ軍人らしくない性格。生と死に酷く敏感で他人の怪我ならば軽症でも酷く怯える・・・。普段は更に『軍人らしさ』とは程遠い。何故か厨房に行って料理を作ってみたり。それほど饒舌では無いが、それ故に考えさせられる言葉を告げる事もよくあった。
次にMasa。Youの入隊する少し前に入隊したスナイパー。狙撃手としてはかなりの実力を持ち、狙撃部隊に居た。だが・・・どちらかと云うと問題児。気に入らなかったら誰にでも立てついた・・・。それを疎んじられ、難癖をつけられ軍法会議にかけられそうになったらしい。・・・勿論、Masaに非は無かった。それにMasaは真っ向から歯向かった。・・・本来なら粛清ものだった筈だ。だが、その才能を高く評価した隊長に『被験者』候補として部隊に連れて来られ免れたが・・・。普段の彼はどちらかと云えば、『やんちゃな子供』だった。幼い顔立ちもそうだが話し方も性格もまだ、少年の域を脱していない。激昂しやすい面もあった。だが、確かに狙撃手としては大した才能の持ち主。その時だけは冷静だ。
それからRen。創設当初からの隊員で通信兵。いつでも無線機を持ち歩く機械オタク。最初からその機械に対する知識や通信技術を買われて『被験者』候補に挙げられていたらしい。機械を操る割には性質はMasa同様、子供っぽさが残る雰囲気を持っていた。技術者としての側面とは裏腹に動物好きで優しい笑顔を浮かべる。時々、本部から色んな情報を仕入れているようだ。重要機密からゴシップネタまで。
最後にToshi。隊長の補佐的な役割を担っていた。僕が入隊した頃まで兼務的に他の部隊へ狩り出されることもあったらしい。爆弾処理のエキスパートで稀に作戦によっては自ら爆弾を作り上げる事もあったらしい。普段は物静かでよく本を読んでいた。・・・だが。時々、Renと一緒に『大人な』本を読んでいた。時々、隊長までその会話に入り込んでいた・・・。冷静で理知的。落ち着いていたと思う。僕たちよりも少し年上だった所為かうまく普段と作戦時の顔を使い分けていた。
・・・そんな4人に初めて逢った時、その独特の『ノリ』に一瞬引いてしまった。とにかく、滅茶苦茶明るいノリだった。それでいて何だかうまく機能している。第4指令基地。・・・そんなものいまだ存在などしていないのに。・・・表向きだから。そんなのは。あくまでもこれは・・・『被験者』を選ぶためだけの・・・『計画』だから。類稀なる天賦の才。簡単に得られるものではない。それぞれの生き方、それぞれの能力。そんな能力を『実験材料』に・・・。
それを見つめている隊長――――――。彼は何を思っているのだろう。・・・自らが一度、『実験材料』にされた身の上。研究のまだ進まない段階で研究者たちは彼に『被験者』としての運命を与えようとした。・・・最初のパーツを。だけど・・・それだけでは足りなかった。結局・・・。彼は『拒絶反応』を引き起こした。一度消された記憶。よみがえった記憶。記憶・感情・心・・・。あってはいけない。あれば『完成体』になる事は出来ないから・・・。そして、彼は総てを・・・取り戻してしまった。それが・・・『ファーストタイプ』の失敗だったのだ・・・。
だが、負の感情・・・。それを操る思念体・・・。『未知なるパーツ』の『足りない部分』。是を補完する事によって『完成体』を得られるのではないか、と上層部は仮定した。そして・・・あの悪魔の実験を再開させる事を企んだ・・・。そして・・・その為には・・・一度、『失敗作』となってしまった『ファーストタイプ』・・・彼を眠りから解き放つ事を・・・選んだのだ。秘密を保持するために。『失敗』してしまった『ファーストタイプ』はそれなりのリスクを負っていた。だからこそ・・・彼らは・・・『ファーストタイプ』を『冷凍睡眠』にかけた。眠りから解き放たれ、『ファーストタイプ』は『第4特殊遊撃部隊・隊長』 としてよみがえった。計画の全容を知る者を。秘密を護るために。そして・・・彼は・・・4人を集めた・・・。最後に・・・僕が志願するまでに。
台詞が・・・・無い(死)なんですか、これ(爆)Gacktの知る秘密が少しだけ語られてます。まだ茶々については秘密があるんだけどね〜♪3話からは完全に過去編にはいるかなぁ?