Rainy−days・・・


第1話    『Private Eyes(探偵たち)』

 RRRRR・・・機械音。無機質な。

 『御用の方はピーと云う発信音の後に・・・』
 ガチャ。留守番電話からやわらかい声。

 『人を捜して欲しいんです。明日の15時にそちらに伺います・・・』

 留守番電話を聞いていたのは背の高い一人の青年。

 「・・・依頼、か・・・」
 彼はそう・・・呟いた。



 ある繁華街の一角にある雑居ビル。そこに『神威探偵事務所』は存在していた。5階建ての4階部分に。4階の面積は決して広くはない。3部屋である。

 1部屋は調査スペース。1部屋は受付。もう1部屋は『彼』の居住空間。

 キッチンで湯を沸かす。シュワシュワと音がする。
 「・・・累・・・」
 彼は呟く。今は居ない『彼女』の名前を。



 『集合ね。明日の14時』
 いつもの短い電話。『彼』からの。桜澤 憂は仕方無しに半休をもぎ取って13時過ぎに向かった。珍しくそこには柊城 憐が居る。

 「あれ?憐、珍しいじゃん」
 「ハロビッチャ☆憂、久し振り〜♪今日はうちのにゃんこたちが予防接種だったからお店を休みにしてたのにゃー☆」
 憐は普段、この事務所からJRで3駅の閑静な住宅街でペットショップ『U+K』を経営している。
 「あ〜・・・成程。だからかぁ・・・」
 そこへ部屋の主が現われる。
 「あ、おはよう、憂」
 「おハヨ、ガク。今日は何?」
 「・・・昨日の夜、依頼の電話があってね。15時に来る」
 薄く微笑を浮かべて家主―――――――――神威楽斗が答える。壮絶、とも云える印象を与える蒼い瞳。
 「茶々さんはまだ来てないの?」
 「うん」
 「美容師さんだもんねー・・・」
 もう一人の仲間、藤村幸宏―――――――――通称・茶々丸―――――――――は豪奢な金髪を持つ男で、皆のまとめ役でもある。普段は事務所からバスで10分の路面電車沿いで美容室『ChaCha』を経営している。

 「ってかさ!何でいっつも依頼平日に受けるんだよ。しがない公務員に半休取らせるなよ・・・」
 憂は地下鉄で1駅の公立保育園で保父をしている。従って、平日は仕事なわけで。
 「・・・仕方ないでしょ・・・依頼人次第だし・・・」
 楽斗が苦笑する。憂は言葉につまっていたがまだゴニョゴニョ云う。
 「もー。いい加減にしてよね。これは『お仕事』!それが『約束』でしょ?」
 「・・・だってさぁ」

 子供の喧嘩か。憐はそう思いつつも沈黙する。こういう時はとばっちりを食らわないように関わらないに限る。連れてきた猫のミー助と戯れる。その時だ。
 「悪い悪い!遅ーぅなったな」
 4人目の人物が現われた。
 「あ!茶々ー♪オハビッチャ!」
 憐が満面の笑みで手を振る。楽斗と憂も口々に挨拶を述べる。
 「で?依頼人は?まだ?」
 「うん、まだ」
 楽斗が答える。
 「何時に来るん?」
 茶々丸が尋ねる。
 「15時だって」
 憐が答える。
 「そっか〜。じゃあ、30分近くあるな。憂!飯作れや」
 「あ、それいいね!」
 「やった!」
 茶々丸の言葉に楽斗と憐が口々に賛成する。
 「・・・俺の意思は・・・」
 「無い」
 3人に断言され、憂は渋々キッチンに向かった・・・。



 「はい。カルボナーラ」
 憂がパスタの入った皿を手に戻ってくる。割り箸で食べるパスタ・・・どう見ても何だか変。
 「・・・エレガントじゃないよね・・・」
 「仕方ないじゃん。ガク、あんまり物食べないんだし」
 「むぅ・・・」
 楽斗が押し黙ってその後小さく『今度はプラスチックのフォーク買い置きしておこう・・・』と呟く。

 「って云うか水!ヴォルヴィック頂戴」
 「はいはい」
 甲斐甲斐しく世話を焼く姿はまるで家政婦(夫?)。いつもの光景である。
 「ってかさぁ、もうじき15時だけど大丈夫なん?」
 憐がパスタを口にしながら尋ねる。
 「・・・ま、いいんじゃないの?」
 パスタを食すのに勤しむ4人。そこにチャイムの音がした。

                     To Be Continued・・・


どうも。やっと更新の第1話です。日常風景?な第1話。MasaもToshiさんもまだ出てません。ミー助は出てるのに(笑)ところでこの話、何気に何処かの地域色を帯びてます。路面電車に地下鉄にJR・・・ちなみにバスは市バスなんだとか(笑)そう、某府某市を何気に意識してたらしぃ(爆)
2話も早めに更新できたら・・・いいな(遠い目)


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