act.2 来訪者


 その頃。『風の世界』と『地の世界』の国境線に『地の世界』側で一番近い村『ゼヴェル』に二人の来訪者が居た。一人は落ち着き払った男性・・・年齢もハッキリしない感じだが・・・。そして、もう一人。長い黒髪に蒼い瞳の青年。ゼヴェルの人々はある意味怯えていた。
 「・・・結城・・・。国境線はここからどれくらいの場所だ・・・?」
 「・・・国境ですか?・・・そうですね・・・北へ馬車で30分ほどと聞きましたが・・・」
 『結城』と呼ばれた男性が振り向く。
 「・・・『風の輝く場所に刻ありき。風がゆらめく場所に光ありき。其を抱く者、かけらを抱いて風に育つ。彼の者、刻と光を司る者なり』か・・・。右狂の『神託』だったな。我らが『光の神官』・・・」
 「眩葉様。油断は禁物です。あちらにも『刻の神官』が居るのですぞ?」
 「判っている。『刻の神官・舞紗』と『風の後継者・有羽』。この二人が我らの障害になることもな」
 「・・・そうです。だからこそ気を付けなければならない。『刻の神官』と『風の後継者』。それからもう一人・・・『光に近い少年』・・・」
 「・・・右狂が気付いているのならばおそらく『刻の神官』も我々に気付いているだろう・・・面白い。・・・『刻と光の狭間の者』絶対に我らが得る!」
 眩葉が云う。結城は眩葉に長い事仕えているが、『黒き王子』は『地の世界』に生きる事を望んだ。・・・同じ属性を持つ『刻と光の狭間の者』を得るために。
 「・・・眩葉様・・・」
 「・・・そうと決まれば明日は向かうぞ。『風の世界』へ」

 その頃、『地の世界』の都では『光の神官』である右狂が祈りを捧げていた。彼は半ば泣き出しそうな表情だ。
 「・・・どうか・・・『刻と光』を・・・」
 その時、微かな物音がした。
 「誰だ!?」
 「・・・・・・・・・・・・・・・あ〜ら・・・見付かっちゃったよ、魔名ちゃん」
 陽気な声があがる。2人の人物が後方に居た。魔名と呼ばれた青年(?)はゆっくりと右狂に近付いた。
 「・・・さっすが『神官』だよね〜。俺の侵入に気付くなんて」
 「――――――――――――っ」
 右狂が息を飲む。
 「・・・僕たちが何で此処に来たか気付いているんだろう?最高位の『光の神官』である右狂、貴方なら・・・」
 「・・・まさか・・・」
 「・・・ふふっ・・・。そうだよ。『刻と光』の在処だよ」
 「・・・あれは・・・許可無しに話すべき物ではない!」
 「・・・半ば調べはついてるんだよ・・・。ならば、僕の魔術で口を割らせようか?」
 「な・・・っ!?」
 「・・・∋ΩЖЮΞ∂Я・・・」
 魔名が呪文を唱える・・・。
 「うわあぁっ!」
 右狂が悲鳴を上げる・・・。
 「・・・どうだろ?魔名ちゃん」
 「大丈夫さ、紅司・・・『呪法』は成功した・・・。さぁ、右狂・・・『刻と光』の事を話してくれるよね・・・?」
 「・・・『風の輝く場所に刻ありき。風がゆらめく場所に光ありき。其を抱く者、かけらを抱いて風に育つ。彼の者、刻と光を司る者なり』・・・。『彼の者得る。それを邪魔せんとする者・・・。風の能力引き継ぐ者・・・刻を司る者・・・光の能力強き持ちし少年』・・・」
 「・・・『風の能力引き継ぎし・・・』・・・なるほど。有羽とか云う少年だな。それから・・・『刻を司りし・・・』・・・そうか・・・。あの子か・・・。もう一人はイマイチ判らないが・・・。紅司!行くぞ!『ЁЭΨΘ¢√?』!!」
 そのまま魔名と紅司は『神殿』から消えた・・・。右狂を連れ去って・・・。
 「・・・舞紗、か・・・。もう、何年になるんだろうな・・・」


     第2話です。マリス出ずっぱり・・・。がくもぢょぶも出てない(死)第3話はがくぢょぶサイドに戻ります。
     マリスは4話か5話になったらKlaha&yu〜kiちゃんが出てくるんじゃないかなぁ?・・・魔名様たち
     は・・・まだわかんないです・・・。


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