逆河内への旅はこのゲ−トから
2004年逆河内の旅

禁漁に近づいた。今年も大した釣果もない代わりに宴会だけは温泉付きで楽しめた。最後を飾って連休を利用し懐かしい逆河内への釣行を決行した。リュックに食料、酒、釣り道具を詰め込み、今回は単独で鉄道とバスを乗り継いで寸又峡温泉へ向け第一日目の朝早くバスに乗り込む。大井川鉄道に金谷で乗り換え千頭へ着いたのが9時30分、そこからバスで寸又峡へ、バスは乗客私一人の貸切状態、何か申し訳ない見たい。趣味で釣りに行く釣り師一人だけのためにバスと運転手はお抱え状態、大名釣りである。10時30分寸又峡着、そこでウエットタイツに便所を利用して着替え、観光客で賑わう林道へと歩を進める。途中大間ダム付近で釣り師二人乗りのバイクと遭遇、昨日入ったとは思えぬ軽装であったので、早くも釣り場にあぶれてリタイヤしたのでは?わしはこれからが大変、ゲ−トを越えひたすら林道歩きand真っ暗なトンネル3本通過付きが待っている。重い荷を背負い時おり照りつける太陽にさらされ、やっとの思いで千頭ダムへ12時30分着、堰堤上で昼食の駅弁を食す。林道終点にはマウンテンバイマ2台、バイク2台、やはり釣り師の数は多い。寸又本流は笹濁りで水量が多く遡行が結構大変、逆河内も水量多めで濁りがある。餌釣りには最適な量と濁りだ。わしはあいにく毛鉤しか用意せず保険のミミズを持参して来なかった事に後悔する。今日の泊まり場は日向林道の途中の小屋と決めていたので本流を吊り橋下まで釣る。雲行きが怪しくなり雨が降り出して来る。結局今日の釣果はゼロ、つまみは用意して来たので心配なしである。1日目終了小屋へ急ぐ。

本流の濁りと水量、餌釣りならバッチGOODなタイミング、毛鉤ではチョット渋いか?
ダムのバックウォ−タ−、だだっ広い河原が延々と続く。

林道脇の小屋は以前に来た時に雨露がしのげる事を確認していたので、今日明日の寝ぐらと目星を付けておいた。運の良い事に10mもしない所に沢がありビ−ルを冷やしたり食事の用意には重宝する。今夜はホタテバタ−炒めとキュウリのなまかじり、なすの炒めものである。料理を作っているとバイクが2台通過、上流へ入ったが釣果は宜しくないとの事。林道の橋の近くでテント泊まりの三人組が入っているとの情報有り。料理を作り終え一人で「グビッグビッ、ぷふぁぁ・・・」と喉潤しタイムしていると、またしてもバイクの二人組現る。もう真っ暗なのに、これから日向林道から左岸林道の入り口ゲ−トまでかなりの距離、根性者、頭が下がります。これで坊主だったら悲惨に絵を描いた様なものである。ご苦労さん。そう言うわしもエライ思いして林道歩き川歩き、5時間位歩いている。一般人から見ればよくやるね〜〜と呆れられる部類である。大して変わりなしか。ビ−ルから焼酎へ進む頃には雨がシトシト降り出す。山はすぐに雨、テントでなく屋根付き泊まり場で快適な一夜となった。明日は小屋のすぐ横が渓への降り道、中流の古い吊り橋までは一人占め状態で釣る事が出来るので安心して眠りに着く。

二夜の宿となった「旅籠、逆河内亭」畳が敷いてあり窓ガラスが割れて飛び散っていたのを掃除して寝ぐらを作る。快適な宿となる。
今夜の料理はホタテの炒め物、結構贅沢である。次の日にはアマゴの天ぷらとニンニクと醤油で漬け込んだ豚肉をソテ−して頂く。山で食べる肉も体を動かしている所為か家で食べるのとは一味違う。今回は酒がちょっと足りなかった。次回の教訓にしよう。

翌朝も雨が降ったり止んだり、はっきりしない天気の中を出発、渓へと降り立つ。水は笹濁り、仕方がないが毛鉤で一日を通すしかない。渓が狭くなった所は渡り込みが大変、途中のちょっとした滝も胸位まで浸かり通過する。白沢の出あいまでで結構時間を費やす。魚は何とか今夜の天ぷらにする分を3匹確保する。産卵前の荒食いは全然遭遇せず。荒食いって真実かしら、今までにそんな経験はわしありましぇぇん。古い吊り橋までの距離が心配になり途中を釣らずに遡行に専念、良いポイントはあるが残念である。暗くなって帰れなくなっては洒落にならない。3時30分頃古い吊り橋着、そこで東京からの前夜林道の橋の所で泊まったと言う3人組に会う。その人達はバイクで後からやって来た2組に先に入られたと言う。お気の毒である。そこから少し上流へ行くとテント発見、今日入った釣り師のものである。ちょっと上を釣って納竿とする。林道への登りは思った程でなく、古い吊り橋横から10分で着いた。さてここからが大変、林道とは名ばかり、九死に一生ものの経験を積んでしまった。帰りは疲れているのか集中力を欠くのか、林道の崩れた浮石に乗って足を滑らせ転んで下半身が崩れた林道からはみ出し、危うく切り立ったがけ崩れの箇所を谷底へ落下となる所であった。咄嗟に手を着いたために手のひら腕を石で切った。この程度で済んだから良かったものの、滑落したら70mはあったであろう。きっと新聞に「無謀釣り師死亡」の記事が載っていたであろう。林道が安定した地点でテントとバイク4台発見、バイクは静岡と豊橋のナンバ−であった。今日わしが確認しただけでもわしも含めて8人の釣り師が入った事になる。昨日の釣り師を入れたら釣り師だらけである。明日も入るだろうからすごいね。そんなに魚釣れるのかな?? そんなことを考えながら何とか無事に小屋に辿り着き、痛い手をかばいながら今夜もつまみを用意し一人酒を疲れた体に流し込む。本当に思い出すと寒気がする様な思いであった。登山も渓流つりも下山や帰りの道が事故と遭遇しやすい事を教訓とさせられた。今後も気をつけなくては。

何とか毛鉤で逆アマゴの小型をゲット、今夜の天ぷらである。
結構渓が狭いと渡り込みが大変、今日位の水量なら何とかなるが、これ以上の水量では遡行が難しい。
白沢の合流点上に架かる夢想吊り橋、結構な高さである。
水量、濁り共に餌釣りには抜群のタイミング、わしは毛鉤のみ、今後は保険の餌を必ず用意しなくては。
白沢出合いの上流、比較的平らな安定した渓相。
結構深い滝、向かって右側を胸まで浸かり通過、林道が出来る前はかなりの悪場だったのではなかろうか。遡行に苦労したんだろうね。
この辺は林道からの距離があり谷が深い所である。遡行も大岩を乗っ越したりと大変である。
昔の古い吊り橋、多分昔はここを渡って不動岳へと行けたのだろう。ここから林道までを登る。意外と近く10分で到着。
林道から見た上流方向、日向林道が上流へと延びている。しかしバイクは無理、徒歩でもアケ河内出合いまでは到達出来ないと思われる。
帰りの林道はこんな感じ、崩れ放題で修復はなし。何年か先には人も通れなくなるだろう。魚にとっては生き延びるのに好都合である。
林道から見た夢想吊り橋、小さく見えるが川底から随分高い所に架かっている。今も使っているのだろうか。

翌日7時30分に起きて準備し世話になった小屋を片付けて林道を下り寸又橋を渡り逆河内の出合いへと道を降りる。ここにも今日はバイク一台あった。本流をダムへと下って歩いていると鹿打ち猟師に遭遇する。下西河内付近で鹿を待って待ち場にしていると言う。鹿と間違えられては堪らんとそそくさ退散する。バックウォ−タ−でテント発見、バイクも2台発見、今日も釣り師の銀座である。魚も気を抜けないね連日の釣り師の訪問だから。林道をまたテクテクと歩いて飛龍橋を渡り無事に寸又峡温泉街へ着き早速町営温泉で汗を流し乾いた喉に冷えたビ−ルを流し込む。バスで千頭に到着、その後もその勢いは続き、駅で酒とつまみを買い込み大井川鉄道の列車の中へと舞台は移り、最後に家に辿り着いた頃には酔い酔いと化すが、またしても一風呂浴びて今釣行の自分なりの反省を込め納得の酒を飲み締めとしたのであった。今回は釣果には恵まれず散々であった。まあ谷の底に屍をさらさなかった事が唯一の成果と思うしかあるまい。今後も釣り師の皆さんお互いに事故に会わぬ様ご注意あれ。

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