平成12年3月 定例会一般質問
私は自由民主党員で正風クラブ所属議員として一般質問をします。 平成12年度は地方公共団体にとって分権と福祉の新たなスタートの年度と位置づけてもよい年であり、重大な転機にあります。 この転機がもたらす困難や不安を乗り越え、明るく活力に満ち、幸せに暮らせる新たな時代を築いていかなければなりません。 7万4,976人の市民が21世紀を幸せに暮らせ、夢が持てる市長の明快な答弁を期待します。 |
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初めの質問は、本年度は第三次総合計画、第七次基本計画の策定年度に当たることから、お伺いします。 本市は昭和60年に策定した第二次総合計画基本構想で、誇りを持って住むことのできる魅力あふれる 観光のまち、伊東国際観光温泉文化都市を基本理念に当面する諸課題に取り組んできておりますが、 本年12年度をもって終了し、新たな第三次総合計画を策定する年度に当たります。 第二次総合計画は、市長のリーダーシップで積極的に取り組んできました。しかしながら、社会経済情勢は 予想を越える速度で変化を遂げつつあり、高度情報化の進展、国際競争の激化、地球環境問題、人口減 少、高齢化の到来、分権化への動きなど、21世紀の幕あけを目前に控え、これまでの価値基準の変革を 迫る大きな転換期を迎えています。 新計画は21世紀初頭を展望したとき、厳しい行財政状況の中で市として何を目標にして、どこに重点を 置いていくべきかを示す計画にならなければなりません。 したがいまして、市政全般にわたって、総花的、網羅的にあらゆる分野の政策を列挙する計画とはせず、 21世紀の初頭において市が総合的、長期的、優先的に取り組むべき施策を戦略プロジェクトとして抽出す るなど、重点化した計画にしていかなければならないと考えます。 以上のことから、2点の重点施策について質問します。 1点目は、観光基本計画の策定についてお伺いします。伊東は温泉地という特性から、もてなし の心やいやしの文化があります。これが地域の行事など生活のさまざまな場面に浸透していて、人々に深い 潤いを与えています。 それにきれいな海岸線や緑豊かな自然環境に恵まれ、市民はもちろん都会から訪れた人が深い精神的 充足を持って時間を過ごすことができます。 こうした本市の市民文化は、市外の人々からも熱い信頼を得てきましたが、これは自然と温泉をただ守り続 けてきたのではなく、全国に先駆けリゾートづくりに取り組んだ先人の努力の積み重ねにもよります。 しかし、近年は全国総観光地化など社会経済情勢の大きなうねりにのみ込まれ、先駆ける力が十分に 発揮できていないし、市内の活性化にもうまくつながっておりません。 観光の伸び悩み、市内の空洞化、風情ある街並みの消失など、本市は今さまざまな深刻な問題を抱え込 んでいます。 本市はこれからの問題の一つ一つをきちんと対処し、これからも観光地としての魅力と活力を持ち続けるた めに、私たち伊東市民はこれまで長い時間かけて培ってきたものの考え方の一つ一つを伊東市民の特性と してもう一度洗い直す必要があるでしょう。 伊豆は2000年を迎え、伊豆新世紀創造祭が行われております。先月26日には伊豆長岡町でメーン事の 健康と温泉フォーラムが行われました。伊東市でもこれからサマーフェスティバルや個別イベントが行われ ます。 市長は施政方針の中で、「伊豆新世紀創造祭を成功させ、まちの活力を興し」と述べていますが、成功とい のはいろいろとり方があります。何を指して成功と言えるのでしょうか。 松崎町では創造祭を起爆剤に観光リゾート地に加え、町を挙げ新産業の立地集積に本格的に取り組み 始め、観光依存型に加え、新たなまちづくりに挑戦しています。 また、昨年10月に観光民生委員会で視察した福岡県柳川市は、宿泊する施設が少なく、通り過ぎの観光 客ばかりということから、宿泊のできる観光地づくりを目指そうと観光基本計画を策定中でした。観光の 広域化や国際化など、観光ニーズの多様化は急激に進んでおり、時代に即応した観光施策を展開していく 必要がますます高まってきています。 これからの伊東市においても、21世紀のリーディング産業と言われる観光を振興し、より豊かで魅力的 な伊東市をつくり上げるための観光振興ビジョンを構築することは大変重要なことであります。その本市の 観光行政の基本となる観光基本計画を策定することについて市長のお考えをお伺いします。 次に、高度情報化の推進と計画の策定についてお伺いします。私たちの暮らしは情報技術 の進歩と、それがもたらした高度なサービスによって大きく変化しつつあります。近年、急速な情報処理、 情報通信技術の進展により、情報のネットワークは目覚ましく広がっています。 国境を越え、世界的な社会経済システムの基盤がつくられる一方、私たちが暮らす地域の中でも新たな 情報化の取り組みが活発化してきています。 先月22日には、宇宙飛行士毛利さんの乗ったスペースシャトル「エンデバー」が帰還しました。毛利さんが 宇宙から日本の中学生に、宇宙から見た地球の様子をリアルタイムで交信していたのをテレビで放映され ました。地球のあらゆるところから、宇宙空間まで瞬時につなぐ情報ネットワーク技術は目覚ましいです。 このように地域においては市民生活や企業を取り巻く情報の量は増大しており、それらの情報を適切に 選択し、活用することが重要となってきています。情報化の大きな役割の一つに、地域社会のさまざまな 課題の解決を支援することが挙げられております。これからのさまざまな課題を解決し、豊かな社会を実現 するためには、地域の情報化と行政の情報化を総合的、計画的に推進することが必要であります。 本市の取り組みは総合行政情報システム推進委員会を設置、この中で検討され、平成8年11月に策定した 第二次伊東市行政情報推進計画により行政の情報化に取り組んでいます。 行政における情報化は、住民や企業、団体の利益を目指して行われるものであり、住民や企業、団体が 自身の利益を目的として行われる地域の情報化とは異なります。情報化の進展する中、市民が要求する もの、国、県の計画の整合性を考慮し、行政として市民サービスの向上や市内経営、まちづくりのための考 え方や取り組みなど、具体的な情報化施策を明らかにするとともに、今後の情報環境の変化や情報化 ニーズに的確に対応し、費用対効果に配慮しつつ、計画的に情報化の推進を図っていく必要があります。 本市の高度情報化の推進と基本計画はどのように取り組んでいくのかお伺いします。 大きな2点目は、伊東商業高等学校に観光コースの設置と観光大学の誘致について お伺いします。 伊東商業高等学校は昭和38年4月に開校、今年度の35期生で9,727人が卒業しています。私もこの 中の1人で第1期生として卒業しました。 商業高校ですので商業学科となり、1年生の1年間は全員が共通の学習をし、2年、3年になり、自分の 適性に合った三つのコースを選択するようになっています。37年前の私たちは経理、営業、事務という コースでしたが、今は新しい専門教育を目指し、平成6年度から情報処理、会計、流通ビジネスコースに なり、その時代に見合ったコースとなっています。 商業学科なので教科の中で観光に役立つ科目もありますが、簿記、会計が中心になっております。 現在、全国にある商業高等学校で観光教育を取り入れている学校は30校あります。 開設年度はほとんど1990年に入ってからです。文部省では、平成11年9月に教育改革の具体的な課題 をまとめた教育改革プログラムを策定し、個性を伸ばし、多様な選択のできる学校制度を実現していこうとしています。 田方農業高校では、21世紀に向け大きく変わろうということで、新年度から5学科中、4学科の名称を変え、 時代に対応した知識、技術を習得させるため、愛玩動物、セラピーの2コースを新設、5学科、10コースと なっております。新設した2コースは従来の生産にとらわれずに、時代が要求しているいやしを学習するた めのコースだそうです。 商業高校は、現在、各学年とも5クラスあり、553人の生徒となっています。5クラスありますので、物理 的には5コースまで可能であります。観光コースを新設することにより、生徒たちの将来に向けた学習の 選択肢を広げることになり、地元の観光産業に大きく貢献できるのではないでしょうか。 伊東商業高等学校に観光コースの新設について市長はどのように考えているのかお伺いします。 さらに、商業高校に観光コースの新設とともに、運輸省が計画する観光大学の誘致についてお伺い します。 観光大学は、平成7年、運輸大臣の諮問機関である観光政策研究会が提出した答申がきっかけで、当時、 県内外の自治体が名乗りを上げ、誘致活動しましたが、まだ実現しておりません。観光大学は学問として 観光学を確立し、観光産業を支える人材の育成、旅館、ホテル、レストラン、旅行業など、多岐にわたり 産業全体の振興を図る目的です。 観光大学の現状は学科として設けてある大学が19校、この中で大学院は4校、短大が9校で、今後設置 の予定のある大学は4校となっています。入学者の傾向は平成2年は190人だったのが、平成6年には 1,060人になり、10年には1,815人と年々増加傾向にあります。さらに、専門学校は数多くあり、 中部地区だけでも12校あります。本市に一番近いのは、熱海市に国際観光専門学校がホテル業を中心と した国際ホテル学科を設けてあります。 本市に大学を誘致することにより、地域間交流の拠点づくりになるだけでなく、これ以上の若者の流出に 歯どめをかけ、起業家精神旺盛な卒業生が新たな観光産業を生み出すことも考えられます。大学誘致に つきましては、我が会派の宮崎議員が平成7年12月に学園誘致について具体的な例を挙げ質問、質疑 したのに対し、市長は運輸省が設立を検討している観光大学についても誘致を働きかけていきたいと答弁 しております。 全国市長会では、平成11年11月に観光産業の振興を図るため、国に対し観光大学の誘致の要望を しております。静岡県知事も観光大学の誘致を前向きに検討し、国に要望しております。したがいまして、 本市は他市の誘致活動におくれることなく、本市としての誘致活動をしていくべきと考えますが、市長は どのようにお考えかお伺いします。 ある大学の教授の言葉に、「アメリカでは10年前までは大が小を食うと言った。少し前まではひとり勝ち だったのが、今は早い者勝ちになっている。巨大化よりスピードの求められている時代なのに、日本は 銀行3行の統合に見られるように、大は小を食う戦艦大和的な発想が支配している。巨大化のデメリットに 気づいていない。早い者勝ちの時代に移らなくては」と述べていました。 市長におかれましては、今のスピードに取り残されない早い決断の答弁を期待いたしまして、壇上からの 質問を終わります。 |