2.結果と考察


 下の表のように、場所により生息するセミの種類構成が異なった。

セミの種類別抜け殻調査結果



 自宅付近や大窪神社など都市化が進み植物相が貧弱なところではクマゼミが多かった。雄踏町西之谷公園のような山では、アブラゼミが多かった。昔多かったというニイニイゼミはどの場所でも見られなかった。大窪神社と雄踏町西之谷公園は、木の種類も似ているので、植物によるセミの種類の違
いではなくて、環境によるセミの種類の違いと考えた方がいいと思う。
 お父さんが小学生の頃のセミの種類や数と正確に比較することはできないが、昔の神久呂は田んぼ、畑、山などが今よりも多く、ニイニイゼミが多かったという。ところが、今回の調査では、ニイニイゼミは姿を消し、かわりにクマゼミが多くなっている。クマゼミは大型のため、近年の都市化などの環境変化にうまく適応し、勢力を拡大しているのではないだろうか。ニイニイゼミなどの小型のセミは環境の変化に耐えられなかったのであろう。
 今回の調査結果をまとめると、@山地や植物が豊富なところではアブラゼミ、A都市化が進み植物が貧弱なところでは、その環境に適応してクマゼミが多く、次いでアブラゼミが生息するものと推測された。
 また、参考資料によると、大阪市の一つの公園で行った詳しい調査では、アブラゼミとクマゼミが優占し、ニイニイゼミは過去にたくさんいたが急速に減少した。また生息環境との関連ではアブラゼミは乾燥に弱く、比較的湿った環境に多く発生する(桂・奥野、1995)としている。東京でも近年ンミンゼミが勢力を拡大傾向にある(渡辺、2000)との情報もある。
 1年限りの調査では、どのように変化しているかわからないので、毎年継続的に調査していく必要がある。
 私がこの研究をして思ったことは、昔はニイニイゼミがたくさんいて、クマゼミとアブラゼミが少なく、今はその逆になってしまったのに驚いた。お父さんが子供の頃からまだ30年ぐらいしかたっていないのにセミの環境はずいぶん変わったんだろうと思い、環境が大事なんだと思った。これからの環境がどのセミにも人間にも適していればいい街になると思った。



<調査方法>