dc2rlogo

始めに

小間物屋号DC2R-2008/8/3 店主は自動車が好きです(^^)。

20歳の時に持った初めてのクルマは、走行距離10万kmに届こうかという「ケンとメリーの」スカイライン2000GTセダン/型式名GC110、でした。これをそのままの状態で1年ほど乗り、次に手元に来たのがM/C直後のKP61/スターレットSi、次いでAW10/MR2、更にE-AT/シビックSi、FC3S/RX-7後期型ときた所でアメリカに赴任して、こたつねこさんから'82 Fiat Pininfarina Spiderを頂くまでは、クルマに関する楽しみについては長い長い我慢の日々が続きました。Fiatには「オープンカーで走る幸せ」を存分に楽しませてもらってから帰国、となりました。

で、2000年3月末に帰国してこれから乗る車を何にしようかと思った時、はたと困りました。登録諸費用他全て込みの予算総額300万円くらいまでとして「走り」に振ったクルマ、という事で検討したんですが、思ったより候補が少ない・・・で、最終的に残ったのがトヨタ・アルテッツア、とホンダ・インテグラ TypeRでした。近々のマイナーチェンジでよりパワーのあるエンジンが設定されるらしいけどもそれでも尚クルマ自体がより新しくて6MTなんかがあっちゃったりするFRなアルテッツア、か、良いという話は聞くけれどもフルモデルチェンジが間近いと噂されるインテグラ TypeRか、で1週間ほど悩んだ挙句、インテグラ TypeRを発注しました。それから待つ事約3週間、手元にやって来たチャンピオンシップ・ホワイトに赤レカロ2脚というインテグラ TypeRは、「日本の量産メーカーが作るクルマの極限点」だったのです。

->> DC2Rスペック概要
本田技研工業(株)企業サイト内、DC2(R)関連ページ
->> DC2R('96 Spec) FACT BOOK
->> プレス・リリース : DC2R('96 Spec) / DC2R('98 Spec) / DC2R('00 Spec) / DC2R('00 Spec) TypeR-X

心意気

インテグラ TypeR(型式名 : ホンダ E/EF/GF-DC2=クーペ、DB8=セダン / タイプ : TYPE R、以下DC2Rとします)はサーキットにその開発の基本を置いた、とカタログに謳われています。ボディ、エンジン、足回り部品は専用か或いはベース車の標準部品に対して大きく手が入れられており、例えばエンジンの組立工程の中には量産車としては類の無い、ポートの段付きを修正する手作業工程が入っています。カタログ標準で供される状態ではオーディオは当然の如くに、時計さえも省かれています。店主はDC2Rを日常の移動手段として使う事を考慮し、エアコン、オーディオ等が装備されているTypeR-Xという後から追加された派生グレードに、ABS、ダブルSRSエアバッグ、カーナビゲーションシステムを加えました。Type R-Xではない「素」の状態で1080kgの車重は、この状態でおそらく1130kgほどになっていると思われます。

で、ディーラーでカーナビの本体を据え付けてくれた場所は右側リアシートのバックレストの後ろで、バックレストを倒して荷室を広く使える状態にすると、左右位置では右端になるものの前後位置ではそのど真ん中となってしまいます(^^;。これはいかんと思い、やや狭目ながら何とか入りそうな助手席下に移設すべくシートやら内装材を外して剥す、という作業を開始しましたが・・・ん?、何か変???・・・こいつ、遮音材がない(笑)。一般に乗用車の起毛内装材を剥した後に見える、床板にがっちり貼られている筈の遮音シートがありません。いきなり塗装鉄板です。ではこれで具体的にはどうなるのか? 水溜りで水を跳ねると何事かと思うくらいの音がし、また考える以上に夏は熱く冬は冷たくなります。確かにカタログには「快適性は多少犠牲にして云々」、とか「遮音材の廃止」と謳われていましたが、ホントに無い(笑)・・・どうやら掛け値なしの本気の様子、これはちょっと気合いを入れて付き合わなければならなそうです。

終焉

DC5 TypeR 本田技研工業(株)企業サイト内、DC5(R)関連ページ
->> DC5のコンテンツ('04 MC時に更新されました)
->> DC5(R) FACT BOOK

2001年7月、新型インテグラ、型式名 DC5、が発売され、DC2Rは旧型になりました。DC5のTypeRは2リッターのエンジンを与えられ、その出力も162kw(220ps)、と、DC2Rに対して13kw(20ps)の向上を見ています。ボディサイズは拡大されて重量も75kgほど増えている様ですが、試乗記を見るとDC2Rをあらゆる点で凌駕し、正常進化として絶賛されました。

が、そのDC5 TypeRも2006年7月、「インテグラ」の生産終了と共に絶版となります。
これより以前に、シビック TypeR(EK9に初設定、最終型はEP3)はシビックのモデルチェンジと共に2005年9月で、NSX TypeR(NA1に初設定、最終型はNA2)はNSXの生産終了と共に2005年12月でそれぞれ生産を終了していた為、TypeRは、インテグラの名前と共にホンダのカタログから消えました。

FD2 本田技研工業(株)企業サイト内、FD2 関連ページ
->> FD2のコンテンツ
->> FD2 FACT BOOK
暫くの「空白期間」の後、2007年3月29日月、Type Rはシビック4ドアに設定されて復活しました。DC2 TypeRの発売から12年余りを経て、その設計は細部に至るまでDC2R、更にDC5よりも時代に即した形に変わっており、サーキットでのラップタイム、コーナリングスピードも過去のFWD TypeR最速、と謳われています。

しかし個人的には、DC5、更にはFD2も、DC2Rに魅力を与えていたスペシャリティ、言い換えればTypeRとしてのアイデンティティは段々と減ってしまっている様に思うのです。

DC2Rは、本来それほどスパルタンな仕様を想定されていなかったクルマにメーカーが極力妥協する事なくチューンアップを施した所、言うなれば純正チューニングカーである所が魅力であり、存在意義の大きな部分を占めていたと思います。もともとTypeRの設定を前提として開発されたDC5、ベースモデルのポテンシャル自体が非常に高いFD2、の「素性の良さ」を揶揄する(やっかむ(笑)?)訳ではもちろんないのですが、DC2Rは様々な制約を乗り越えてTypeRとなった所にその価値と魅力があったのではないかと思うのです。

が、各世代の新型TypeRにその時々のホンダの想いが強く込められている事は疑いないし、コストパフォーマンスは高く、最新型は常に「買い」でしょう。

ただDC2Rという、発売からフルモデルチェンジまで5年以上にわたってFWD車の操縦性や出力特性のベンチマークに使用され続け、また辛口で鳴らす某自動車雑誌をして「世界一速い前輪駆動車」と書かしめたクルマを手元に置いてそれを体験できる、って幸運だなぁ、と思っています。


RedH - Honda Integra TypeRトップページへ