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フツーの日記/2000年4月版
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04/30(日)-異次元体験

ステアリング・ホィールを握った腕をわずかに動かしてやると、蹴り出されるというのがぴったりの感じで横に飛んで曲がり、それを抜けると息つく間もなくコマ落としされた様な勢いで次のコーナーが迫って来る。引き続き岩の様な手ごたえを返してくるステアリングを何とか反対方向にじわりと動かすと、文字通り瞬間に、飛ぶ方向が変わる。

生まれて初めて、レーシング・カートに乗った。店主の会社には「カート部」があり、部のレーシング・カートを所有していて、基本的に無料で乗る事ができる。昔に居た部署の上司がその部員で、「30日に練習をするので見学に来ないか? 様子を見て乗せてあげられるかもしれないぞ。」、と誘ってくれたので、「一応、ね・・・」、とヘルメットとグローブを持参して出向いたのであった。

ちょっと迷いながらもサーキットに到着。一応「部員」では無いので、遠慮してヘルメットとグローブは車に置いてパドックへ向かう。コースではミニバイクたちが唸りを上げて走り回っている。うろうろしながら見てると、レーシング・スーツ姿の元上司が見つけて呼んでくれた。他に数人の部員達が居たが、みんな見知った顔で安心する。部所有のカートは5台で、内3台が今日の走行に当てられていた。2台はいわゆる「直結」、後1台は遠心クラッチ付きの初心者向けの物である。

バイクの走行を見ながらいろいろと話をする内に、遠心クラッチ付きのマシンを指して、「これなら初めてでもエンストしにくいから大丈夫だよ」・・・・え?、乗っても良いんですか? いやちょっとしかそんなつもりではなかったのでヘルメットはすぐそこに停めた車に置いてきたんですよいやぁぱっと持って来れちゃうなぁわはははじゃ行ってきます、とやや早足で車を往復する。

コースインとピットインとスピン/クラッシュして止まった時にはどうするかを教えてもらい、最初はアウト側を走ればみんな勝手によけていくから下手に動くとかえって危ないぞ、とアドバイスを貰う。後ろ側のゼッケン板に「初心者マーク」を貼ってもらい、ミニバイクの走行時間が終わってから恐る恐るコースインする。

カートについては、その特殊性をいろいろと聞いていた。ステアリングが重くてクイック、スピンするときにはいきなりで速い、ブレーキなんて「普通のクルマ」の感覚で思い切りかけたら即ロック、剥き出しのタイヤだから回転するタイヤどうしが接触すると文字通り「舞い上がる」、視線の低さから来る強烈なスピード感、この世の物とは思えない縦横のG・・・とりあえず最初の何分間かでステアリングの重さだけはわかった。慣れれば手を添える感じで扱えるという事だけど、慣れてないので思い切り握りしめて渾身の力で操る。

初心者用とはいえレーシングマシン、何もかもが自分が今まで運転していた「クルマ」とは異なる。オマケに店主、この7年間乗り物を全力で走らせるという事をしていない。初めてと久し振りだらけで、とにかく飛びださない様に必死でマシンを動かす・・・「操る」なんてとても言えない。更に周りの人々の切れた様なスピード・・・後ろを見て遥か彼方にいても、あっという間に店主の横をぶっ飛んでいく。その際、店主が脇によけている(つもり)なのを知っていて、「ありがとね」とばかりに爽やかに片手を挙げていく・・・なんで片手を離せる訳?

それでも何周かする内に、少しずつ慣れてくる。後ろを振り返って誰も居ないと(:誰かの邪魔をする心配がないと思えると)、「こんな感じかな」と思うラインを通ってみたりする、「もうちょっと(アクセルを)踏んでも大丈夫じゃないかな」なんて思って踏んでみる。コース脇で「行け行け」と手を振ってくれる仲間の姿を認めて、「もっとクイックに曲がれるのでは?」とステアリングを切り込んでみたらいきなりスピンした。

止まらない、と信じていたエンジンが止まってしまった。慌てて両手を大きく振る(:止まっているぞよけてくれ、のサイン)。マシンをコース外に引き出すと仲間が飛んできてとにかくセフティ・ゾーンに移動した方がいいという事でマシンを押していって、エンジンを始動。手間かけて済みません。それにしても一般道でクルマがスピンした、なんてなると良くても怖い思い、運が悪ければ事故なんて事になって大変だけど、カートでは「あ、回っちゃった・・・」で済む。他のマシンとぶつかったりするとそれなりに痛そうだけど。

30分走って1セッションを終了。「いやー、楽しいです、噂通りのスピード感だし、面白いですねー」、と言っていたら、「今までうちの部と会社関係者で、乗っていきなり30分フルに走っちゃったのはあなたが初めてです」、と言われる。大抵は5分くらいで腕が利かなくなって走りが危なっかしくなり、自主的に或いは(部員により)強制的にピットに戻る事になるんだそうだ。おまけに「初めてにしては良く乗れている」、と言われて「うへへへ」などと思ってしまう。

そうこうしている内に、「これがあなたのラップタイムです」、とチャートを渡された。へぇ、どうやって計るの?、と聞いたら、これだ、と指された所に、小さな円筒状の物がガムテープで止められている。これをつけて計時ラインを横切るとラップタイムが計測されるんだそうだ。便利至極。そうこうしている内に30分のミニバイクのセッションが終わり、再びコースに送り出された。休んでいる間に、「第1コーナー、今はブレーキを踏んでから入っていると思うけど、慣れるとアクセルをちょっと戻すだけで入れる様になる」などと言われて試す気になっている所が困り物である。

殆どの人は店主より速い訳で、だから抜かれた後に見ていて同じラインを通ってみる。何回か繰り返す内に、店主が思っているより早めに曲がり始めた方が良いらしいという事に気付く。また、何回か縁石に乗って跳ね上げられた結果、どの辺まで寄れるのかも何となく分かってきた。あと、足の間にあるタンクを足で挟んでやると体の支えになるというのも見つけた(正しいかどうかは別として)。しかし、シートがクッション無しのFRPで店主にはかなり広くてホールドがイマイチで体が動き、背中がこすれて痛い。でも楽しい。

・・・と思っていたら首にきた。コーナーを曲がるときに気を付けていないと、かくん、と外に倒れてしまう。首が疲れて、ヘルメットと頭の重さを横Gに抗って支えきれなくなってしまうのだ。おまけに加速時にもがくんと後ろにのけぞってしまう。ステアリングを支える腕もちょっと怪しくなってきた。ってな所でセッション終了。

ピットに戻りマシンを降りてヘルメットを脱ぐなり「カート部に入部します」と宣言する。もともと興味はあったし、こんなに楽しいのを知ってしまって入らない手は無いだろう。スピード感はあるものの恐怖感とはちょっと違う。良い意味で大きな社会的責任を伴なわずに、スピードによるスリル、緊張感が手に入る。同じ感覚をローンを組んで買った何百万の自動車で公道上で得ようとしたらかなりヤバい事になりそうだ。自動車を運転できれば誰でも運転し始められるし、トランスミッションの無いタイプのマシンならマニュアル車に馴染みが無くても大丈夫(な筈)だ。左足ブレーキにもあまり違和感無く馴染める(と思う)。

さ、次の走行に備えて鍛錬々々。また体力の要る楽しみをひとつ、生活に加えてしまった、と筋肉痛の始まった腕でこれを打ち込みながら嬉しく後悔している。
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04/21(金)-復活

7年前の出国前に、確かどっかで「外国にいた当の理由で免許証の更新ができなかった場合は、帰国してから簡単な手続きで再発行してもらえる」って読んだ様な気がして、それを頼みに帰ってきたら、あわや取り直しか、と結構どっきりする事になった。以下は、ほぼ出国時の状態で普通自動車免許と普通自動二輪(出国当時は中型自動二輪)免許を手にするまでの感動の記録である。

翻訳書
帰国した次の日、地元の警察署に「失効した免許を復活させるのだわはははやっぱこれやらないとすっきりしないよねアメリカの免許+国際運転許可証、なんてでかいし面倒だもんね」、と意気揚々と出掛けて行ったらいきなり強烈な一撃をくらった。警察署の免許係の方の「その時の」話によれば、失効してから長い時間が経っているので、この免許をそのまま復活させる手立ては無い、(簡単なものではあるけれど)学科と実地の試験を受けてもらわなければならない、との事だった。

がちょーん・・・

免許を差し出して写真を撮って小一時間、その日の帰りには新しく発行された免許を持って帰れるかな♪、なんて考えていたものだから、その落差は大きい。いやほんとに目の前真っ暗になりましたよまじで。

実地だって?・・・四輪の方はともかく、自動二輪、いやエンジン付きのバイクにはこの7年間、一度も触っていない。なんとか実地とか学科とかを受けないで済ませる方法はないかと窓口で聞き込んでみる。そしたら外国の免許は持っているか、って言うんで、アメリカのならあるのだが、と答えると、それを日本の免許に移行させる事ができると言う。その場合は適性検査だけで良いとの事。但し店主的に問題が・・・それは(アメリカでは取得していなかった)自動二輪免許がなくなってしまうという事である。

困った・・・バイク(モーターサイクル)には乗りたい・・・。

じゃ、移行を止めて取り直しかなぁ、お金も時間もなかなか作れないぞ、それともそれぞれ別個に扱ってもらえるのかな、なんて思うけど、実際的な事を考えると普通免許が無いのは実に痛い。仕方ないので、じゃ、それで手続きを進めます、ってな事を言って書類を準備する。

そしたら「外国免許の翻訳書が必要だ」・・・この辺りでかなりうんざりしてくる。大した事は書いてないんですよ訳しましょうか、と言っても、公的機関の発行した物じゃないと駄目なんだそうだ。ここ(:警察署内)で訳せませんかと言っても、翻訳書が必要だ、の一点張り。ではどうすれば良いのか、と聞いたら「JAFで発行してもらって下さい」・・・何か違うのではないか、と思いつつ背に腹は変えられぬ、と隣街のJAFまで出向く。

免許を差し出すと、自分達の前に来た人の免許に記載されていた、この同じ「X」の意味するところが分からないので、Virginia州のDMV(Department of Motor Vehicle、免許証とかナンバープレートの管理を行う機関)に問い合わせてるところだ、という。これは眼鏡を使用する事という運転条件を示すのだ、と説明しても、先方から公式な回答がないと駄目だと言う。いつ分かるのだ、と聞くと一週間ほどかかると言う。仕方ないので最低な気分のまま金3000円/一人、を支払って、郵送されてくる「翻訳文」を待つ事になった。
書類、書類、書類・・・
翻訳文が届いたので、それを持って再び警察署に出向く。そしたら、「外国に3ヵ月以上滞在していた実績がなければ移行の手続きは行えないので」って言ってパスポートを調べ始めた。をいをい・・・最初に言ってくれなきゃJAFの翻訳書とそのコスト3000円が無駄になるではないか。それ以上滞在していたから良いけどさ。

そうこうしている内に「免許証の返納届け」なるものを書かされる。失効したから前の免許を返すのだ。なんだか寂しい。

何枚ものその様な書類やら申請書やらナントカ状やらに同じ様で少しずつ違う内容を記入し、いい加減うんざりして提出して、しかしその時の気分さえも幸福の絶頂に思えたほど待たされてから呼ばれる。やれやれやっと免許がもらえるのかいなと思ったら「予約を取る」と言う。「へ?」と言うと、ここではなくて運転免許センターに別途出向いて行って免許を受け取るのだそうだ。もううんざりする気力も無い。4月20日以降になるがいつが良いかと言うのですかさず20日、と答えたら「ではその日に予約が取れるか問い合わせるので暫く待ってくれ」と言う・・・予め確かめて20日という日を出してきた訳じゃないのですねはい分かりましたよもうお任せします好きにして、と待つこと暫し、20日に予約が取れたので20日にそこへ出向いてくれとの事。了解するしかないよね。

実はこの即断した自分に、後に自分で感謝する事になる。
大逆転
20日、雨の降る中を運転免許センターに出向く。朝9時半から10時までの間に来る様に、との事なのでそれに合わせて行った。

書類一式を提出し、待つ。どのくらいの時間がかかるのかなぁ、なんて思いながら、ロビーに置いてあるテレビに流れる安全運転ビデオを暫く見ていたら名前を呼ばれた。

で、なんか説明の仕方があんまり上手じゃないおじさんが説明してくれたところによると、店主の場合は、
  1)国外に3ヵ月以上滞在していた事と証明できる事
  2)更新可能時期(有効期限の1カ月前から有効期限まで)に国外に居たと証明できる事
  3)国外滞在期間中に1ヵ月以上連続して日本に帰国したことが無い、と証明できる事
  4)帰国してから1ヵ月以内であること
を満たせば試験の一部を免除し、(旧と同じ種類の免許の)再交付が可能だとの事。うーむ、やはり警察署で言われた様に簡単な学科と実地試験を受ける事になるのか、と思いつつも、どの試験が免除になるのですか?とたずねたら、学科試験と実地試験が免除になり、適性検査と2時間の講習で免許が交付されると言うではないか・・・って、それって「一部を免除」じゃなくて「ほぼ全部を免除」じゃないのか、事実上?つまり、「試験無し」に限りなく近い。そりゃ確かに学科と実地と運転適性、どれも大事に扱っていますよという事で「一部を免除」なんだろうけど、パスするための難易度が違うよ大いに。

いやそんな事はどうでもいいこれにかけるしかない、と心の中で快哉をわめきながら一部にほんとに大丈夫かなという思いを残しつつ強く頷くと言うよりコーフンで手を震わせながら同時に頭をガクガクと前後に激しく揺さぶるという状態でそう希望する旨を告げる。が、ここでまた問題が・・・店主はアメリカに居る間にパスポートの更新をしたんだけど、「今回は要らんだろう・・・」と思って古い方のパスポートを持参しなかった。これがないと最初の出国(1993年)からの連続した出入国の記録が見られない事になり、上の2)、3)が証明できない。しかも後日改めて予約して、という訳にはいかない。そうすると上記の4)を満たさなくなるからだ。日本に帰国したのが先月の22日だから、明日がこの「特例」が適用できる最後の日になる。何とも際どい事だ。予約を取った時点でもっと後の日を指定していたら、と思うとぞっとする。

4年前、家内(こちらも中型自動二輪を持っている)はかなり長い間日本に帰っていた。これが1ヵ月を超えていると、彼女は自動二輪免許を失う事になる。記憶はあまりはっきりしておらず、これも旧のパスポートを見て確かめる他ない。時計を見ると本日の受付時間は残り1時間半・・・即、家に帰って古い方のパスポートを持ってくるから、と言って運転免許センターを飛び出した(但し場所柄と状況上、安全運転で、である)。

雨の平日の渋滞の中をのろのろと動き、家まで40分弱を使う。古いパスポートを掴んで取って返す。車内で家内の出入国記録を確認すると・・・帰国1996年7月15日/出国1996年8月12日、1ヵ月を数日欠いている為に、特例が適用される事になる。

運転免許センターに戻ったのが受付終了10分前の11時50分、先のおじさんが改めて受け付けてくれて確認し、更にお昼の時間を割いてセンター内をいろいろと回って手続きを進めてくれる。おじさん、証紙窓口の方、写真撮影の面倒を見てくれた方、講習受付の方、貴重なお昼休みにほんとにありがとうございました。

お昼の後に2時間の講習。途中に免許用の写真撮影があり、どうやらほんとに貰えるらしい、と思えてくる。

で、講習終了。部屋を出る時に免許証を渡される・・・ををー、しっかり「普通自動二輪」の所にチェックが入っている。いぇい。普通自動車免許は外国の免許からの移行で以前に日本でそれに相当する免許を持っていたから良いんだけど、自動二輪の方は初心者扱いになって1年間は2人乗りができない等の制約があるから気を付ける様に、との説明を受ける。了解しました。

それにしても今回、様々な場所で実にたくさんの突っ込みを入れたと思う。「こうなのだ」と答えられても安心してはいけない。「こんな風には出来ないのですか?そうしない為にはどうすれば良いのですか?」と。それと、途中で気付いた点・・・「国外滞在期間中に1ヵ月以上連続して日本に帰国したことが無い事」、というのは、時間が短いとその間に更新手続きをするのも難しいと判断されるから、らしいけど、帰国して1ヵ月以内に「特例」適用の為の手続きを行わなければならない、って、何か矛盾してないかなー、と突っ込んでも良いでしょうか、関係の方々?
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4/9(日)-まったくもう・・・

枕元に置く電気スタンドを買いに行った。インバータ蛍光灯式のものが欲しかったんだけど、どれもこれも5,000円以上、ちょっと「いいな」と思うものは9,000円くらいから、となってしまう。うへ、こんなに高かったっけ?、アメリカでなら多分$20(今なら2,200円くらい)も出せばそこそこのものが見つかるだろう・・・って、「アメリカの家電って、細かい所とかは安いなりの作りだな、やっぱり多少高くても日本製の方が気が利いてていいよなぁ」、って言ってたのは・・・店主だ。

何でも口に合ってよく食べ、このままでは太るのではないか、という危惧を抱く・・・って、「アメリカの食べ物って脂肪分が多いものが多くて、気をつけてないとあっという間に太るんだよね」、って言ってたのは・・・店主だ。

「まったくもう」、なのは店主なのである。
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