私小説 



     私のオカルト(白い光の中で)

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このお話は私が高校生のある 年の夏休みの日の不思議な体験談です。そうそう初代エクソシストというオカルト映画がはやっていた頃でした 私にとって、その映画よりもミステリアスな思いをした日でしたその日の朝、私は夏休みだったので、いつものように朝寝坊をして パジャマから洋服に着がえながら 開け広げた窓から庭で洗濯物を干している母にはなしかけました

「ねぇ今日も昨日みたく暑いのかな」

「当たりまえじゃん、夏ですだからね」

私はズボンをはいてしまうと今度は窓から臨み込むようにして、また、母に

「俺、今日映画を見に行ってくるよ」

母は額に皴を寄せて、こちらを向いて

「何の映画だい」

「あのさ、今、静岡のオリオン座でやっているオカルト映画のエクソシスト 観客の女の人の何人かが怖くて気絶して救急車で運ばれただって、すげぇーだってよ」

母は笑みを浮かべ

「でも、あなたには無理、残念でした、このまえ、あなたは友達と狐ヶ崎の遊園地(今のジャスコの所に有りました)に行ってきて、小遣いはみんな使って無くなっているはずよ、今日は家で勉強しなさい」

母の言うことはあたっていたけれど私は映画に行くと言ったら行く性格なんだ、でも小遣いをくださいと母ちゃんに素直に言ってもくれそうにないので、私は今度は親父に貰おうと思い

「ねぇー親父は今日はどこへ行ったの」

「はい、これも残念でした、お父さんはいつもの慢性肝炎の数値が高くて.入院をしてます」

私の父はキャバレーとかクラブの水商売系のお店34件、持っている、経営者なので夜、遅くまで働き昼間はほとんど、お昼まで寝ているので、私は親父には一週間に一度ぐらいしか会わない、だから父のことは母に聞くだけだった

「ヘ〜入院していたのか、仕事かと思ってたよ、どこの病院」

母は私の顔を見て

「行く気だね,静岡の総合病院(今のモクセイ会館)何だけど今日は家でおとなしくしてなさい」

「いや、俺は絶対に映画に行く」

と、言った途端、すばやく私はTシャツを着てズボンも履き誰もいない二階の親父の部屋に行きベットの周りを見回した、私の親父はいつも財布は持たないので、札と小銭は、そのままポケットに入れる、だから毎日のように親父は、そのお金をポケットから出し机に全部並べて、ポケットを整理をする、その時ばらばら、バラバラ小銭を落とす、私は落ちた、お金を一週間に一度ぐらい、拾い集めに行き自分の小遣いにする、今日も私は目を皿のようにしてベットの周りに落ちた小銭を探した、60円あれば静鉄 電車の日吉町駅に行ける、もうそこまで行けば障害者の足でも10分で親父が入院している市立病院に行ける

「エーと6060円」

私は机の下、棚の横、ありとあらゆるところを探しても23日前に、拾ったばかりで落ちている訳がなかった、私は、「ちきしょう」と思いつつカーテンが肩にあたりカーテンはゆれて窓のサッシのレールが見え、その溝に落ちていた50円玉を見つけた、私はニコリとして50円玉を拾った、問題は後10円だった、さっきも言ったように、母ちゃんは絶対にくれないし困ったなと思い、何気なく窓の外を眺めたら家の前の強い夏の日差しによって、白く塗りつぶされた小道を、これまた白いフワフワとした洋服を着てゆっくりとした足の運びで歩いている女性が居る、妊娠している隣の幸子ねえちゃんだった。私は窓を開けベランダに出て手すりに捕まり少し身を乗り出し道の幸子ねえちゃんに

「なんだ、又フワフワした洋服を着て」

ベランダの真下まで来た幸子は立ち止り首をあっちこっちにさせて私を探した

私は手をふりながら

「おーい、こっち、こっち、上だよ、上」

幸子は日差しが眩しそうに顔をして上を向きベランダの私に気がつき、笑顔で

「アッ、まもる君、なんだそこにいたの、」

「お散歩ですか、今日もフワフワしている、洋服を着ているんだね」

「赤ちゃんが生まれるまで、我慢、我慢、でも、かっこいいでしょ」

と言いながら洋服を見せるように幸子はぐるりと回った
「ねっ、いいでしょ」

「もちろんさ、マタニティドレスもなかなかだよ、ねえちゃん綺麗だから何でも似合います」

白い夏の日差しの中で広がる白いスカートとフワッとした半そでが風で靡く光景と、その光景が道にくきやかにシルエットとして落とされている事が私は印象的で凄く美しいと思った、だから私はさっきまでの小銭探しは一時、止めて幸子の写真を撮る事にした
中学から始めた趣味で写真を写す事を趣味にしようと思って親父に貰った一眼レフというカメラを自分の部屋から急いで持ってきてカメラをベランダの手すりの外に手で持ちながら出し、あまり急いだ私は息を切らせながら下の幸子に

「ねえ、姉ちゃん、姉ちゃんをこれで写真、撮って良い、上からのアングルなんだけど」

マア、嬉しい、ええ、いいわよ、もう一回まわってみましょうかしら」

私はカメラのファインダーを覗き込み、幸子を見た

「んっ、何回か回って、回って、ねえちゃん、いいぞ、まるで夏の白い蝶が道に影を落として飛んでいるみたいだ、回って、回って」

幸子は2〜3カイ回って、回るのを止めてポケットからハンカチを出しにちょっと汗をかいた、額を拭いた

「まもる君、プロの写真家みたい、女の人をほめてシャッターを切るところなんて、なかなかよ」

,「アイ、アム、芸術家小僧だよ」

「そうか、まもる君、絵も詩も、うまかったよね。女の人を褒める言葉を考える事なんて当たり前の事ね」

「゛それほどのことでもないけどさ、ねえ 下でもう一枚、撮らしてくれる、疲れてない、大丈夫かな?」

幸子は笑顔で軽く手を握りこぶしを上げ

「赤ちゃんを産むのだから、鍛えなくては、ええ、後、十枚でも二十枚でも」

「ちょっと待ててね」

私は早足で少し重たいカメラを胸に持ち二階のベランダから一度、家の中へ入り階段を降り又、玄関の出入り口から家の外の道に出て幸子のそばに来た。夏の日差しは時間の経過と共に強くなり幸子のフワフワした洋服のシルエットを、ますます、はっきりと非常にくきやかに道に落としていた

「だんだん今日も暑くなってきたね、それじぁ、あと23枚ぐらい写させてね、いくらなんでも姉ちゃんのお腹の中には赤ちゃんが居るものね」

幸子は笑顔で

「有難う心配してくれて」

私はカメラを持ち直しファインダーから幸子を見た

幸子は深呼吸を一つして

「さっき、みたく回ったり動いたりしたほうがいい」

「そうだね 夏の蝶のように」

今度は只、私は一言それだけを言い今度は慎重にシャッターを23度、押した

幸子は回ったり、ポーズを作ったりしてくれた

「はい、ありがとう、バッチリ撮りました いい写真が撮れたぞ、秋の写真のコンクールにでも応募してみようかな」

「まあ、モデルがいいから入選は確実ね」

「まあね、それより姉ちゃん、今から静岡に行きたのだけど、10円貸してくれる」

幸子は手で口で押さえながらも大笑いをして

「まもるくん、おかしい、さっきまで大人の口調で私の事を褒めていたのに、こんどは急に子供になって10えん貸してくれだなんて」

私は少し ふざけて深く お辞儀をして

「スイマセン、子供なんです〜どうぞ、おめぐみを」

幸子はマタニティドレスのポケットに手を入れて10円を探した、ポケットからチャリチャリと音がすると

「あったわよ、まもるくん30えんも,しょうがない30円、くれてやるわよ、その代わり赤ちゃんが生まれてきたら遊んでやってね」

私は「もちろん」と言いながらお金を両手で受け取って

「これで入院中の親父のところへにいけるぞ」
幸子ねえちゃんに言った
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私は親父の部屋で拾った50円と幸子姉ちゃんから貰った30円の計80円で静鉄電車に乗り静岡の総合病院に着いた、病院の玄関を入るとロビーにはお昼を過ぎているというのに外来の診察を待つ患者さん、薬を待つ患者さんでごった返していた、後、23年、先には多くなった、患者さん解消するために静岡の朝端に新しい大きな県総合の病院ができると言う噂があるが早くできてほしいものであると思い、人ごみの中に入り親父の部屋がどこにあるのか、探すため、受付:けカウンター前に立ち、カウンターのなかには女性スタッフが三人居て、その右端の人に声をかけた

「スイマセン、受付のお姉さん」

と言うと、下を向き、ものを書いていた受付の女性の顔がこちらを向いた

その女性の左となりの女性もこちらを向き

「あなた、今年の一月頃、来ていなかった、障害者だから、すぐ解るわ」

さすが病院関係者、障害者にむかって平気で障害者と言う、これこそが差別していない意だろうか?

「来たよ、よく覚えていますね、自分の親父がたびたび、肝臓が悪くてここの病院に入院していますので、いつもお世話になります」

私は微笑みながら二回も頭をぺこりと下げた

右となりの受付の女性は微笑み

「調子がいいだから、まったく、」「で、なんの御用ですか」

「はい、お姉さん あのね自分の親父が又、肝臓が悪くて入院しているので、どこの部屋かな なんて思いまして」

「よし、言い方合格、それで親父さんの名前はなんていうの、ええと肝臓だから、消化器科ね、」

「んっ そうそう消化器科、名前は松本敏郎」

受け付けの女の人は後ろの棚から帳面を出してきて、その帳面を2〜3まい、めっくって

「あった、あったわよ、一人部屋よ6階の635号室よ ハーイ行ってらっしゃい」

又、うちの親父、一人部屋にして贅沢しているなと思いながらエレベーターに指を刺し

「解りました、それじぁ、アレでいくよ、ありがとね、」

エレベーターは6階に着いた。ドアが開きエレベーターの外に出てみるとやっぱりここも病院、特有の消毒の匂いがした、それも一階より濃厚な鼻につく匂いだった、きっと入院患者の匂いを消すためだろう、廊下を歩きながら部屋の番号を数え親父の部屋を探した、まったく、うちの親父は成金主義なんだから肝臓病ぐらいで一人部屋を借りて、でもね
私はそんな親父を世の中で一番尊敬してる、なぜかと言えば成金は命がけで努力しないとできないからさ、そんなことを思い病室の番号を確認しながら歩いた

「有ったぞ、有ったぞ365号室」

私はノックもしないで脳性マヒ特有の笑顔してドアを開けた、父は自分が食べた昼の病院食のお茶碗をお膳の上に乗せて片付けていた、私は親父の顔を見ると、親父は

「おっ まもる、ちょうど良いところへ来た」

お茶碗を乗せたお膳を私に渡して

「お前、これを廊下に出て、給食台の上に置いてくれ」

「はいよ」

「それから、もう大人なのだからドアをノックぐらいして入った方がいいじゃないのか」
「考えとくよ」

「お前はすぐと不確実な答え方をするのだから、言語障害もあるし本当に解らない、小僧さんで困ったな、お前は、お前の兄貴たちはそんなことはないのに」

「でもね、この自分の不確実な性格、芸術的で僕は非常に好きだよ、だから俺 親に感謝している」

親父はいつもの高笑いをして親父は「まったく、もう」という顔をして

「障害を持っている、お前だけ少し甘やかすぎたようだ、まあ、いいや 早く、お膳を持って行け」

私は病室を出て台の上にお膳を置くと病室に戻りベットに横になった、親父に話しかようとしたら、親父は

「わかってる、わかってる、それ以上、言うな さっき電話でお母さんから聞いた、小遣いだろ映画に行きたいのか、もう今月は何もないのか」

「夏休みはいろいろと友達と出かけることが多いのでね」

「何を言っているだか。てめぇの無計画な性格が悪い、解ったか 何か文句が有ったら言ってみな」

「はい、みんな私が悪いと思っています」

親父は薄笑いをして

「お前は今、計算したでしょう今、素直に言っておかないとお金がもらえないぞと」

「少し思ったかな」

親父は薄笑いから豪傑笑いになり

「わっはははは、それで映画って今はいくらだ」

 「800円」

親父はベットの横のロッカーのドアーを開けいつものように上着のポケットに財布を使わず、そのまま入れてあるクチャクチャな、お札をワシつかみにしてに取り、お札をキチンと両手で重ね合わせて太い丸い指ではじく様にしてお札を数え始めて,そのうち二枚を取り出し

「おい、まもる夏休みはあと一週間あるだろ2千円やるから、その代わり今日、映画が終わったら、いくら使ったか報告に来い、それでだよ、いいか、まもる、あと一週間のうちに二回、報告に来い、そうしないとお前の教育上の問題で母さんがうるさいからな、いいな まもる、解ったな」

私は首をたてに何回も振り

「へい、へい、へい、」

親父はまた笑みを浮かべ

「お前はまったく、解っているのか、解っていないのか、わからないやつだな、いいよ早く映画に行って来い、あっ それでな、自宅のとなりの幸子のお姉さんがさっき、急に具合が悪くなって、ここの病院の六階の産婦人科に入院したぞ」

私は顔をシカメ

「でも、さっき、おれ、午前中に会ったよ」

「でもな、体調が急に悪くなっただって、意識が無いみたいだぞ、仲良くしてもらってるみたいじゃないか 2〜3日、経ったら お見舞いに行って来い、今日行くなよ、意識がないと言っているから、お前が今日、行くと邪魔になるだけだから」

私は更に目を丸くして

さっき会って白い洋服が綺麗だったので写真を撮ってあげて 別れたばかりなのに」

「大丈夫だよ、今日は暑いし ちょっと体調を崩しただけだよ 大丈夫 大丈夫 それより早く映画に行って来いよ」
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ひと昔,前の映画館は一回、映画が終わる度に非常ベルのような、大きな音のベルが鳴り響く、映画も終わりその映画館の入り口を出て町並みのついたばかりの明かりを見て、すっかり夜になってしまったなと感じてしまった「さあ、親父の居る病院へ戻って、ありがとうぐらい言わなくは」と思いながら横断歩道を渡ると後ろから私の肩を叩く奴が居た、同級生の山田だった、呉服町の伏見書店に行き夏休みの読書感想文の本を買うつもりで来たとか言っていた

「おい、山田!どっかの喫茶店に入ろうぜ」

当時、僕たちは若いのに足に障害を持っているので、すぐ友達と街で会うとその近くの喫茶店に立ち寄り、くだない話をズーしているのだった、この時はビルの地下の階段を下った喫茶に入って、テーブルについた山田が買って持っていた本をテーブルに出し語り始めた事を記憶している

「ほら今、買って来たんだ、何となくクリスタル」

「ああ知っているよ田中康夫だろ、でも違うよ夏休みの課題はヘミングウェイの老人と海だよ」

「知ってるよ!あんな物を読んでもな感想なんて浮かんでこねぇよ」
俺達はそこの喫茶店で二時間ぐらい話を続けた喫茶店を出て山田と別れ際に山田は

「これから何処へ行くの」

「親父が入院している病院だよ」

「親父さん悪いのか」

「そんな事ない、慢性肝炎が悪くなっただけだから、すぐ治るさ!」

私は映画棺通りの街を抜け市立病院へ向かった、病院に近づいた正門は夜なので閉まっておりガードマンが居る、裏から入るしか無かった、裏の入り口に入るとガードマン室の窓からデスクに白髪頭のガードマンに会釈をして待合室に向かった
明かりの消えた待ち合い室はこの世で一番、不気味だった、その待ち合い室を抜けてエレベーターのボタンを押した、エレベーターボックスは静かなモーター音と共に下って来たドアの隙間からエレベーターの蛍光灯の光りが漏れてきた、ドアが開いた、白色の光りが溢れていた、中は眩しくて見えなかったが誰かの声がした私は目を細めて中を見た

「まもる君じゃないの」

「あっ幸子ねえちゃんか!なんだ!もう体、良くなったの?」

幸子は自分のお腹を触って

「ほら見て」

「ああ赤ちゃん、生んだんだでも体の具合が悪くないの?」「赤ちゃん、産んだら治っちゃった」
「そうゆうものか、心配して損をしちゃった」

私は白とピンクのストライブのパジャマ姿の幸子をもう一度、見て
「ところでこんなに夜、遅く何処へいくの?しかもパジャマ姿じゃんだから、姉ちゃん危ないよ」
「お腹がすいちゃったの、そこのラーメン屋に行くのよ夏だから寒くないし、病院の近くだからパジャマ姿の女の人なんか、いくらでも居るわ、平気!平気!」

幸子は微笑みながら言った

「今から何処へいくの?」
「お父さんのところ?」
「さっき私の病室に来てくれたわよ」

幸子は膝まつき夏なのに冷たい手で私の右手を取り私の目をしっかり見て

「ところで、まもる君、名前はまだ付けてないけど私の赤ちゃん、男の子だから絶対に友達になって,これから遊んでやってね、絶対に絶対だからね」

と言いながら私の手を離し

「それじぁ、お父さんによろしく」

と言い幸子は振り向き病院の裏の出入り口に歩いて行った、私は女の人が夜にパジャマ姿でいいのかなと思い、首をかしげエレベーターに乗り親父の病室に向かった
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親父の病室のドアーをノックした、中から「入れ」と言う返事が帰って来た私は

「行ってきました、どうも有り難うございました」

と言いながらドアーを開けた

「なんだ、おまえか、」

親父は私の顔を見なかった

「まもる、缶詰のみつまめを開けてやるから、そこに座れ」
と窓の横の椅子を指挿した、親父はベットの上の棚から見舞いの来客から貰った缶詰を取出し私の目の前の机に置き、缶を切り始めた

まだ親父は私の顔を見ない

「今日の映画はどうだった」

「それは、面白かったよ主人公の妖怪の顔が360度、回ってしまうし凄かったよ」

親父は缶詰を切り終えて、ロッカーの引き出しからスプーンを出して来て缶詰の中に差し込んだ

「食べなさい、あのな、まもる少し辛い知らせが有る」

親父は窓の外の夜空を眺め溜息をつき声のトーンを落とし

「さっきな家の隣の幸子お姉さんがおさんが重くて夕方頃、亡くなったぞ」

私は笑顔で

「嘘だよ、今さっき一階でエレベーターから下りて来た姉ちゃんに会ったよ」

父は難しい顔になり

「まもる、残念だけど幸子お姉さんは亡くなっていたぞ、さっき幸子お姉さんの病室まで遺体と会ってきた、それはきっと幽霊というものだ、幸子お姉さんは亡くなった後、すぐと遺体は自宅に自動車で持って行ったから生き返ったとしても此処にはいないはず、それはきっと幽霊だ、俺も戦争中、特攻隊の教官だった頃(戦争中、私の父はよかれん生の特攻隊を教えていた)戦地へ行って亡くなった、教え子が夜、たまに便所に起きると部屋に立っていたりしてな、まもる、お前はやっぱり絶対に幸子お姉さんの幽霊に会ったんだ、うそだと思ったら今から家に帰って幸子お姉さんの遺体を確認してこい、でも まもる幽霊は怖くない俺はおれの意識の上では幽霊は当たり前の現象だからな、むしろ幸子お姉さんの幽霊に会えて良かったじゃないか」

親父があまりにも真剣な顔をして言うので私は笑顔するのを止めて、蜜豆を食べながら

「それじぁ、オレ、これ、食べちゃったら帰るよ」

「そうだな、早く帰ってやって、そしてお姉さんに手を合わせてやったらいい」2012.1/26再しゅびつ

                                   4
「本当かよ、さっきエレベーターの所で会った姉ちゃんが幽霊だなんて考えられない」
と思いながら親父の病室を30メートルぐらい行った病廊の真ん中あたりにナースステーションがあり、その部屋の窓から2〜3人のナースたちに「帰りますね」と声をかけ病廊を抜け6階のロビーに入りエレベーターのボタンを押した
又、エレベーターの音がしてエレベーターが上がって来てドアが開く瞬間、私は慌てて又、姉ちゃんは乗って居ないかと後ずさりをしてしまったドアが開いて中は蛍光灯の光があふれ反っていたが人も幽霊も乗ってはいなかった、そして私はエレベーターの箱の中に乗り一階のボタンを押したエレベーターのドアが閉まり下に降り産婦人科のある4階で止まった、ドアが開く、私はドキッとして、今度こそ姉ちゃんだと思い、また私は一歩、後ずさりをしてしまった
ドアが開いた
私は強く目をつぶったが、開いたドアの方から、なんだか聞いた事のある2〜3人の女の声がした、その中の一人が私を見て
「松本君じゃないの」と言う女性が居た
3/1こうしん

私は強く閉じた目をゆっくり開けて幸子姉ちゃんでは無いことを確認した
「なんだ姉ちゃんちだったか」
それは、この病院の受付のお姉さま達だった
三人はエレベーターの中に入り私はその女性たちに
「なに、こんなに夜遅くにたむろしちゃってさ、もう受け付けの仕事は終わったじゃない」
右の一人の女性が「あなたこそ障害者だけど病気ではあるまいし、一日に二回も病院なんかに来て」
「あのね実は親父に昼間に小遣い貰ってさ映画を見に行ってきたんだ、そのお礼と報告をして来たんだよ」
黙っていた三人の中の真ん中の一人が
「えらいわね!親にお礼だなんて松本くん礼儀正しいわね!」
私はてれてしまい
「とかく僕の家は商人の家だから、お金の事になると細かくてうるさいんだ」
「ふ〜ん、なるほどね でも、えらいわよ、障害のある、その足で」
その女性は明るい顔をまた一段と明るくさせて
「私たちはね、私たち共通の友達がこの病院で赤ちゃんを産んだので、そのお祝いのお見舞いなの」私も笑顔になり
「そうか、そうなんだ、そうゆうニュースって、こっちまで嬉しくなるよ」
彼女は服の右ボケットから自動車のキーを取り出しキーを私に見せ
「今から三人で私の自動車で帰るのだけど松本くんちって何処だっけ?送ってあげてもいいわよ」と言った
それを聞いて僕は天(てん)の助けだと思いました、さっき病室でお前と会った幸子姉ちゃんは幽霊だと親父から言われたので、内心は恐くて恐くてたまらなく夏の夜道をどうやって帰ろうと思案していたところだったので、少し大きな声で、私は慌てて
「しししみず、きききつねがさきのヤングランド遊園地(今の清水区狐ヶ崎イオン)の近く」
女の人は少しびっくりして
「えっ松本君っちってそっちの方なの」女の人は後ろを向いて仲間の二人に何かを話し掛けていた
そのうちエレベーターは一階に着いたドアはチンという音と共にに開いたでも女性たちはドアが開いたのも気が付かなかったので僕は先に廊下に出て振り向き
「姉ちゃんたち早く、おりれば一階だよ」
女性たちの中の一人がこちらを向き
「あっそうそう降りましょうよ」
と後の女性たちに言った,,
女性たちはエレベーターに降りてから又、立ち止まり自動車のキーを持っていた女の人が私に
「ごめん、松本くんっちに送ってあげられないわ松本君の家は私達と同じ方向かと思ったら反対方向で時間がかかるわ、それに私達、歳ご
ろの女性でしょ、今、夜の九時、あまり遅くなると家で待っている家族が心配するから送ってやる事できないわ」
私は目をまるくして、びっくりしたが痩せ我慢をして
「わかるよ、皆さん綺麗な娘さんだもの家の人が心配するのは当たり前じぁないか。早く帰ってやってください僕は男だから大丈夫だよ一人で帰れるよ大丈夫!大丈夫」大丈夫を繰り返す度に心寂しくなり 、しかし女性たちは僕の心とは裏腹に
言葉を正直に受け止めて
また、自動車のキーを持った女性が
「さすが男の子、どうしても家まで送ってくれと言うかと内心ヒヤヒヤしてたわ嗚呼。良かった、くれ騙しみたいな事を言ってしまって、ごめんなさいね」
私は振り向き裏玄関の外を見て
「それより今夜は月夜みたいですね、外があんなに明るい急がないと10時回ってしまうよ、とりあいず外へ出ちゃいましょう」
と言ったら
「そうね」
彼女たちは顔を見合わせながら歩きだし出入り口の横のガードマン室の紺の制服を着た受け付けの窓から見える守衛の叔父さんに
きっと毎日のように会っているのだろう親しげに
「朝まで頑張って
.おやすみなさい」
 「眠っては駄目ですよ頑張ってね」
「まだ、若い!若い」
 一人ずつ言葉をかけて外に出た
全員、外に出て
女性の一人が夜空を見上げて
 「松本君の言ったとおり夜空が明るいわ今夜は月夜ね、松本君、帰り道に気をつけなさい、こんな日は幽霊が出やすいのよ」
私は額に皺をよせ困った顔になり
「えっ!幽霊ですか、悪い冗談を言わないでください、今、さっきも親父から幽霊の話しを聞かされて本当はビビっているところなんだから」
女性は笑って
 「こんな明るい月夜に幽霊なんか、出るわけないじぁないの嘘よウソウソ」
 もう一人の女性が障害の自分のある歩き方を見て本当に申し訳なさそうに
「本当は送ってやりたいのよ、ごめんね!」
その女性は他の二人の女性の顔を見直し又、私の顔を見て
 「その変わりと言っては何だけど夏休みは後一週間ぐらいしかないけど一週間のうちに松本君、病院に遊びにくれば病院の地下の食堂で何か美味しい物を三人でおごってやるやるから」
 僕はそれを聞いてニコリとして

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