絵で見るミキノクチ2




 江戸吉原 扇屋新年

葛飾 北斎 画
文化年間(1804〜17) 刊

4−1 4−2 1−1 1−2
 縁起棚みきのくち 1 荒神棚みきのくち

大判5枚続きの大作です。
江戸吉原遊郭で最上級の女郎屋・大籬(おおまがき)の扇屋です。新年の昼ごろの賑やかな様子です。
1階は、楼主や妓楼の使用人の日常の生活の場所で、二階が遊女の営業場所です。
の右手奥の緑の暖簾は、入り口です。お客は、暖簾の左横の板の間から、階段を二階へ上がります。土間に立っている客の左隣の、紺の着物を着ている女性は、客との応対をする、遣り手(やりて=遣り手婆)です(1−1)。
1−1右手手前の土間に台所があり、柱に荒神棚があります。
1−2カマドに、鶏の絵馬(荒神様への供え物)と盛り塩、扇形のみきのくちが供えてあります。みきのくちは、板に金箔を貼り付けた物かも知れません。
の板の間の奥の一段高い座敷は、張見世(昼見世、夜見世)をする部屋です。
1、2、3,4、5には、花魁(おいらん)、振袖新造(振袖を着ている)、禿(かぶろ。花カンザシを付けた子供)、使用人などが見えます。
の縁起棚のある場所が内証です。肩を按摩させているのが楼主で、右の本を読んでいるのが、内証の女房です。
4−1えびす大黒を祀る神棚(縁起棚)には、赤い紐の付いた「見世出しの鈴」や折鶴があります。
4−2縁起棚のお神酒徳利に挿してあるみきのくちは、紅白の紙で折ってある蝶花形ですが、珍しい形です。
板の間に、若い者などの使用人が見えます。