年中行事みきのくち10


15 中秋の名月(十五夜)  
陰暦 8月15日
女諸礼綾錦(★)

天保12年(1841)刊
みきのくち(折紙)


旧暦8月15日は、中秋の名月(十五夜)です。シナから伝来した行事で、一家団欒の日です。月を愛でる宴を張りますが、祭り方は、七夕同様各地で色々です。我が郷土静岡県清水市(現・静岡市清水区)では、「へそ餅(へそもち)と、魔除けのススキや萩などの秋の七草を、お月様に供えますが、「へそ餅」は、全国的にも珍しいものです。うるち米の粉を水でこね、丸く平らな団子にしてから、真ん中を指で押して「おへそ」を作り、蒸し上げます。数は、平年は12コ、うるう年は13コ、又は15夜にちなんで15コです。由来は不明ですが、私は、豊作、豊穣と関連のある、女性の「お宝」ではないかと思っています。へそ餅は、近頃では、旧清水市以外でも真似て販売しています。
へそ餅(清水市)







15−2 月見の図 宮川春汀 画

風俗画報第150号  明治30年10月刊




16 武家観月の図
元和年間
武家観月の図
みきのくち
風俗画報 第45号   明治25年刊
元和年間(2代将軍秀忠公、3代家光公の治世)の、武家の観月の様子です。

「八月十五夜の月を賞することは、嶋田 忠臣(平安時代の人。菅公の知人)の集に初めて見えたり。その年紀定かならずといへども、斎衡3年(856)詠史百四十六首を奉り、貞観元年(859)年調三百六十首を奉れるよし家集の自注に見えたれば、その時代大概知られたり。

この挿画は、元和頃武家看月の図とて、或人より寄たり。即ち、山水に富める東向きの座敷を以って看月の場となし、縁(えん)には、薦(こも)打ち敷き机を安置し、その中央に、尾花、紫苑を挿み、神酒を備い、左右には団子、柿、栗、芋、枝豆等を盛り、主客共に肩衣、袴を着け、前には酒肴又は菓子を陳ね(つらね)、団居(まどい)して(車座になって)、各筆を手にし、今日の今宵看月の興を催し、詩歌を弄ばんとて、皆々意匠を費す様なり。扈従(こじゅう)の若衆は、酒を助くる酌人なるべく、既にして名月東山の上に昇り、光輝皎々(こうこう)昼の如く、丸行灯の火影は打白みてあらすもかなと思ふならむ。
西行の歌に、
「秋は只、今宵ばかりの名なりけり、同じ雲井に、月は住めども」