年中行事とみきのくち11 |
ほうそうのかみ 17 疱瘡神まつり ほうそうがみ |
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画像をクリックして下さい。疱瘡神祭り | 疱瘡棚とみきのくち |
女諸礼綾錦(★) | |
天保12年(1841) |
画像は、「疱瘡神祭り」の図です。 疱瘡(ほうそう)とは、天然痘の事で、幕末(安政5年、1858)になって、種痘が行われる様になり、罹病(りびょう)する人が激減するまで、大変恐れられていました。有効な予防治療法がなかった時代、人々は、信じれば、掛からなかったり軽く済むと考えられていた「疱瘡神」を祭りました。 「疱瘡神祭り」は、疱瘡の神をもてなして、遊びながら治そうというもので、祭り方は、地方によりいろいろです。 疱瘡神は、赤いものが好きと信じられ、患者の回りを赤ずくめにしました。病室を暗くして、注連縄を張り、赤い紙の紙垂(しで)を付けます。部屋の中には、疱瘡神を祭る臨時の神棚(疱瘡棚)を設けます。屏風、衣桁に赤い衣類を掛け、病人も看病する人も赤い着物を着ます。神棚には、赤い紙の御幣、灯明、赤い餅、赤飯、赤鯛、お神酒、人形玩具などをお供えします。お神酒徳利には、みきのくちを挿します。人形玩具は、赤く彩色した、(目無し)ダルマ、金太郎、天神、獅子頭、鯛車などの赤物(あかもの)で、病気の回復を祈る縁起物です。 画像では、赤い頭巾をかぶった子どもが、「鯛車」を引いて遊んでいますが、鯛は、「軽く済んでお目出たい」の願いを込めています。 この画像の神棚に祭られている人形は、手に杓と杯を持っていますので、「猩々(しょうじょう)人形」です。元禄3年(1690)刊「人倫訓蒙図彙」の「持遊細物や(もちあそびこまものや)」図に、「猩々人形、デンデン太鼓」が描かれています。猩々は、謡曲、能などに登場する赤面赤毛の妖精で、酒を好むとされています。神棚の下には、お見舞い品が並べられていますが、紅色の頭巾や木綿生地なども贈られました。 疱瘡の回復後、疱瘡神を依りつかせた人形や供物は、川や四辻などで神送りされます。 画像の「猩々」は未見です。草津張子の「猩々」を紹介致しします(疱瘡神祭りの画像をクリックして下さい)。 |
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