静岡県外神酒口 14





柏木 光蔵 氏

 柏木氏は、川崎市立日本民家園の中で活動する民具製作技術保存会(民技会)で、竹細工グループの一員として活躍しています。竹細工の技術を習得する中で、故関山 友吉氏、あきるの市の故渡辺 カネ子氏、続いて、福生市の細渕 昌一氏からミキノクチの製作技術を習得し、現在に至っています。
 民具製作技術保存会は、「伝承している技術に何も加えない、何も引かない」という考えで製作していますが、柏木氏は、「作り方を積極的に残し、継承者を増やして行くためには、ミキノクチを正月だけ、神棚だけに使うものから、生活の場のいろいろな所に、また、季節を問わず利用できるものを考えて行くことが必要不可欠では」と考えて、新作にも挑戦しています。但し、この活動は日本民家園の外で、民技会とは関係ない独自の活動として行っています。


 柏木氏は、「伝統的ものづくりの提案・シンオミキグチ・新御神酒口」という冊子を発行されました。「シンオミキグチ」の要点を紹介させていただくと、
  
○シンオミキグチ基本的な考えとして、
1、御神酒口として、従来と同じ様に使用できる事。
2、同時に、他の用途、例えば正月以外、日々の生活の場でも、いろいろな使い方を楽しめるもであることなどを、新しい作品(新御神酒口)のコンセプトと考えている。
 
○基本的な作り方については、
1、御神酒口として、御神酒徳利に挿す事が出来、同時に他の瓶や壺、壁面などに、簡単に取りつける事の出来るもの。
2、デザイン的には、御神酒口の繊細さを損なわず、日常生活にも容易に受け入れられる事が期待できるもの。
3、必要において、耐久性を持たせる手段を用意する、という3点です。

○作り方の対策として、
1は、壁面にも取り付けられるように、篠竹の輪を裏面に取り付け、紐を通す。
2は、新しいデザイン、新しい形の作品を作る。
3は、外観を変えることなく、耐久性を向上させる処理法を採用する。


 基本的考え1,2について、静岡みきのくち保存研究会も同感です。親方から伝わった形以外の新作にも挑戦し、また、絶えてしまった経木製のミキノクチの復元にも取り組むと共に、有志が、壁面などにも飾られるような作品にも、取り組んでいます。戦前の様に、年中行事などの際にも使われて、生活に潤いを与えられれば幸いに思います。

 の耐久性については、色々な考えがあります。清水の経木製の神酒口は、竹のミキノクチのような商品ではなく、年の暮に、大工さんが、隣近所、友人知人、仕事で出入りしている家などに、御歳暮のように差し上げるのが一般的で、「1年持てば良い、来年は、新しいものを飾っていただこう」、というのが基本です。しかし、美術館、博物館などに寄贈する場合は、長年の保存を期待して、保存処理案を参考にさせていただくべきでしょう。。



新御神酒口 寸法の単位はcm

ミキノクチの裏には輪が付いていて、紐を通し吊り下げる事が
出来るようになっています。柏木氏の新アイデアです。

1アゲハ 2オオトリ
(揚羽蝶) (鵬)
雌蝶 雄蝶
H(全長)38p×W(幅)34p H36p×W28p


3エホウノシルシ 4シンネンノヨロコビ2 5ハルマチバナ
(恵方の印) (新年の喜び2) (春待ち花)
H25×W10.5 H20×W9 H23×W11


6セイメイノキ 7メオトフクフク1
(生命樹) (夫婦福富久)
H23×W20 H25.5×W14.5 H26×15.5


8メオトフクフク2 9シンネンノヨロコビ1
(新年の喜び1)
H23×W18 H17×W17


ミキノクチ展示例。 画像提供 柏木 光蔵氏

このページに掲載しましたミキノクチは、
柏木 光蔵氏よりご提供いただきました。
厚く御礼申し上げます。