VOL. 20 
 1年戦争
 第8話 【決着】

 2006年5月27日、第4回目の調停となる。最初に『石原軍団損保』が調停室に呼ばれ30分ほどで入れ替わりに私が入室します。そこで調停委員から説明された『石原軍団損保』からの提示内容は、物損賠償金額が250万円,過失割合が90:10というものでした。譲歩案として物損賠償金額が300万円,過失割合が100:0を要求している私としては当然、納得できるはずも無く受け入れを拒否します。しかも『石原軍団損保』はこの提示内容で妥協しないのであれば調停は不調とし、裁判も止むを得なしと考えているとの事で半ば脅迫気味に妥協を迫ってきました。私としては弁護士と相談したいので一度、持ち帰らせてもらい次回での決着を要望しましたが調停員は、「前回も言いましたがあなたは調停の趣旨を間違えています。不必要に回数を重ねて長引かせることは調停には向きません。今、この場で決めてください」と言ってきた。「『石原軍団損保』には検討の時間を十分与えて、私には内容を精査する時間は与えてもらえないのか?」 と食って掛かりましたが取り合いません。
 そこで「賠償金額は元々の請求金額の半額しか保証してくれないのであれば、過失割合はこちらの要求を飲め!」と迫りましたが断固拒否されます。調停委員に対しては「あなた方の仕事は双方の意見の調整でしょ?あなた方は私の要求の何を相手に伝え調整してくれましたか?全部、先方の言いなりじゃないですか!250万円で承諾する条件は、100:0です。そう伝えてください。」と。そして再度、『石原軍団損保』が呼ばれ話し合いの後、過失割合が95:5の変則割合の譲歩案が提示されました。これでは私の損になりますが、ここが妥結ポイントと判断した私は、装具やヘルメット等の被害請求はこれとは別途、請求していた内容から変更が無いこと、医療や治療費は全額、『石原軍団損保』負担とする事を再確認するのであれば承諾することを伝え、回答を待ちます。その結果、先方の私の要求を受け入れ

妥結内容
過失割合(加害者:被害者) 95:5
補償金額 車両 \2,500,000
カスタマイズ費用
装具費用 \71,736(新品価格の70%)
引上げ費用 \21,000(実費)

の内容で調停が成立しました。
 これは裁判に持ち込んでも当初の請求金額の約400万円は勝ち取れる見込みがなく、弁護士からは新車価格の200万円が最高支払い見込み金額である事を事前に聞いていた事,裁判費用や弁護士費用で100万円近い金額の支出が見込まれ実質的な受け取り金額よりも多く勝ち取ることができると判断してのものでした。過失割合は95:5となった事で過失相殺として入手金額は¥2,375,000となりました。
 その後は浜松家庭裁判所裁判長により私,引手倉君,石原軍団損保,調停委員が同席する中で調停調書が作成され読み合わせが行われました。この段階で誤記や事実誤認があっても見逃してしまうと確定してしまうため、慎重に内容を確認していきます。内容に間違いがない事を確認して調停が成立となりました。



 事故被害にあってから丁度、1年掛かりで賠償交渉を行ってきた『1年戦争』はこれで終結となりました。しかし左腕に残った後遺症や傷は一生涯、消えることはありません。そして6年掛かりでコツコツ仕上げてきた大事なRVF/RC45も元には戻りません。
事故は自分がどんなに注意を払っていても混合交通の日常では必ず巻き込まれる危険を含んでいます。皆さんも日頃から公道での無謀な走行は自粛し予防運転に努めたり、加害者・被害者になった場合の行動を日頃から勉強しておくことをお勧めします。そして万が一、被害者になってしまった場合、自身に過失が無いと判断できる状況で体が動けるのであれば携帯電話でのカメラでも良いので現状の状況を証拠として写真に残すことをお勧めします。この写真を相手側に提示する事で過失割合の交渉をこちらのコントロール下に置け有利に進められます。
 またバイクのカスタマイズを行う場合はノート等に部品代、取り付け工賃などの領収書を残して記録しておく事をお勧めします。その部品の価値を証明できる資料が残っていないと請求ができません。

 ちなみに受け取った賠償代金はVTR-SP1購入代金とその追加カスタマイズ費用で全て消えうせました。入手金を目当てにゴマスリをしても何も出てきませんのであしからず。


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