VOL. 27 
 FREEDOM
 第1話  【生涯】

 2008年の夏頃からだったでしょうか?自分の中で『一生付き合えるバイク』とはどれか?今後現れるのか?…と思い始めたのは。ずっと手元に残しておきたいと思っていたカストロールカラーを施したRVF/RC45を事故で廃車にしてからというもの、なかなか「これだ!」と思えるバイクは現れませんでした。実は2002年からWGPがMoto GPと名称を変えるのを機にホンダが990ccのV型5気筒で参戦する事を表明してからというもの、数年後に市販バージョンが発売されるのを期待してコツコツと貯蓄もしていましたが結局発売される事はありませんでした。今後、数年以内に市販化されたとしても年々厳しさを増す各種規制によりDUCATIデスモセディッチ程のリアルレプリカとはならないのは明白です。
 RVF/RC45無き後は、日頃から懇意にさせて頂いているサスペンション専門ショップ、スクーデリア・オクムラ様のデモ車両であるVTR1000-SP1を譲ってもらいました。幸いにしてVTR1000-SP1(SP2)はフルモデルチェンジをしなかった為にデビュー時からモデル末期まで大幅に姿が変わってしまう事はありませんでしたがレースの世界では4年間しか活躍できず、基本的にはスーパーバイクレースのホモロゲ車両である事から月日の経過とともに魅力が色褪せていくのは免れません。
 不惑の年齢を迎えた今、派手なグラフィックの最新1000cc級スーパーバイクレースのベース車両を新規購入して還暦を過ぎるまで乗り続けるのは気恥ずかしいし、2年毎にフルモデルチェンジを繰り返してすぐに旧式になってしまうのを避ける為にレースとは無縁のバイクが欲しいと思い始めていました。イメージとしてはデビューしてから10年以上経過してもデザインが普遍で年次改良によって熟成され続けたスズキのGSX1100S刀やカワサキのGPZ900NINJAです。
 そして2008年にBIMOTAから最新モデルであるDB7が発表されました。その約500万円のプライスタグには正直、手が出ないと思いましたがレース参戦車両ではない事とDUCATI1098の水冷エンジン搭載によって十分スポーツ走行は楽しめる事は約束されているも同然でした。そんな中、2008年の鈴鹿8耐レースでのMOTO-MAXでモトコルセ様のブースに国内導入予定モデルであるDB7Sが展示されていました。とても1100ccのエンジンを搭載しているとは思えないコンパクトさやアルミビレットパーツやカーボンパーツの多さ、作り込みの丁寧さを目の当たりにして500万円のプライスタグには説得力がありました。そして自分が求めている『一生付き合えるバイク』の理想像に近いとも感じて急速に興味が湧いてきたのでした。

 
 理想の1台

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