VOL. 27 
 FREEDOM
 第5話  【至高】
 
 マッシモ・タンブリーニ。国産、海外モデルのスポーツバイクを愛するライダーでこの名前を知らない人は少なくないでしょう。名前を知らなくてもBIMOTA社創設の1人であり、DUCATI916シリーズをデザインした現代随一の敏腕デザイナーといえばお分かりになるでしょうか? 国産メーカーのデザイナーに多くの影響を与えたタンブリーニさんがデザインしたバイクの特徴は鋼管トラスフレームに強力なエンジン、そして流麗な外装と彼自身が欲しいと思えるバイクを時間とコストを惜しまずに具現化する事だと思います。一般的にはデザイナーのイメージが強い人なのですがエンジニアでもあるんですよね。こんな拘りを持っているからこそ時間が経過しても陳腐化する事がないバイクを発表し続けてこれたのでしょう。
 かつては国産車でもデザイナーや開発責任者の名前が分かる名車があったものですが、最近は開発者の顔が見えないバイクが多くなっています。実用車でなくお金のかかる趣味の乗り物である以上、どこかに拘りを持っていたいのです。
 ボクは常々、バイクは以下の3種類に分類されると思っています。
1) 腐っても鯛のバイク
2) 腐る鯛のバイク
3) 腐らない鯛のバイク

 あくまでも個人的な見解なのでご容赦願いたいのですが、
1)は時間の経過とともに陳腐化してしまうものの、希少性や輝かしいヒストリーに包まれている為に一部の熱烈なファンに支えられている他に代替えが利かないバイク。 かつて乗っていたRVF/RC45やヤマハSRなどがこれにあたると思います。
2)は時間の経過とともに陳腐化して、新型車が出るたびに買い替えられてしまう代替えが利くバイク。現在の多くの1000cc,600ccの国産スーパースポーツがこれにあたります。
3)は時間が経過しても陳腐化せずオンリーワンでパイオニアなバイク。スズキのGSX1100刀やVFR750R(RC30)やMV AGUSTA F4シリーズ等がこれにあたります。

 今回、手に入れたF4-RR1078は750ccのF4シリーズが発表されてから13年、市販されてから10年が経過しましたが、デザインは変更することなくメカニズムをアップデートして今に至ります。そして10年が経過しても最新国産スーパースポーツに引けをとっていません。特質すべきは国産スーパースポーツはこの10年間で3〜4回ものモデルチェンジを行っているという事です。F4-RR1078は現代の水準で見れば旧世代の部品が使われていたり、今となっては使い勝手の悪い部分があったりして決して満点評価を与える事はできません。しかし気に入らない部品は自分の気に入った部品に交換する事でF4らしさを残しつつ、自分だけのバイクに仕立て直すことができます。タンブリーニさんが「今ならこうしたいじゃないかな?」と想像しながらカスタマイズを施し、至高の1台に仕立てていきます。MV AGUSTAを所有するにふさわしい大人に近づいた事で、この先もF4-RR1078はずっと手元に残すことになるんだろうなぁ。 

一生乗り続けたい至高の1台

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