VOL. 48
● 大将、ホンダNew MIDコンセプト3機種に試乗する
開催日:2012年3月25日(日)

東京モーターサイクルショー2012を見に行った翌日は静岡県浜松市にあるレインボー浜名湖で【ホンダドリームフェスタ2012】というホンダ車の試乗会が開催されたので行ってきました。最大の目的は既にオーナーになられた方も多数いるNEW MIDコンセプトのトップバッターとして発売されたNC700Xです。今回は原則、当日受付はなく、ホンダドリーム店かWEB申し込みをした方のみが試乗可能となっていました。
当日は10:00過ぎに会場入りしましたが、既に試乗会は始まっていました。事前申し込み制だったので例年みたいに当日ドタ参する人の姿はそれほど見られず、来場者は例年よりも少なかったみたいですがそれでも話題の車両に無料で試乗できるとあって人気モデルの前には行列ができていました。
試乗車は一番人気のNC700Xをはじめ、ゴールドウイングやCB1100、VFR1200FDなど2012年型のホンダ車が勢ぞろいです。そして発売前にもかかわらずNEW MIDコンセプトのNC700Sとインテグラも試乗車として用意されていました。これは3台とも一気に試乗してそのフィーリング違いや完成度を見極めたいと思います。ただし、あくまでもヘッポコライダーのインプレッションなので細かい突っ込みはご容赦願います。
まずは既に発売後1ヶ月で年間販売計画の3倍の受注があったという絶好調のNC700Xから。こちらはMT仕様のみが試乗できました。おそらく誰もが気になる700ccパラレルツインのフィーリングですが、パラレルツインである事を忘れるくらいにVツインっぽい味付けがされています。これは位相クランクの恩恵によるものでしょう。おかげで後輪でしっかりとトラクションを感じる事ができます。6速・3000rpm位で70km/h位は出ました。クルージング速度に達すればリミット回転数の設定が低い事やパワーが不足している事は感じません。
ただ、このあとNC700Sに試乗して気になった事として従来モデルの燃料タンクの位置にある収納スペースをハーフカウル一体デザインとした影響か、エンジン音が反響して太鼓の様に聞こえた事です。耳触りと言う事ではありませんが、NC700Sでは気にならなかったので乗り比べをすると分かるレベルです。
そしてやはり前後のサスペンションがフワフワし過ぎてアクセルのオン・オフやブレーキングでピッチングが起きやすい事が気になります。特にこのバイクで本格的なオフロードを走る方は稀でしょうが、ホンダから提案されているトリプルパニアケース装着相当のハードツーリングユースとした場合、その荷物の重量でサスペンションが沈み込んだままになってしまうのでは?と思います。荷物満載でロングツーリングに行かれる方は是非、サスペンションを社外製に交換する事をお勧めします。
ちなみにタイヤはBS-BT023というツーリングタイヤが装着されていました。この事からも見た目はアドベンチャー系だけどツーリングモデルという位置づけかな? 本格的なオフロード(おそらくフラットダートくらいまで)を走行したい方はVFR1200・クロスツアラーを買ってね♪という事なのでしょう。
次に4/17に正式発売となったNC700S。こちらも試乗車はMT仕様のみでした。当たり前ですがエンジンフィーリングはNC700Xと全く同じです。しかしNC700Xみたいにハーフカウル化されていない、いわゆるネイキッドスタイルでハンドルの高さも低いのでNC700Xよりも風が身体に当たり実際の速度よりも速く感じます。NC700Xみたいにエンジンのこもり音も気になりませんでした。
こちらもスポーツバイクとして見るとサスペンションのピッチングが大きい(ポジションの影響か700Xよりはピッチングが穏やか)事や、ブレーキ性能がややプアな事が気になりますが、スーパースポーツと勝負しないタウンユースとして割り切る事が出来ればリラックスして乗る事が出来ます。今後、アフターパーツが多く発売されるでしょうから、最低グレードが60万円で買える事を考えると自分好みにバイクを仕上げていく楽しみがある1台です。
そして最後はインテグラ。こちらもNC700Sと同じく4/17に正式発売となったモデルです。トランスミッションの設定はツインクラッチのDCT仕様のみとなります。巷ではこのインテグラを指してDCT仕様である事やそのスタイルから大径タイヤのスクーターだという方もいますが(ボクも試乗するまではそう思っていました)、れっきとしたモーターサイクルと断言できます。そのくらいスクーターとは乗り味が異なりました。ただ、スクーターと同じフォワードステップボードに足を載せて左右のハンドレバーでブレーキ操作を行うので、操作感はスクーターと同じと言う新種のバイクみたいな違和感(慣れないだけですけど)がありました。
特にVFR1200F DCTオーナーのボクにとって第二世代と進化したDCTがどんなフィーリングかが最大の関心事でした。VFR1200F DCTは従来、MT仕様のバイクしか乗った事が無いライダーが違和感を感じない様に、わざと変速ショックを残してギアチェンジした事をライダーに感じさせているそうです。しかし結果的にシームレスな乗り味を期待しておいたオーナーからは不評だったそうで(ボクもアンケートでその様に指摘しました)、この第二世代では変速ショックを極力減らしてきたそうです。
またVFR1200F DCTではギアチェンジの時に「バコン!」とか「ガチャコーン!」と変速音が響き気になっていますが、インテグラではこの音も気になりませんでした。クラッチの構造がVFR1200F
DCTの第一世代では奇数段と偶数段の2階建て構造となっていますが、第二世代ではBMWのフラットツインエンジンみたいにカウンターギアを中央にして奇数段と偶数段を左右に振り分けた構造となっています。この為、クラッチ部分は幅方向にスペースを要してしまいパラツインエンジンとはいえクラッチ側の張り出しがやや大きくなります。しかし構造が簡単になり、2階建て構造による共鳴は防げるので作動音には有利な様です。特にインテグラはフルカバードボディなのでエンジン周りから発生する音に関しては遮音しやすいのかもしれません。
インテグラはVFR1200F DCTと同じくフルオートマモードに加えて左側ハンドルグリップにあるパドルスイッチによってMTモードで任意のシフトチェンジを行う事も可能です。このMTモードでの追随性も良好で位相クランクによるトラクション性能と相まって、結構元気な走り方ができました。
このインテグラと同じDCTを搭載したNC700X,NC700Sは6月頃に発売されるそうなので現在、このNEW MIDコンセプト3機種の購入を検討されている方で、
・新機構は積極的に受け入れる事が出来る。
・左手と左足で操作する従来のMT変速手法に拘らない。
・ロングツーリングで使う機会が多い(多くなりそうだ)。
・MT仕様に対して10万円のコストアップは受け入れる事が出来る。
こんな方は是非、DCT仕様をお勧めします。これはVFR1200F DCTオーナーの多くの方の声なのですが、MT変速の操作から解放された事でツーリング中に景色を見たりする余裕が生まれたり、疲労の度合いが軽減されるなど、メリットが多くあります。
さてホンダNEW MIDコンセプトの3機種以外に、2012年型のCBR1000RRと2012年型VFR1200F DCTにも試乗しました。
まずは2012年型VFR1200F DCTから。2012年型ではDCTのMTモードとしてパドルスイッチに加え左足のフットペダルでのシフトチェンジがオプションで可能になりましたが試乗車にはフットペダルは装着されていませんでした。またトラクションコントロールが装着され、DCTのプログラミングも変更されています。
基本的には普段自分が乗っているバイクなので一番安心して乗れました。しかしタイヤ銘柄によるものなのか、トップケースが付いていない事によるものなのか、ハンドリングが自分のVFR1200F DCTと違う感じがしました。具体的にはハンドリングが粘ってリーンの際にまっすぐ行こうとする傾向が強かったというものです。トラクションコントロールの効果はドライ路面では体感する事ができませんでした。LEDテールランプは可能であれば自分のVFR1200Fに移植したいなぁ・・・。
そして2012年型CBR1000RR。一緒に参加した友人はポジションがキツクて乗れないと申しておりましたが、ボクは所有するMV AGUSTA
F4と比べればとても平和なバイクに感じました。そしてメチャクチャ乗り易いバイクです。エンジンも低速から力強く、ブレーキングもコントローラブル。そしてリーンも軽くてヒラヒラ切り返せます。これが150万円程で買えちゃうのですから、良い時代です。でも『何かコレッ!』という心が魅かれる物が欠けている感じがするんですよねぇ。ドゥカティ・1199パニガーレみたいな魅力(魔力といってもいいまお)が・・・。
それとフロントサスオエンションはSHOWAのBPFの採用で、旧モデルに比べてしっとり感があってボク好みなのですが、リヤサスはフワフワ動きすぎ。試乗会用にソフト側にセッティングしてあったのかもしれませんが、伸び側の動きが速すぎて、ブレーキングの時にノーズダイブというよりもリヤが浮き上がってしまう感覚がありました。セッティング範囲が広いサスが採用されているのでもう少し伸び側をハードにして試乗してみたかったです。
会場では先導役としてホンダ系の全日本ライダーが駆け付けてお手伝いをしていたりしていました。今季は休業宣言とした亀谷長純さんはハンドマイク片手にスムーズな進行をしていてくれましたよ。
今年のホンダは話題のニューモデルが多くあるので今後、各地で開催されるドリームフェスタに是非、足を運んでみて下さい。
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