VOL. 47 
● 2012 東京モーターサイクルショー

 3/23(金)〜3/25(日)の期間中に東京ビックサイトで開催された「東京モーターサイクルショー2012」を見に行ってきました。昨年は東日本大震災の影響で直前に中止となったために2年ぶりの開催となりました。1週間前に開催された大阪モーターサイクルショーで国内初お目見えとなったDUCATIパニガーレをはじめ、日本初登場となるMV AGUSTA F3 Serie Oroをこの目で見るのが目的です。

 夜勤明けにも関わらず早起きをしてVFR1200F DCTで出発し横浜から先は雨に振られましたが11:00前に会場に到着し屋上駐車場にバイクを停めます。前日に前売り券を購入しておいたので混雑もなく会場に入る事が出来ました。
 とりあえず展示場内をクルリとみて各社のブース位置を確認しながら見て回ります。屋内展示場では国内4メーカーをはじめ、現在、日本で購入可能な最新モデルを揃えた海外メーカー、パーツサプライヤーが出展していました。アンケートに答えながらカタログをもらい、会場を回った感想を以下に書き連ねてみたいと思います。個人的な感想なのでクレームはご遠慮下さいね。

メーカー 注目車両 コメント
HONDA

ホンダの注目モデルはNEW MIDコンセプトの3モデルです。
その中でトップバッターとして発売され好評を博しているNC700Xのスペシャルオプション装着車は、すでにオーナーになられた多くの方が目指す方向性を具現化していて素直に格好良いです。写真はありませんが、NC700Sとインテグラは4/17デビューです。

次にNC700Xの上位機種となるVFR1200Fクロスツアラーです。
クロスツアラーは国内仕様の販売予定は無く、パッセージなど大手販売店が海外仕様を独自に仕入れて販売する予定だそうです。しかし、このクロスツアラーは無限+ホンダドリームブースに展示されていたのでスタッフに問い合わせたところ、昨年発売されたVFR800Xクロスランナーと同じく、クロスツアラーも無限仕様としてマフラーなど一部のパーツを変更して発売する計画だそうです。クロスツアラーの販売に期待していた方は、もう少し待った方がいいですよ。

個人的に気になったのは2012年型VFR1200F DCTです。
2010年型オーナーとしてはトラコン装備と燃料タンク容量UP、そしてオプションのトップケース容量が増えた事が気になります。トップケースはモノキーシステムなので2010年型に流用できないかドリーム店に問い合わせ中です。


国内4メーカーのうちホンダが一人気を吐いて注目を集めていました。
YAMAHA  特に注目される新型車がないという事で2012年モデルの展示と昨年の東京モーターショーで参考出品されたバイクの一部が展示されていました。
目新しい新機種の発表はなかった代わりに、様々なバイクライフを提案する様な趣向で車両展示やアクセサリーが広い展示エリアを利用して行われていました。
ただ個人的には東京モーターショーでコンセプトモデルとして発表されたMOEGIの正式市販化などのサプライズを期待していましたが、それも叶わなかったです。
3年前は国内4メーカーの中で一番の活気があったヤマハでしたが、今回はちょっと元気が無い感じがしました。
SUZUKI ヤマハ同様、注目される新型車がなかった事で2012年モデルの展示が中心でした。
その中で中国で生産され海外販売されるGW250というモデルの展示がされていました。水冷並列2気筒エンジンを搭載し、スズキのフラッグシップネイキッドであるB-KINGのイメージを投影した世界戦略車となります。国内販売は未定との事ですが、このエンジンとシャーシを流用した国内モデルの開発に期待したいと思います。
 
KAWASAKI 唯一の新型車として来場者の注目を集めていたZX-14。
最強・最速バイクの称号を維持するためのカワサキ渾身のウェポンです。ただ、いかんせんデカイです。でもこの1台で多くの集客を収めるなんて流石はカワサキです。

他はイヤーモデルの展示のみでしたが、W800やER6やNinja250など根強い人気モデルに多くの来場者が注目していました。
 
DUCATI

今回のモーターサイクルショーで一番の集客を誇り個人的にも注目していたドゥカティ・1199パニガーレです。
多くのスーパースポーツバイク好きなライダーが興味があるであろう、そのシャーシ構成が分かる様なストリップ状態の車両が展示されていました。フレームレスのモノコック構造やエキゾーストの取り回し、リヤサスの取り付け方法など、一見、奇をてらった構成に見えますが、完成形になると全てが意味のある形状と配置である事が伺えます。
先日の宮城光さんのトークショーでお話ししていましたが、ドゥカティは求める到達点は不変であるものの、従来とは違ったアプローチにチャレンジしてみたというのは本当の様です。そして従来とは全く違う乗り心地かというとそんな事は全く無く、既存モデルのオーナーが乗ったら同じ路線上にある事が体感できるそうです。

ただ話に聞くところによると日本仕様への変更には騒音規制でかなり手こずっているらしく、国内導入時はCB400SF並の出力しか出せない可能性があるそうです。この場合はサーキットでしかフルパワー化できない設定がされるかもしれません。
MV AGUSTA 大阪モーターサイクルショーでは展示されず東京モーターサイクルショーがジャパンプレミアとなったMV AGUSTA F3です。しかもセリエ・オロ!
セリエ・オロは全世界200台限定生産のプレミアモデルですが欧州の金融危機の影響で日本には当初導入予定以上の台数が入ってくる公算が大きいそうです。
RIDERS CLUB誌で根本健さんや宮城光さんが既に試乗されていましたよね。これは認証用で先行納入された車両らしいですけど。
日本仕様は各種規制対応として本国仕様とは特徴的な3連サイレンサーの構造が違うそうです。本国仕様はテールエンドが総カーボンパイプなのですが、日本仕様はカーボン巻きでサイレンサー内の口径も絞ってあるそうです。それでもプレミア感は抜群ですね。
このセリエ・オロの生産終了後にSTD版の生産が開始されるそうです。価格が倍近い違いはフレーム材質の違い、熟練工による手作業溶接か自動化ラインの機械溶接の違い、前後サスのブランド違い、カーボンパーツ採用の有無、ホイールの製法違いなど多岐にわたります。
セリエ・オロを手に入れてもバイクをカスタマイズする箇所が無いので、バイクを自分好みに作りたい人はSTD版を購入して少しずつカスタムするのもいいですね。

このF3が欲しくて貯金をしていますが、3台目がガレージに納まる日はやってくるのか?
Aprilia

個人的にはRSV4には思い入れがあります。ボクが開発に携わった部品が採用されているものですから。好きなエンジン形式であるV4モデルですし。

そして欧州の免許制度の関係で人気のある125ccのRSV4レプリカ。車格的には国内の400cc並みのボリュームがあり、日本でも次に来るのは125ccブームかな?
BIMOTA ドゥカティ1198のテスタストレッタエンジンを搭載したDB8です。
3年前の秋にあの運命のいたずらがなければボクは今頃、ビモータオーナーになっていたかもしれません。
DB7の試乗の為にモトコルセを訪れた際に、お店のご厚意でMV AGUSTA F4も試乗させて頂き、その官能的な性能やスタイルにヤラレてしまったというトコロ。
個人的にはDB5のデザインに水冷1198のエンジンを搭載したモデルがあればグラッとくるんだけどなぁ。
 
MOTO GUZZ  写真はV7 Racer。
縦置きVツインエンジンを搭載しているモトグッチの中でもスポーツ色を前面に出したモデルで性能は最新のSSには敵いませんが、雰囲気が出ていて大人のスポーツといった風情があります。是非、試乗してみたいモデルです。
 
BMW

BMWはホンダ・スズキと共に世界で3社しかない2輪・4輪生産の総合メーカーです。
ボクは基本、スーパースポーツ(SS)モデル好きなのでやはりS1000Rに注目しています。
昨年に試乗した事がありますが、乗り易かった覚えがあります。最近、リッターSS車に試乗する機会が多いのですが、ドコのメーカーでも凄く乗り易いです。もしかしてボクが所有するMV AGUSTA F4ってメチャクチャ乗りにくいバイクなのかも…?と思い始めています。
写真のS1000Rの隣にはストックレースのベース車も展示してあって、オプションのデータロガーのデモが行われていました。やはりレーシングマシンになるとこのバイクの本性が垣間見えますね。

そしてホンダインテグラの最大のライバルになるであろう、BMW初のメガスクーター。
600ccのスポーツモデルと650cc(左写真)のGTモデルの2機種があります。
アドベンチャーモデルのブームの次はメガスクーターブームが欧州に押し寄せるかもしれません。
KTM

スーパースポーツモデルのRC8Rです。
ドゥカティと同じ1200ccVツインというエンジン形式を採用していますが、WSBKレースには参戦していません。ドゥカティの1198や1199パニガーレがかなり先鋭化してしまったので直接対決は避けて1200ccVツインというキャラクターのロードスポーツモデルとして差別化する道を選んだと思われます。ドイツの国内選手権には参戦していますけどネ。

そして世界的に大ヒットとなったDUKE125の上位機種となる200ccバージョン。
日本では中型車に分類されてしまい200ccに乗るなら車検が不要なフルサイズとなる250ccの選択肢が浮上して来るので悩むかも知れませんね。


 
TRIUMPH

3気筒エンジンを搭載したアドベンチャーモデルのTIGER EXPLORERです。
世界中で人気のアドベンチャー系モデルはトライアンフも1200cc系のメガクラス(左写真)と800cc系のミドルクラスの2機種にラインナップしてますね。

2気筒のボンネビルはスティーブ・マックイーンをオマージュした新型が発表されました。ボクは映画を知らないので、スティーブ・マックイーンモデルか否かはともかくこういうネオレトロなバイクも1台欲しいなぁと思います。
HARLEY-DAVIDSON 空冷Vツインをアイデンティティにする『THE USA』メーカー。
個人的には興味のないジャンルなのでおそらく生涯、乗る事のないと思われます。
但し、日本で新車登録される海外モデルでダントツ1位のその人気とブランド力は国産メーカーにとって脅威に違いありません。
みんな同じバイクに見えるH-Dにあって、H-Dのイメージカラーを纏ったGTモデルとなるFLH系のこのモデルは一番、H-Dらしくボクの目に映りました。 
Indian H-Dよりも古い創業を誇るメーカーで2009年に再復活しました。
写真はメインモデルとなるChief VintageでH-Dと同じく空冷Vツインエンジンを搭載し、EFIなどの最新技術を盛り込んでいます。
国内正規販売網も整備され、H-Dとは一味違うモデルを探している方にはお勧めかな?
H-Dと同じく個人的には全く興味のないジャンルですけど。
 
Megelli 写真はワンメイクレース用モデルです。
外装やサイレンサー(ヤマモトエンジニアシング製のSPEC-Aが純正採用)が交換されたモデルで素直に格好良いです。日本で開催されるネオスタクラスの公認車両となれるかな?250ccクラスの選択肢が増えて良い事です。
個人的にはイギリス開発・イタリアデザイン・中国生産という3極体制がドコまで維持できるか少し不安です。
 
Husqvarna オフロードバイクのイメージが強いハスクバーナ初のオンロードモデルとなるNUDA900です。エンジンやシャーシはBMWのF800シリーズを基本にし排気量UPや剛性UPを図っています。基本構成が同じF800とは違い、カッ飛びバイクに仕上げてあるそうです。
 

 上記のメーカー以外にもロイヤルエンフィールドや海外のスクーターメーカー、電動バイクメーカーが出展していました。3年前の東京モーターサイクルショー時に比べてパーツメーカーやウェアメーカー、用品メーカーの出展数が減っており、まだまだ不景気の影響があると感じました。
しかしドゥカティ・1199パニガーレやMV AGUSTA F3の展示ブース前は常に人だかりができており、魅力のあるモデルは多くのライダーの関心を引き付ける事が出来る事も証明していました。国内メーカーではホンダが新モデルを発表した直後という事もあって多くの来場者が詰めかけていました。ユーザーには購買意欲があるにも関わらず欲しい商品がなかなか無いという需給のアンバランスが見受けられましたが、今年は各メーカーから魅力的なモデルが発表されています。今回の東京モーターサイクルショーの活況を活かし、バイクメーカーやパーツメーカー、用品メーカーなど業界一体となって盛り上げに貢献する運動を行ってもらいたいと思います。


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