2006/11読書日記

2006年11月28日
七度狐 
創元クライム・クラブ 
著者/訳者名 大倉崇裕/著 
出版社名 東京創元社 (ISBN:4-488-01292-2) 
発行年月 2003年07月 
サイズ 269P 20cm 
価格 1,785円(税込) 
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 大井川の奥にあるらしい「杵槌村」を舞台に、
春華亭一門会で起こる見立て殺人事件。
 横溝風のおどろおどろしい作品を意図していたのでしょうが、
僕はどうもその辺の感覚が鈍いようで、なんかばたばたしているなぁ
と思っただけで終わってしまいました。
 ラストもぞっとするのが本当なのでしょうが鳥肌も立ちませんでした。
 最近感性が鈍ってきているのでしょうか?これも老化現象?

2006年11月30日
包帯クラブ 
ちくまプリマー新書 X01 
著者/訳者名 天童荒太/著 
出版社名 筑摩書房 (ISBN:4-480-68731-9) 
発行年月 2006年02月 
サイズ 191P 18cm 
価格 798円(税込) 
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 体についた傷は癒しようがあっても、心についた傷は
癒しようがないのかもしれません。
 主人公の女子校生「ワラ」は「ディノ」との出会いの中で、
傷ついたその場所に「包帯」をすることで、心の傷が
癒されることに気づきます。
 友人「タンシオ」「ギモ」「リスキ」そして「ディノ」らとともに
「包帯クラブ」を始めます。
 10年ほど前の高校生が携帯持ってたり、
簡単にHP立ち上げたりするのに多少の違和感を感じましたが、
それも時制の問題(本編以外の部分が未来のお話であると思えば
無理はない)だけで、そんなことが本当に些末なことに思えるような
素晴らしい本です。
 この話を若い人たちが手に取りやすい新書本にして、
なるべくたくさんの人たちに読んでもらいたいと心底思っている
作者の姿勢を美しく感じます。
 最近格差社会という言葉がよく出てきますが、人の生き方は
一般に成功者と呼ばれる人たちの生き方が正しいわけではなく、
勿論他に一杯素晴らしい生き方があり、勝ち負けなんか無い。
 自分が本当にしたいように生きればいいし、
本当に素敵なのは人のために何かしてやれることなんだと
覚えておけるよう、心の隅に包帯を巻いておきます。



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