2006/11読書日記

2006年11月21日
恋いちもんめ 
著者/訳者名 宇江佐真理/著 
出版社名 幻冬舎 (ISBN:4-344-01233-X) 
発行年月 2006年09月 
サイズ 290P 20cm 
価格 1,680円(税込) 
-100-

 初期の短編集のような、市井の恋のお話をてらいもなくポンと書いたような本です。
 素晴らしい。さすが宇江佐さんです。思った通り外すことなくきちんと書いてくれます。
 ほんとに宇江佐さんのお話は良いですね。

2006年11月22日
晩夏に捧ぐ 
ミステリ・フロンティア 26 成風堂書店事件メモ 出張編 
著者/訳者名 大崎梢/著 
出版社名 東京創元社 (ISBN:4-488-01730-4) 
発行年月 2006年09月 
サイズ 251P 20cm 
価格 1,575円(税込) 
-101-

 シリーズ2作目で早くも出張版とは・・。
 書店をミステリィは多いと思いますが、これだけ特化していては、
 展開が難しだろうと1作目には思いましたが、やっぱり、結構
 難しいんだろうなあと妙な納得をしています。
 2作目で大崎さんはとても期待できると確認できました。
 シリーズにこだわりすぎずにいろいろ書いて、合間に少しずつで
 いいから書店ものも書いてもらいたいと思います。
 1年に2冊も3冊も書けるものではないと思います。

後書きで著者が女性であることがはっきりしました。
最近女性作家の本ばかり読んでいるような気がします。
だめですねぇ(なにが??)。

2006年11月24日
ウェルカム・ホーム! 
新潮文庫 さ−27−10 
著者/訳者名 鷺沢萠/著 
出版社名 新潮社 (ISBN:4-10-132520-0) 
発行年月 2006年09月 
サイズ 251P 16cm 
価格 420円(税込) 
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 鷺沢さんは初めて読みましたが、あざとすぎるほどうまい書き手です。
 この年齢でこれだけのものを書けたのですから、これから先どれほど
 良いものが書けたかと思うと、本当に惜しい人を亡くしました。

 見城さんの方の話に、ちょっとタイムリーなエピソードがあったので、
 びっくりするとともに、自戒しました。

2006年11月27日
さよなら妖精 
創元推理文庫 Mよ1−3 
著者/訳者名 米沢穂信/著 
出版社名 東京創元社 (ISBN:4-488-45103-9) 
発行年月 2006年06月 
サイズ 360P 15cm 
価格 780円(税込) 
-103-

 ボーイミーツガールもの、秋山瑞人の「イリアの空、UFOの夏」
をおもいだしました。
 イリアは最終兵器として、マーヤは崩壊寸前のユーゴスラビアの
政治家志向の少女として主人公の前に現れます。
 どちらの場合も平和で安定している現状が少女の登場により
揺すぶられることになります。そして、どちらの場合も悲しいかな
主人公はこの安定した枠の中から抜け出すことは出来ません。
「イリア・・」でも「さよなら・・」でも主人公は現実を把握できないまま
少女を送り出してしまいます。
 ただ、「イリア・・」の主人公は現実の虚構に気づいても、
枠から脱出し得ないのに対し「さよなら・・」の主人公は枠からの
脱出を図りながら挫折することになります。
 この2作の共通点は、ボーイミーツガールもののよくある筋書き
の中ではわざわざあげるまでもないのかもしれません。
 ただ、「イリア・・」の戦争と「さよなら・・」の戦争は虚構と現実という
大きな隔たりがあります。
 私たちの目の前で、ボスニアでも、コソボでもたくさんの人が死んでいます。
 私自身、対岸の火事とそれについて真剣に考えたこともなかったことを
反省しました。
 それを取り込んで読者の前に提示したことで、
「さよなら・・」は非常に優れたものといえるでしょう。

(勿論、「イリア・・」をけなしているわけではありません。というか、
自分は「イリア・・」の方を好きな本としてあげるでしょう。
あのラストの悲しさは何とも形容のしようがありません)。

2006年11月27日
一瞬の風になれ 1 
イチニツイテ  
著者/訳者名 佐藤多佳子/著 
出版社名 講談社 (ISBN:4-06-213562-0) 
発行年月 2006年08月 
サイズ 228P 20cm 
価格 1,470円(税込) 
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 北上さんが絶賛しているが、どうなのでしょうか?
 この1冊を読んだところでは、あっと言う間に読めて、とても楽しかったという印象しかありません。
 2冊目、3冊目を読まないで結論を出すのは拙速というものでしょう。



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