どうなる 自治基本条例
この条例の制定を目指している、市議8人を含む地域政策研究会は、条例案を公表9月17日開会の市議会9月定例会で議員発議で上程をした。 |
発議から制定までの議会の流れ |
1地方自治法第112条の議員議案提出権により、議案を提出する。 2本会議において提出者の説明を聞き、議員の質疑のあるときは質疑の後、議長が所管(総務委員会)に付託する。 3総務委員会で質疑し採決をする。 4本会議において委員会の報告後、委員会の決定したことを全議員が採決をする。 |
議会の流れ 1 9月20日本会議において発議者森篤議員の説明を聞き質疑に入った。質疑は21日にも及んだ。本会議から総務委員会に付託された。 2 27日総務委員会が開かれた。委員会の構成は、6人のうち委員長を除いた5人の内、4人は研究会のメンバーのため、1人の委員が実質の質問者となった。 このため、番外議員からの質問も多く出た。 3 質疑の主なもの 質疑の中心は、市民への説明が不足し、合意形成ができていないことからの質問が多く出された。 稲葉知章の質疑 4総務委員会 27日、総務委員会が開かれ、3時間以上にわたり、委員ならびに番外議員から発議者ならびに当局に向け質疑が行われた。 結果は、委員長を除く5委員のうち4委員は、発議者ならびに政策研究会のメンバーのため、賛成多数により可決した。 5最終本会議 2日の本会議では、委員会報告の後、反対討論4人登壇、賛成討論2人の後、採決は賛成少数で否決された。 |
ちあきの意見 私は、当初政策研究会に所属をしておりました。そんな関係で反対はしにくい立場ですが、取り組んできている状況から客観的に見まして以下の内容で反対します。 10月2日 本会議での稲葉ちあきの反対討論内容 私は、発議第2号、伊東市自治基本条例に対し反対の立場で討論をいたします。 分権時代における自治体は、機関委任事務の廃止や国の権限委譲などにより、自己責任・自己決定の原則のもと、自主的・自立的な行政運営を行っていかなければなりません。 このため、市民の代表機関である議会・市長の責務は一層重くのしかかってきています。 今回の地方自治法の改正により、地方議会の活性化の観点から、議員の議案提出要件、修正動議の発議要件が緩和されています。 こういった背景から、分権時代の議員として、全国で初めて議員発議による「自治基本条例」の上程へのご労苦には深く敬意を表すものであります。 私としても賛意を表したいところでありますが、納得しがたい条項のあることや、上程までの経過の中において、より多くの市民への説明が不足し、合意形成ができていないこと等から、賛成するわけにはまいりませんので、不本意ではありますが反対せざるを得ないのであります。 本議案で、納得しがたい部分の、その主なものについて申しあげます。 まず、条文に沿って申しあげます。 第6条 ここでいう、市長の責務ついては、分権時代の首長は、住んでいる人がまちづくりの主体になる「市民自治型の首長」であるということが求められ、このため、市民自治型首長は、まちづくりの主体である市民が政策の策定と実行に実質的にかかわっていくことのできる制度を作らなければなりません。 具体的には、当て職による各種審議会等の市民委員、討論会や、公聴会の言いっぱなし、聞きっぱなしといったこれまでの形骸化した仕組みではなく、市民が自覚を持って、主体的にまちづくりに参加できる仕組みであります。 この仕組み作りを第6条、第7条で作り出していくことは理解するところでありますが、自治の基本であります、主体は地域にかかわる住民であることからして、住民ならびに市長がこのことを理解された中での制定が大前提ではないでしょうか。 さらに、第8条、説明する責任と情報の提供は、市民がまちづくりを行うためにまた、行政の説明責任を遂行するために、自治体が直面している課題を整理した争点情報、法務や財務などの基礎情報、個別課題を解決するための技術的な専門情報など、 行政のもつさまざまな「政策情報」を市民に公開し、提供しなければならない条文で、第6条、7条、8条は一体化した住民参画の条文であります。 本市での条例の制定は、当局提案がほとんどで、制定するまでの流れは、最近の第3次伊東市総合計画を見てみますと、市民の意向調査に始まりまして、ゆめづくり市民会議の提言、次に総合審議会さらに専門会議を開催して、市長への答申と言うように市民の参加があっての計画になっています。 一般的な条例の制定でも、審議会を設け、これには市民の代表・各界の代表により議論を重ね、市長に答申、答申を元に案文の作成にかかり、最終的に上程しています。 このことから、この条例が、上程までに住民等の意見が反映された条文であるのか質疑が多くの議員からあり、フォーラムやCATV・ホームページを通じ市民の認識は高まりつつあると答弁はしているものの、数回開いたフォーラムの参加人員は200人ということから見て、私は、市民の認識は低かった印象を受けました。 他市町での自治基本条例の制定までの例をあげますと、北海道ニセコ町では、「情報の共有」と「住民参加」を柱として、責任をもって「自らを考え自ら行動する」町をめざし、予算や財政の現状等をまとめた「もっと知りたいことしの仕事」の広報誌の発行や有線放送を利用した、政策情報の提供などに取り組み、6年間住民とともに検討がされ、制定にこぎつけました。 多摩市においても、自治体にとって必要な条例であるとして市民参加で取り組まれております。 現在取り組んでいる市町でも、住民との合意形成が問題点となり年数をかけて取り組んでいる状況であります。 次に、第8条第2項の市議会の情報提供では、この条文からどういった取り組みが予想されるかの質疑には、議会報の充実、とインターネットの議会情報の提供との答弁でした。 私は、地方分権推進計画においても、地方議会の活性化のため、1議会の機能強化、2議会の組織・構成、3議会の運営の3項目について取りまとめられていることから、今後考えられる説明責任として、インターネットでの議会情報の提供は答弁されていますが、 他にはフロッピーディスクなど電子情報化した議事録の貸し出し、議員の質問回数の制限の改善など、多くの市民が、議会を傍聴できるよう、本会議や委員会等を夜間や休日に開催することなど、さらに、市民と議員とが自治体の課題を共有する場に変えていく必要があり、このためには議会情報公開条例の制定など数多くの条例の制定が必要になってくるのではないでしょうか。 また、第11条と第7条第2項では、別に条例で定めるとあり、この下位条例の制定は発議者は改廃を含め20数本と答弁されています。 この下位条例の改廃や制定は当局が取り組むことになることを考えますと、本条例の制定に当たって、当局とのすり合わせがほとんどない答弁でしたので疑問が残ります。 この条例は理念条例だから、制定後市民の認識の高まりの中から徐々に下位条例の整備をしていこうとの手法は理解できないわけではありません。 横浜市では、8年間にわたり進捗が見られなかった事業に関し、企画、計画の段階から住民の参画を求め、成功したという例があり、発議者の言われる住民自ら、住民参画の意義をしっかりと押さえていくべきで、市政を市職員のみに任せるのではなく、ある程度危機感を持った住民参画が必要であることは横浜市の例に見るとおりであります。 また、発議者は市長の姿勢として、この条例が必要であり、より明確な位置づけを行う中で工夫する必要があり、質量ともに市政を向上させていくということを述べており、本市の審議会の形骸化や、自治の主体である住民の主体性の欠如などから、 今回、伊東市議会における発議となったことに対しまして、その着想には敬意と賛意を表しますが、市民の合意が得られていない状況の中での発進は、床の間に飾っておくような条例になる印象を持たざるをえないのであります。 条例制定の効果を出すとするならば、ある程度の時間を重ねた上、より多くの住民の参画と主体性に基ずく条例案の取りまとめが、自治の本質をつくり出すことになるのではないでしょうか。 この他、いろいろ問題点はありますが、主な点について申し上げ反対討論といたします。 |
地域政策研究会から否決された後のメールを掲載します。 *このメールは伊東市議会の有志議員8名で組織する「地域政策研究会」から配信す る政策情報です。 <<<<<本会議で逆転否決>>>>> 全国で初めての議員発議による「伊東市自治基本条例」は10月2日の最終本会議で賛成少数で否決されました。 この自治基本条例は市民有志や地域政策研究会が中心となり2年近く研究し、この伊東市議会9月定例会に議員発議で上程し、成立を目指していたものです。 この条例の審議を付託された総務委員会では賛成多数で可決されていましたが、本会議場での25人の議員の採決では、過半数を得ることができず否決されたものです。 <<<<<特徴>>>>> 「伊東市自治基本条例」は、主に次の点で伊東市の従来の条例づくりとは異なっていました。 1.条例づくりを市民にオープンな形で行ったこと。 2.伊東市の最高位の条例として位置づけたこと。 3.自治基本条例を議員立法(発議)で議会に上程したこと。(*議員発議そのものは初めてではありません。) <<<<<質問の内容>>>>>> 議会での審議は、本会議場と総務委員会の審議を合わせると、約12時間を費やしました。議員発議の議案なので、質問する側も答える側も議員となり、同じ趣旨の質問が繰り返えされたこともありますが、議員同士のやりとりで12時間をかけたことになります。 質問の中で、この条例に反対する理由と結びつく主な項目のいくつかを要約すると、次のようになります。 1.大事な条例とするなら、条例づくりの過程で当局(市長)との調整ができていない。 2.伊東市ではこの条例あるいは自治に関する市民の意識が十分ではなく、こうした条例が成立する状況にない。 3.大事な条例とするなら、条例づくりの過程で、地域政策研究会以外の議員が入っていない。 4.住民参画を掲げる条例なのに、条例づくりの過程で市民の参画が足りない。 5.自治の何たるかが明確にされていない。 審議の中では、質問とは別に、地域政策研究会以外の議員の皆さんから、「自治の基本を定める条例が必要であることは理解する」旨の発言と「議員発議に費やした努力は評価する」旨の発言が相次ぎました。 <<<<<<答弁の内容>>>>> 上記の質問には明快に答弁しましたが、以下に若干の解説(かっこ内)をつけて答弁を要約します。 1.条例づくりの過程の中で当局と調整することを否定するものではないが、この条例については特段 に当局との調整はしていない。 (当局との合意が必要であるというなら、議員発議をしようとする意味がなくなり、手続きとして当局と の調整が必要であるというなら、議員発議は色々な政治状況の中でなされてくるものであるから、そういいう手続きをするかしないかはそのときの状況判断によるものであり、絶対必要な条件ではない。) 2.伊東市民の意識は高まってきていると理解している。市民の意識に100%ということはなく、常に向上途中である。 3.他の議員に内緒にしていた訳ではなく、条例づくりは早い時期からオープンにやってきた。当然他の議員も知っている。条例づくりを一緒にやることを拒むものではない。 (こういう条例の必要性を認めるなら、他の議員が条例づくりに加わっているかどうかは、むしろ他の議員の側の問題ではないだろうか。) 4.100%十分な市民の参画というのはないのであって、常に参画を向上させて行かなくてはならない。そういう意味で十分であったとは考えていない。しかし、条例づくりの当初から市民が自発的に関わったことは事実であり、そういう状況をつくり出すこともしてきている。決して不十分であったとは考えていない。 (どういう状況が十分な市民の参画と判断できるのか、難しい問題であり、示唆にとむ質問である。) 5.伊東市の自治のあり方を明確にしている。条文に書かれてある通りであり、それで判断していただきたい。 (自治に関する視点、とらえ方がどこまで一致し、それを了解するかどうかということになる。どこで妥協するか、しないかということになるのだが、議員の判断に委ねることになる。質問者が条例づくりに加わっていたなら、また違う表現になっていたかもしれないし、妥協、調整ができず、議員発議ができなかったかもしれない。) <<<<<今後>>>>>> 今回の発議は残念な結果となりましたが、指摘された条文の内容における問題点や条例づくりにおける問題点を真摯に整理分析し、十分咀嚼(そしゃく)しつつ、これまで以上に広範な市民の皆さんや議員の皆さんの理解を得る工夫をしていきます。 幸い、今回は反対に回った議員の皆さんの多くは、こうした自治の基本を定める条例の必要性には理解を示していますので、今後の見通しは開けていると考えています。 引き続き「住民参画」を基調とした「伊東市自治基本条例」制定に向けて、これまで以上に精力的に奮闘して参ります。 否決となった議員発議による「伊東市自治基本条例」の経過について、色々な問題点、論点等を整理分析して、一つの論考にまとめる作業をはじめています。少し時間がかかるかもしれませんが、地域の自治を考え行動する全国の地方都市の市民の皆さんや議員の皆さんの参考にしていただければありがたいと考えています。 |
ご意見お待ちします 私は、地域政策研究会を立ち上げた頃、一緒に取り組んできたので考え方は、まったく同じなのですが否決しました。 私の考えは反対討論で理解できたのでしょうか?本音をいえないところもあり、理解しにくいかも。 *賛成・反対に関わらず、ご意見、ご感想をお寄せいただければありがたいです。 |