二重反転プロペラ実験機


 スタント機用二 重反転プロペ ラユニットを作成し飛行実験を行いました。
 二 重反転プロペ ラを使えば、プロペラが回転することによって発生するいろい ろな影響がなくなり、すばらしいス タント機になるのではないかと考えたからです。
 ギアボックスに改良を加えながら50回以上のフライトをこなし、また、競技会にも 2回参加して、ある程度の評価が得られたので、ここにまとめて見ました。
 なお、現時点での結論は 「メリットは明らかにあるが、現状ではデメリットである パワーロスを解消することができないため、ス タント機に使用することは難しい」です。
 今後はスケール機 に活用しようかと考えています。

 ※プロペラの回転による影響について

メリット

  ・コー スが曲がらない。
 二重反転プロペラの効果そのものです。プロペラ後流、反動トルクなどの影響がほとん どないため、垂直上昇やループなどで曲がったりコースがずれたりしま せん。45度上昇やロール後の垂直上昇ではっきりした違いがでます。
すわりが良い
 予想外のメリットでした。2枚のプロペラジャイロ効果で外乱が抑えられるため、明らかに機体のす わりが良くなります。
 横風などでヨー方向に力が掛かると、通常のプ ロペラではジャ イロ効果で回転方向に90度ずれたピッチ方向に作用し、機体の浮き沈みにつな がりますが、二重反転では互いに反対方向の力となり打消し合うため影響がでません。

デメリット

・パワーロスが大きい
 プ ロペラそのものの効率は上がる筈ですが、ギアボックスがそれを上回るパワーロスを生じさせてるようです。パワー不足なのでどうしてもスロースタン トに なりますが、風が強い場合は厳しいです。
 これを解決できる見込みがないためテストを終了することにしました。
・重量増加
 ギアボック分は確実に重くなります。現状ではプロペラなども含めて約400g の増加です。コストを無視してケースを超々ジュラルミンの削りだしにすると か、カーボンで作るとかすれば100g程度は軽くできる可能性はありますが・・・
・コストが掛かる
 量産されれば別ですが、数個レベルでは結構な値段になります。
・メンテナンスが大変
 現状では信頼性が完全に確保されてないため、定期的なチェックやベアリングの交換が必要になります。
・適当なサイズの逆ピッチプロペラが市販されていない
 とりあえず桜材から削り出して作っていますが、かなり手間が掛かる上に、ちょっとした事で折れるので、着陸には非常に気を使います。

その他

・独特の音
 地上ではギアボックスの騒音(ちょっとうるさい)、飛行中はプ ロペラの干渉音で、まるで多発機が飛んでいるようです。スケール機にはよいで しょうがF3だとちょっと違 和感があります。
ブレーキがよく効く反面加速が悪い
 プ ロペラの組み合わせにもよりますが、基本的に推力特性がピーキーになるため、特に離陸やス ナップロール直後の機速が落ちた状態からの加速が悪いよ うで す。
 ブ レーキに関してはプ ロペラの面積が増えるのでよく効きます。
 スロットルコントロールに慣れを必要としますが、巧くコントロールすればかなり等速での演技が可能です。
 加速の悪さを除くと4サイクルエンジン機の様なフィーリングになります。
プ ロペラの選定が難しい
 現在まで、正転(前)プ ロペラ7サイズ、逆転プ ロペラ4サイズを試しています(ただし、全ての組み合わせを試しているわけではありません)。基本的に後 ろのプ ロペラピッチを前より大きくする必要があり、また、後流をストレートにする ためには後ろのプ ロペラの直径を小さくする必要があることが分かりまし た。ちなみに最終では前が16×14、後が14×16.5でした。



テスト中のギアボックス


機体への搭載状態


テスト機(シャロンCP)

 シャロンの主翼を利用し、胴体のみ二重反転ユニットが搭載できるように、新たに作り直しています。

 全長:1980mm 全幅:1995mm
 エンジン:OS140RX−FI
 プロポ:フタバ1024ZA