VOL. 20 
 1年戦争
 第4話 【交渉】

 思わぬ理由から手術が延期になって入院生活が長引く事が確定してから3日程経過してから『損保日本:仮名』の代理店から携帯電話に連絡が入りました。ちなみに現在は三方原聖隷病院には指定された場所を除いて携帯電話の病室への持ち込みはOKとなっていますが当時は禁止であった為、こっそりでの持込でした。内容は代理店の担当者が実際に事故現場に足を運んで現場状況を確認してきたところ、かなりの割合で『引手倉君:仮名』に過失責任を問えるとの事。そして『引手倉君』加入の『石原軍団損保:仮名』の担当者が女性(損保日本 浜松支店内では評判が悪いらしい)となった為、交渉がもつれる可能性があるとの事で山内さん(仮名)という男性に交代してもらったとの事でした。そして山内氏が事故発生から1週間も経過しているにもかかわらず一度も事故現場に状況を確認しに行くこと無く事故処理が放置されているとの事です。この為、私からも催促の電話をしてもらいたいとの事でした。この電話を受けて、私の中で「ブチッ!」と切れるものを感じたので私の意志として過失割合を10:0で臨む事を伝え電話を切ります。

 その後、直ぐに『石原軍団損保・浜松支店』の山内氏に電話連絡を入れます。
大将:「私、先週 細江町で御社契約の引手倉さんとの事故で負傷した大将(勿論、この時は本名です)といいますが、山内さんはいますか?」
    「事故から1週間が経過しましたが保険の処理の進捗はどんな具合ですか?」
山内氏:「申し訳ありません。大将様からの連絡をお待ちしていましたので何も進めておりません」。
大将:「連絡って、あなた・・・、私は入院しているんですよ。連絡待ちなら直接、病院に来て必要な手続きや話しをしにくれば良いじゃないですか?」
山内氏:「・・・」
大将:「私の加入する保険会社から聞いたのですが、あなたは事故発生から1週間が経過しても1度も事故現場を訪れていないそうじゃないですか!」
山内氏:「今日は雨が降っていますので・・・」
大将:「雨って今日だけでしょうがッ!!。雨だろうが何だろうが、直ぐに事故現場に行ってきてください!」
    「その様子では損傷したバイクも見に行っていないんじゃないですか?」
    「この際、ハッキリ言っておきますが私は御社との交渉で一切、妥協や譲歩する気はありませんから!そのつもりで!」
山内氏:「大将様ご契約の損保日本の代理店の方から、大将様が過失割合を10:0と主張しているとお伺いしましたので、代理店様ではなく大将様との交渉を行うべく退院するまで待っていました。」

この時、変な事を言っているな?と思いましたがこの時、私は重大な事実を知らなかったのです。その重大な事実は後日、『損保日本』の代理店から聞かされました。それは、
  
過失割合【10:0(相手に100%の過失責任)】を主張する場合、自身の契約する保険会社は代理交渉をしてくれない
という事です。(保険の適用申請をした事がある方には当たり前の事かもしれませんが・・・)
自身が加入している保険会社が関与してもらえる条件は、自身が過失を1%でも認めて保険の適用を申請する場合に限るというものです。運転免許を取得してから18年が経過しましたが、そんな事は全く知りませんでした。事務手続き等の処理や加害者側との交渉は全て保険会社同志がやってくれると思っていたのです。
この為、私が過失割合を10:0を主張する以上、【個人 対 大企業】の対決の図式しか道は残されないのでした。
 事故車両を預けておいたバイク店には、私がRVF/RC45購入後、全てのメンテナンス及びカスタマイズ記録、その領収書をファイルしたノートを渡しておいたので、事故当時に装着されていた部品を選択してもらい、被害見積もりを出してもらいました。
  
カスタマイズパーツ代として 約 \2500,000
  RVF/RC45の中古市場相場価格として \1,500,000
  計 \4,000,000

を被害金額として請求してもらいました。

 そして退院後、『石原軍団損保』から提示された金額は \200,000 というものでした。しかも電話のみでの連絡です。当然、金額が一桁間違えていないかと問い合わせましたが、間違いないとの事です。余りにも実態を反映していない金額と電話連絡のみという礼を失した対応に今後の交渉に不安を覚えたのでした。


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