VOL. 29
● Dead or Alive 〜今、話そう〜
第2話 【誤算】
ボクは信号待ちの間、先頭から5台目位の位置に停車していましたが、前方の信号が青になったので車列が動き出しました。先頭のドライバーがコンビニを過ぎ去ろうかというタイミングで急に思いついた様にウインカーを出してコンビニへ入った事で後続の車は加速状態だったにも関わらず全車、急ブレーキを余儀なくされました。当然、ボクの前を走行していた車も急ブレーキ状態です。そして運の悪い事に前走車は日産エルグランド・ハイウェイスターでリヤウインドウ下の一番目立つ場所に設置されている赤いレンズはテールランプ(前照灯をオンにした時のみ点灯)で、ストップランプは下側のリヤバンパーの両端に縦型で設置されている機能分割タイプです。バイクの目線からはこの縦型のストップランプは視界に入りにくく、また一番目立つ場所にあり最大面積のテールランプがブレーキ時に点灯しないなんて思ってもみなかったので(トヨタ車では考えられないデザイン至上主義のアンチユニバーサルデザインだと思います)、全然ブレーキしている事に気付きませんでした。VTR-SP1の強大なトルクを利用して加速をしている最中にみるみるエルグランドが迫ってきて、前々走車のブレーキランプが視界に入ったその時に、ようやくエルグランドのハイマウントストップランプが点灯している事に気付きました。そして今までブレーキランプだと思って見ていた赤いレンズの下方で赤々と光り輝いているブレーキランプを。
「危ない!」と思ってとっさにフロントブレーキを掛けましたがフロントブレーキシステムをブレンボに換装してからというもの、リヤブレーキはあまり使わないクセがついていたので思い切りジャックナイフ状態となりフロントが切れ込んで転倒してしまいました。エルグランドにぶつかるわけにはいかないのでハンドルにしがみ付き、片側2車線のセンターライン付近に空きスペースを見つけたのでバイクと共にそのスペースに逃げ込みました。エルグランドとの接触も免れそうだったのでハンドルから手を離したところ、VTR-SP1は無残にも道路を数メートル滑走していきました。ボクは転倒時に肩口から落ちましたがプロテクター付きのHYOD製ウィンタージャケット+パンツを着用していたおかげで、センターライン上を1回転しただけで停止する事ができました。そして起き上った瞬間、両脚に大きな衝撃を感じたのでした。
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デザイン優先のエルグランド |