VOL. 29
● Dead or Alive 〜今、話そう〜
第3話 【衝撃】
ボクの転倒により後続車も一斉に停止する事になりましたが、信号待ちからの加速開始直後だった事で左車線の後続車もすぐに停止してくれました。しかしホッとしたのも束の間、センターライン上に転がって止まったボクの両脚が右側車線に投げ出す姿勢となった事で、右側車線の僅か後方から加速中の古タイヤを満載した20トン大型トラックの前輪と後輪の間に運悪く両脚が入ってしまいました。そして目の前を丸く黒い大きな物体が通り過ぎた瞬間、グシャ!バキッ!という今まで経験した事のない強い衝撃に2回襲われ体ごと左に回転させられました。たちまち両脚の感覚がなくなり、走り去っていくトラックの後ろ姿を見て左側2軸のリヤタイヤの下敷きになった事を理解しました。2車線のセンターライン付近で倒れこむボクに驚いて両車線の後方を走行していたドライバーは急ブレーキをし、ボクを避けて停止、または徐行して通り過ぎていきます。後から聞いた話によるとトラックはボクを轢いた事に気付かなかったそうですが、たまたまミラーで後方を見た時にコンビニ前で事故らしき状況が発生していた事を確認したので自分が誰かを轢いたのではないか?と思って停止したとの事でした。
尋常ではない程の脂汗が吹き出し、両脚を轢かれた衝撃とショックで吐き気と悪寒が襲ってきました。上半身は動けましたが下半身は全く動きません。とりあえず両脚が切断されずに身体に付いている事は確認できましたが、トラックに轢かれた事で両脚はグシャグシャになってもう使い物にならないと覚悟しました。後続のドライバーの方々が救出作業をしてくれ、コンビニの駐車場に数人がかりで担ぎ出してくれました。コンビニの店員さんが救急車を呼んでくれて救急隊の到着を待ちますが、県境であり到着までに相当の時間が掛かりました。待っている間、意識のあるうちに周りに方々に協力をお願いしました。
デイバックの中に免許証があったので救急隊への連絡の際に身元を連絡してもらい、運よく後方からライダーも来ていたので路上で転がっているVTR-SP1を引き起こしてもらい、コンビニで預かってもらいました。バイクは見た目にはあまりダメージがなくひと安心。ホンダドリーム浜松店に連絡して事故を起こした事とバイクの回収を依頼しましたが、県外は引き取りサービス外となってしまうとの事で近隣のホンダドリーム店に依頼するとの事でしたが、ちょうどドリーム浜松店の常連であり、Force
V4 owners club仲間でもあるマー坊さんがお店にいたので、彼が回収してくれる事になりました。
通報から約15分程経過し、ようやく救急隊が到着しました。救急隊による事故状況の聞き取り調査が行われる一方でボクの救命処置が行われました。掛かり付けの病院があるかと聞かれたので、浜松市の聖隷三方原病院を希望しましたが、管轄外である事と事故現場からは遠すぎるとの事であえなく却下されました。ドクターヘリを呼べば対応可能との事でしたが、そんな時間的な余裕はないとの判断で搬送先は救急隊に任せる事にしました。
数年前にも交通事故(この時はもらい事故)で救急車に乗りましたが、今回もストレッチャーに乗せられ頸椎や腰椎部を固定されて事故発生から30分以上経過してようやく病院へ向かったのでした。
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こういうタイプの20tonトラックの下敷きに | 右側を損傷したSP1 |