VOL. 29 
 Dead or Alive  〜今、話そう〜

第6話  【現実】

 迎えて1月19日。手術の日がやってきました。しかし緊張と痛みから朝から発熱があり全身をアイシングして解熱させます。数年前に左肘の脱臼骨折で手術をした時にも緊張で発熱し(チキンハートですから…)、この時は手術延期となった事から今回も延期かな?と思ったら強行するとの事で手術室に入るギリギリまでアイシングは続きました。今回の手術は半身麻酔で行われ手術中は個人持ちの携帯ミュージックプレイヤーを持ち込めるとの事だったのでMDウォークマンを携えて手術室へ。腰椎部に麻酔を注射され暫くすると下半身の感覚が無くなっていくのが分かりました。腹部にカーテンがかけられ手術の様子が見えないように遮蔽されました。手術の予定時間は3時間程の予定でしたが、大腿骨部の状態が思ったよりもひどかったらしく予定より大幅に時間が延びました。当然、麻酔も切れてくる訳で手術中に猛烈に痛み感じるようになったので看護師に「両脚が猛烈に痛くって触っているのが判るんだけど…」と申告するとアルコールで触感の確認をしたところ、冷たさを感じる事が出来たので麻酔が切れているという事で別のドクターが急遽、追加の麻酔をしにやってきました。胴周り程に腫れ上がった大腿骨部の肉を切り開き、15cm程の金属プレートをグリグリと押し込んでボルトで骨と固定するのですが、骨の位置がずれると脚が曲がってしまうので接合は慎重に行われました。骨折していない左脚大腿骨部のレントゲンをモニターに写し左右対称になるように見比べながら固定していきました。大腿骨部の処置が終わると急いで右足首部の固定処置が行われます。こちらはものの30分程で終了しました。最後に挫傷した左足の甲部の肉を手繰り寄せて縫合していきました。麻酔と発熱、疲労とで意識が朦朧としていましたが、聴いていたMDのリピートが2巡目だった事は覚えています。
 手術後の2日間は個室に入り術後の看病が行われました。翌日には食事も出されましたが、麻酔の副作用で全く食べられず無理して食べても嘔吐してしまう状態が3日間続きました。流石にこれには参ってしまったので点滴から麻酔の解毒薬を入れてもらい、一般病棟に戻ったところでようやく果物が食べられるようになりました。手術前に右脚に突き刺さっていた錘が無くなった代わりに塞栓という爪先部に血液が停滞してしまう症状を防ぐためにベットと足の裏の間に段ボールを詰め、常に足首が直角状態を保つようにされました。起きている時も寝ている時もこの状態を維持するというのは結構、すねの部分の筋肉を圧迫するのです。爪先を延ばしたり、ダラリと脱力したいのにできません。
 数日後、レントゲンで右脚部の状態を見ることができました。下の4枚の写真は豊橋の病院を退院後、リハビリで通院する事になった浜松の整形外科で撮影したものですが、入院中に見たものとほぼ同じ状態でで脚の腫れ具合に差があります。事故直後は両脚共に胴回り位の太さに腫れあがり、レントゲンにはもはや改造人間と言っても差し支えのない金属プレート2枚、ボルト12本が映っていました。これを見た時には、「流石に事故前と同じような日常生活はできないかも・・・」と現実を思い知らされました。

   
 大腿骨部(プレート1枚、ボルト7本)  右脚首部(プレート1枚、ボルト5本)

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