闇の用尺師(やみのようじゃくし)3


<お断り>
今迄生きて来て、各方面より影響を受けた作品の影響を多分に受けております。
お許し頂けるならお読みくださいませ。



 古来税制は、穀物を納める「租」、労働を対価とする「庸」、そして織物を納める「調」があった。その中の「調」を
管理、指導する部署があった。
 聖徳太子の時代、諜報を司る「使能備」というものが存在したと言われるが、その源流も末裔も諸説ある。それとは全く別に、
神事、仏事、加持祈祷、から護摩調伏、大葬、寿ぎに至るまで、それに要する布の量の算出と調達課程や原料の生産、運搬、備蓄
管理する天皇直轄の組織があった。
 彼らには、市井の瑣末な事から国家の大事、又は宗教上の秘事秘伝に関するあらゆる知識がもとめられた。
諸国を歩き、その地域に溶け込み、深く静かに活動する。次第にその任務は、多岐に亘るようになり、為政者の命を受け
諜報・暗殺をも司る公事方と本来の勝手方になったのは、当然の流れである。
 江戸中期以降は、この組織は事実上その役目が少なくなり、明治新政府の樹立以降にいたっては、組織はほぼ解体されていた。
ただ、地方においては、これら一子相伝の技は受け継がれたが、直系の惣領以外は、家族にすら明かさないこともあった。


-用尺師-
 天皇の命にて動いてきた一門。故に、脅かす者が在るとすれば排除する。
歴代の武家政権が、皇室を排除出来なかったのは、用尺師が裏で動いたという説もある。
それぞれの「役」にそれぞれの協力者がいて「川上」と呼ばれ、協力者同志の別の繋がりを持つ。
そして、協力者は、拘りの無い「役」とは繋がりを持たないという複雑な組織体系を持つ。

<布役>
 織物生産管理の家柄。
 端に鋼線を折り込んで切る「鬼爪布」、青酸を塗りこんだ「青凱布」等様々な織物を使う。
 かつては、「羅門衆」と呼ばれる生産者の一門が協力者(川上)として大勢いたが、現在は数名
 を残すのみとなっている。

<糸役>
 各地を渡り歩き原料調達、連絡等のつなぎをする家柄。かつては、禁裏警護もした。
 数々のトラップを仕込んだり、諜報、侵入を行ったりする。
 鍔衣と呼ばれる者達が、協力者(川上)として日本各地にいた。

(糸役四門)
 主に諜報を司る女性の集団。
  花:絵草子の累  :(変装し何処にでも入りこむ。)コスプレ趣味の女性。
  星:花笠の蓮    :(物真似名人。))女性が継げず、今世は男が務めている。よく女性と間違われる。
  雪:葛篭の京    :(怪力の女性。)劇団員の裏方として全国をまわっている。
  月:二十音の鈴   :(多言語を操り・暗号解読・ハッキングを得意とする。)代変わりしている。電気屋。

<針役>
 用具運搬、備蓄管理をする家柄。用尺師の中では人数も多い。
 針で経絡をつき、外傷を見せずに暗殺したり、仕込み刀等を使った独特の剣術を使う。。
 かつては、指物師の親方が、多くの職人を抱え、協力者(川上)として、仕込み武器の製造を請け負っていた。
 さらにその針役の中でも「八卦」と呼ばれる精鋭は、陽動から隠密に渡る凄腕の者達がいた。

(針役八卦)
 針役の中のトップクラスの腕前
  乾 天  龍神の辰    :(禁裏刀術という特殊な刀法の使い手。)刃物屋。
  兌 沢  川蜘蛛の仁   :(釣り竿に仕組んだ針を使う。)釣り具屋。
  離 火  鬼火の玲     :(爆破の専門。)代変りしている。解体屋。
  震 雷  早贄のユウ   :(針での刺殺をする。)現在そば屋。
  巽 風  日時計の亮介 :腕時計に仕込んだ針で、白昼堂々と刺殺をする。古物商。
  坎 水  さざ波の銀平  :(ワイヤーの先に剣の着いた武器をつかう。)水道屋。
  艮 山  百味の宗治   :(薬種調合、毒見・毒殺。)大男。ラーメン屋。
  坤 地  影縫いの綾   :(よくしなる鋼線を使う。)刃物屋。



-風水師-

<地の音(ちのね)>
 用尺師と表立っての対立はしてないが、常に時の政権を影で操ろうとする風水師の一門。
宮中に文官としても多く潜り込んでいた。現在もその系統は、多く残っていて、行政官に紛れている。

-鬼道師-
<水鏡(みずかがみ)>
 対価をもって動く呪詛術師の集団。その源流は、卑弥呼に雇われていた祭祀の集団とも。
「地の音」とは、かなり深い確執がある。呪詛を専門に行う「鬼道寮」と、諸々の事の
実行部隊の「隠行寮」とがある。

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<今までのあらすじ>

 天皇家直轄の組織であった「用尺師」の末裔で、「座枯らし」の二つ名をもっていた布山測瑠は、或る日かつて
世話になった伝説の用尺師「千手のお珠」の曾孫に会う。曾孫の「編夢」に託された荷物の謎が分からないまま、
昔の仲間たちとの再会をはたす。一方でかつて緊張関係にあった組織と事を構えることになる。戦いの準備を
する為、自分の使う武器となる「鬼爪布」を作っていた織元を訪ね、旧交を温める。





<お礼とお詫び>

ここ迄お読み頂き、有難うございます。
ノリノリで書きなぐってまいりましたが、構想が大きくなりすぎて、まとまらないので、ちょっと小休止します。
何より、秘密をばらしすぎると、私も危ないかもしれません。
何時の日か又再開致します。よろしくお願い致します。