タイトル(ボロは着てても心は錦(にしき)どんな花より綺麗だぜ)
この話はあくまでも小説なので架空のお話ですのでよろしくお願いします


私の友達、佐々木君は脳性小児マヒと言う重い障害を持っている同じ障害を持っていて今まで家族と暮らしていたが急に四十を超えて一人暮らしを始めようとしているのだが、なんの目的があるのだろう自分の家があるのに四十を超えて急に
アパートに一人暮らしは不思議だ
自立心とか自分の周りの人に感謝する心を養うなら学生の頃、養護学校の高等部で一緒に入った寮の生活で遠の昔に学んでいるはずだ、どうも、おかしい
私が遠くから見る限り(かぎり)では佐々木君は佐々木君の周りの人達、障害者作業所の施設スタッフとか介助者に一人暮らしをするのなら早い方がいいとか言って佐々木君をはやし立てられて一人暮らしに追い込まれているみたいなので
私は佐々木君に本当の気持ちはどうなんだと聞いてみたが、あいつはやっぱり本心から自分の将来の対策と親元を離れ自分の自由を勝ち取りたくて一人暮らしを早く実行したいと考えていました、
そして、もう一つの目的は親の目の黒いうちに早く一人暮らし
をして、しっかりとした社会常識を早く身に付け親を安心させてやりたかったと語っていた、そこまで深く親思いの気持ちと自分の将来と自由を考えていて、やぱり
あいつは違う、とても立派な決断だなと思いました。
私はと言えば将来は成り行きに任せです、しかし、もしかしたら私の将来は兄夫婦と住むかもしれないし、あるいは奇跡がおきて、受産所ゆうゆう舎のお給料でも構わないから私の所に来たいと言う女の人が現れるかもしれない、
それにとても恥ずかしい話だが私は佐々木君みたく 
そこまで深く親を思っていなかったので、もう 少し私はこのままの状態を続けて行こうと思っている、本当を言うと自分はどうなるか解らない未来とか将来の事を今、考えても、しょうがないと思っています 
いい加減かもしれないが、私と佐々木君の違いは置かれている立場や性格の違いなのかもしれません。
それから、一人暮らしを始めた佐々木君から一ヶ月ぐらい経ったら電話があってサビルバーグ監督の宇宙物の映画の新作のDVDが手に入れたので直ぐに見に来いと言うのである、
佐々木君の趣味は映画鑑賞で映像マニアで映画のDVDと、あまりグロくないエロDVDなら300本ぐらい集め持っている、友達思いの奴なので私の好きな宇宙物の映画のDVDが手に入れると、いの一番に連絡をくれる、とても有り難い友達です。

さっそく、その日の夕方に家庭用車椅子から外出用カートに乗り移り、一階の佐々木君のアパートのドアの前まで行き
「巴川です介助をお願いします」
とドアに向かって大きな声で言い佐々木君の介助者を呼んだ、そして部屋に入り部屋の予備の車椅子を借りて座って
「よっ」
と言って近寄ってみると
なんか佐々木君、今日はおかしい何時もだと私が近寄ってなんか言うと右手首を上げてくれたり笑顔をしてくれたりするが今日はない
下をむき、俯くばかりだったのでキッチンで夕飯のしたくをしているヘルパーに
「どうしたのですか」
ヘルパーは振り向き
「なんか午前中ここら辺にオープンしたドラッグストアーに電動車椅子で一人で行って、いやな思いをしたみたいですよ、本人から、よく聞いてみてやってください」
ヘルパーの言う通りに午前中の出来事を本人に聞いてみると私も言語障害者なのだが佐々木君も少し強めの言語障害で何時もは、わかりにくい言葉だったけど今日はよほどのショックな事があったのだろう自分の体を揺らし車椅子から落ちそうになりながら一生懸命、喋ってくれたので、いつもよりはっきりした言葉だったので話しが良く判った


佐々木君の話しをまとめると、こうだった彼は午前中に近くに新しくオープンした、ドラックストアーのキラナインと言う、お店に電動車椅子で行ったら店の人から
じろじろ見られ警戒されて、
その上、彼は両手が麻痺してて自分では商品をとれなかったので店員に商品名を言って買うしかなかったがタマゴと
,うがい薬を買おうとしても言語障害があったので
うがい薬の商品名のマウスフレッシュが、息を使う言葉が言えなくて、マウツウレチになってしまい店員に言葉が伝わらなく結局は商品を買えずに帰って来たようだった
それを聞き終え
「そりゃ大変だったな、まあな世の中、お年寄りや障害者に理解のある優しいヘルパーみたいな人ばかりではないから、それはしょうがない事だよ」
と言いながら
ふと、子供の頃、自分の親父が障害を持った私を使った人を試す父のいたずらを思い出してしまった。

2

うちの親父の障害を持った 私をつかった、人を試すいたずらは私が小学生から中学生になろうとする春休みの出来事でした、
子供ながら
「親父って、こんな、やり方で人を見ているのか」
と今でも感心させられる思い出です
あれはたしか、午前中で我が家の2階の六畳の洋間と三畳の畳み部屋がある自分の部屋で、開け放す大きな窓からは、この季節の息吹きの池の回りの満開の桜が見える頃でした、部屋の隅にはイーゼルに立てかけてある描きかけの絵があり、その前で油絵の道具を広げている時です
「龍之介!龍之介!」
と2階の自分の部屋の真下の駐車場から親父が自慢のドイツ車を洗いながら私を呼ぶ声が聞こえた、親父はドイツのユーガンと言う自動車会社のアールシリーズの2000と2500と2800を毎年のように新タイプが出ると
「この車が一番 乗りやすくて疲れない」
とか言って
仕事も順調で大金持ちの親父は意図も簡単に高価な自動車を買うのである, 
この車は今では時々、街に走っている車だが当時は、この輸入車アールは浜松に1台と清水の我が家に3台、静岡県に計4台非常に珍しい自動車でした田舎者の親父がなぜ、こんな高価な自動車を買えるようになったかというと
親父は働きの悪い父を持ち(つまり私のおじいちゃん)小さい頃からお金がなくて大変、苦労をして大人になり戦争から帰り結婚もして、このまま貧乏暮らしは悔しいので、世の中の金と言う金は皆 集めてみようと、その位の思いで若い頃一大決意で商売をやり始めたようだった
まずはお茶屋、次はみそ、醤油屋をやり、次は今の吉野家みたいな、どんぶり屋、お寿司屋、旅館、有りとあらゆる商売をやったがどれも、これもパッとしない、もっと利潤(りじゅん)のいい お金の回りの早い商売はない物かと考え、水商売のキャバレーを始めた
利潤がよかったのか、当時、清水では有名なキャバレーとなり続けて静岡にも二軒もキャバレーを出した経済的に豊かになった親父は、こんなセリフを時々言う
「子供の頃、俺は貧乏をしたのだけど今は自分の力だけで金持ちになったのだから贅沢をするのは当然だろ誰にも文句は言わせない、神様もきっとゆるしてくれる」
この輸入車を買う時も、親父の好きな船の軍艦をイメージした、この家を立てる時も同じようなセリフを誰ともない人に言うのである。
「龍之介、早く来い」
又、下の駐車場から親父の声がした
呼ばれたので私は描いてはいなかったが油絵の筆を触ってしまったので洗面所で手をしっかり洗い家の一階まで降り駐車場の出入り口で靴をはいて、親父の所に行き
「オットウ(私は子供の頃、言語障害の為にお父さんとは言えず、お父さんの事をオットウと呼んでいた
)来ました」
自動車にワックスをかけながら親父はこちらを向き
 「障害を抱えているから大変かもしれないが、もうちょっと早く来い2階から下まで15分もかかってるな、せめて5分にしろ日が暮れるから」
親父はのんびりとした性格の自分が気にくわなかったらしく事あるごとに行動はもっと早くしなさいみたいな事を言われる

でも軍人あがりの親父は何か私の兄達が悪い事をすれば兄達を日本刀を持ち兄達を追いかけ回し酷く怒り付けるが,
障害を持っている私には注意はするが絶対に怒りはしなかった、それが子供頃、淋しかった事を覚えている
 「わかりました5分にします、解れば良し あのな龍之介、お昼を食べたら
 静岡でこの車の会社のお店が新しくできたようだから、行きたければ連れていってやるぞ、どうする?」
 私は目を見開き急に笑顔になり
「もちろん行くよ、へーその車のお店は今まで東京しか無かったじゃないか、オットウは、その車を買う時は東京まで行っていたじゃないか、すごいじゃん静岡でもお店ができるなんて、凄いな、へー行くよ!行くよ!」
親父は車を洗う事を止め私の方を向き
 「この前の日曜日に、そのお店のオープニングパーティーがあって本当はそれに招待されていたけど仕事で行けなかったんだ、だけどな俺はユーガン自動車のお得意さんだから子供と

行くと絶対にジュースとケーキは出てくるから、それじぁ、お昼を食べてからさっそく行ってみるとするかな」
親父は車のボディーを又、拭き初めながら
 「ああ、それから お昼はお前の好きなカンタッキーフライドチキンを買っといてやったぞ好きなんだろ、俺がこの車で静岡の街を走っていたら、このフライドチキンのお店の前でお前とお前の友達の石橋君と塩沢君と島田君とで左手に学生カバンを持ち右手でフライドチキンを持って歩きながら美味しそうに食べていたのを見かけたので買って来てやったぞ、お前等、随分 障害者なのに なかなか起用な歩き方ができるんだな」
 それを言われて私は苦笑いをして
「見られてしまったか!まずいな」
それを言うと親父は車の窓ガラスに映る私を見て大笑いをしていました
3
「やっぱ、このフライドチキンはおいしいな」
私はキッチンのテーブルの上のお皿にフライドチキンの骨を置き親父の顔を見て
「美味しかったです、ごちそうさまでした」
テーブルの小型テレビを見ていた親父も自分の方を向き
「それは良かった、そのにしてもカンタッキーおじさんは凄い物だ
鶏肉だけで世界を相手に商売している
俺もこんな商売をやりたいもんだお前も得意な物や好む物を探して
商売をやってみな、お父さんが手伝ってやるから
でも、これは龍之介がもう少し大きくなってからの話しなんだけどさ」
親父はいつでも、どこでも商売を考えている、そして冷蔵庫の上の壁時計をちらっと見て
「俺は自分の部屋でもう、しばらく休むぞ だから龍之介は出掛ける支度をしてください、なるべく早くな、俺が呼んだら、すぐに行かれる状態にしとけ」
と言って親父はキッチンから自分の部屋に戻った
 4
母からも今、キッチンを出る時 自分に
「お父さんと出掛けるのだから少し気のきいた物を着てきなさい、あっ、そうだわ、この前、買ってあげた白いカーディガンを着てきなさい、だけどジーパンは駄目よ、あれは基本的に言えば作業服だから止めなさい」
私は母に「はい、わかったよ、ちゃんとして行くよ」
母に言って自分の部屋に戻り母の言う通り白いカーディガンを箪笥から出し衣紋賭けに吊し壁に賭け、この服に合う紺色のズボン、ネイビーブルーのシャツ、白の靴下を箪笥、クローゼットの中から選んだ
そして、それらを着てみてから大きな鏡の前で自分の姿を見て
「おっ!いいじゃん!いいじゃん!芸能人みたいじゃん」と一人で
はしゃいでいました
調度、父が来て部屋のドアを開けて
「龍之介、行くぞ」
「はい、少し待っててハンカチとティッシュをポケットに入れるから」
父は私の姿を見て
「お前、馬鹿いい格好だな、お金持ちのどら息子みたいだぞ」
「お母さんがオットウと、でかけるから気の利いた格好をしてきなさいと言われたのでね」親父は眉間に皺をよせて
「その格好は龍之介らしくない、さっきの絵の具のベタベタについたジーパンと紺のトレーナーに変えなさい」
「見ろ、お父さんなんか、オールシーズン、この格好だぞ」
そう、うちの親父はどう言う理由なのか解らないが、毎日、同じ格好をしている半袖のベージュのポロシャツに、ちどり模様の茶色のジャケットと下はグレーのズボンと靴はラクリーノと言う一見、革靴だけど本当はビニールでできており、それもかかとを潰して(つぶして)歩いている、着ているポロシャツは気に入ったのが二枚ぐらいしかなく毎日、入れ違いに洗って着ているので衿と袖は切れてはいないがボロボロよれよれになっているのだが買い変えようとはしなく、これが父さんは一番、気合いが入るんだ、これが俺の戦闘服(せんとうふく)だと言って 同じ服ばかりを着ている、深い理由は知らないが、とにかく面白い人である
親父は部屋の入り口で立っていたが

「龍之介」 
と言いながら一歩、部屋に入って
「お前の今の格好は龍之介らしくない 、あのな俺の好きな昔の偉い(えらい)ある和尚が[らしくあれ]と言う、ひらがらの書(しょ)を残している 、この言葉は人間は何時でも何処でも自分らしい態度や自分らしい言葉を使って正直に生きる、そうする事によって自分の気持ちに余裕が生まれる気持ちに余裕があれば自分の物の考え方にも行動にも自ず(あのず)から豊かさが現れる
そして自然と実りある人生を作る事がてきる
と言っている
龍之介はまだ若いから、なんでも似合うけどやっぱ!龍之介は絵の具が付いたジーパンと紺色のトレーナーが一番、お前らしいと父さんはそう思うぞ」
2013.9/05土曜日次回につづく
まだ、子供だった私はとても理(り)にかなった、今までに聞いた事もない心を解いた(といた)、親父からの説教だったから、目を丸くして驚いて(おどろいて)素直(すなお)に言う事をきいてしまい まるで冷たい雨で濡れてしまい汚れてしまった洋服を着変えるように素早く今、着た洋服を脱ぎ   さっきまで着ていた、絵の具の付いたジーパンとトレーナーを着た、それを見ると親父はニコッと笑顔になり
  「龍之介 俺は先に自動車に乗っているから早く来いよ」
 後で冷静になって考えるとこんな調子で親父は会社とか、お店に行き従業員を動かしているんだなと思い
            なるほどなと関心してしまった記憶(きおく)があります            そして私は箪笥の横に欠けて,あった、いつも擁護学校に来て行く 白と黒のスタジアムジャンパーを着てポケットにティッシュとハンカチを入れて駐車場に向かいました      さっき、親父から早くしろとか言われたので自分の部屋から下の駐車場まで早足で急いで行った       親父はもう、運転席に着いていた    私は自動車の助手席に乗り込み、自動車は4ドアー、ドアを閉める、音は     「バタン」でも「ガチャン」でもない、この自動車の閉まる音は「どん」でした鈍い音が響き車内の空気がドッと動く   これに毎回、自分は この自動車の高級感を感じる自動車の大きさは当時(1972年頃)の日本車のセドリック、ブルーバードよりも、やや大きく当時(1972年頃)のアメ車のムスタング、キャデラックよりは小さいボディの色は紺色に近いブルー、塗りたくったワックスがピカピカに光っていたがなかなか品がある色で決して派手ではないが街を走ると凄く目立ちました

2013.
12/07土曜日次回につづく
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隣りの親父を見て
「早かったでしょ」
「まあな!それで、来る時、お母さんはお前の格好を見られたか」
「行ってきますとキッチンで洗い物をしてたから後ろ姿に声をかけただけだよ」
「なんで」
「俺のさっきの説教がいくら正しくたって母さんは自分の子供が外に汚れた格好で出かけるのは嫌だと思って、何も言われなかったら、いいんだ」
自動車は駐車場を出て街中に進んだ私は自動車に乗るのが小さい頃から好きだったらしく母の言う事には、お前が赤帽の時、泣き止まない、お前を自動車に乗せると必ず泣き止むと良く言われていました。私は10分ぐらい鼻を車窓の硝子の戸にこすりつけ外の景色を黙って見ていたら
親父が話しかけてきた
「龍之介!なんで俺がわざわざ、高い金を出してドイツ車に乗っているか、わかるか?」
私は外を見ながら
「自動車が趣味だから、性能がいいからこの車がカッコイイから運転してて体が疲れないから、後はええとええと!(私は子供だった頃、障害の為、態度と言葉使い方が実年齢より幼かった)」    
親父はこちらをちらっと向き
「龍之介もっと、ちゃんとすわって前方を向いて俺の話しを聞きなさい」
私はすぐに座り直した
親父もハンドルを軽く握り直して、話し始めた
「確かにドイツの自動車だからボディの鉄板は厚いから打つかっても壊れにくい、性能もいい車内も外車だから大きく作ってあり余裕があるので疲れにくい
だから、この自動車は乗っていて非常に楽である」
2014.2/19水曜日
「しかし、それもそうだけど理由はもう一つ有る、それは今や俺は中小企業の社長だ、静岡にキャバレーを二軒と清水にキャバレーと旅館をやり計5軒、従業員が200〜220人も居る、、その中で家庭持ちが3分の2も居る、その家庭の中で龍之介みたいに小学校や中学校に通っている子供達や、そのお母さん、お爺さん、お婆さんの事を思うと、やたらな自動車に乗り事故にも合って俺が死んで会社が倒産でもなったら、その家のお父さんは職(しょく)を失い、その家族は路頭(ろとう)に迷う、そんな事を考えてると俺はかってに死なれないんだ俺には責任がある、よって、お値段は高くても、ぶつかっても壊れにくい性能の良いドイツ車に乗っているんだ、それにな!」
親父は急にハンドルを左に きり他の走っている、普通の日本車に近づけると相手の自動車は私達の自動車から離れようとする
まるで僕達の自動車を裂けるように
「龍之介、今のを見たか」
この自動車にみんな近寄りたくないみたいじゃん」
親父はニヤリとして
「そうだ、いまどき、こんな清水の田舎街の道を必要以上に目立つ派手な自動車に乗っている人はろくな仕事をしていなくて、ろくな人間ではないと思われていて世間のみなさんは極力、こんな自動車には近寄りたくないみたいで、それに世間の常識で  こんな輸入車に下手に近寄ってボディに少しでもキズでも付けてみな何百万と言
う金は取られてしまうと思っているみたいだ、俺はそんな事はしないつもりだが、お蔭様で皆さん、そうゆう白い目を持っているので、俺の自動車には他の自動車は近寄って来ず、自分で事故など起こさない限り、あまり事故の心配は無いのだ龍之介、そんな訳でお父さんはわさわざ高い、お金を出して この自動車に乗っているのだけど龍之介はどう、思う」
私は前方をむきながら
「僕は本当はオトウの趣味でこの自動車がかっこよくて好きで乗っていて少し贅沢(ぜいたく)な趣味だなと思っていたよ」

親父は私を又ちらっと見て
「そうか」
また、前方を向き笑みを浮かべ
「この自動車が好きか、それは20パーセントぐらいかな、あと80パーセントは仕事の為、従業員の為だ
でも、日本全体がもっと豊かになった頃この自動車ユーガンは当たり前のように日本の道を走っているだろう俺は予言する、これは絶対だ、この自動車はそのくらい、良い自動車だから」
また、私は窓の外を見た他の自動車が混み合って来た
「龍之介、そろそろ静岡駅の南側だから黄色に黒でUとGのデザインのユーガン自動車のマークの看板が道の右側に見えてくる頃だ」
私は道の600メートルぐらい先を見て。
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「本当だユーガン自動車の黄色に黒のマークだ建物も、すごいね、」
建物は二階建てのショールームになっており建物の前の部分が外からでも見えるように一階も二階も全部、ガラス張りで
建物には大きな入り口が有り前には自動車が五〜六台置ける来客用の駐車場は、割合と自動車の営業所にしては小さかったが当時 大きなガラス張りの壁のビルは珍しかったので人の目を引いたお店だった

「龍之介!俺はここから七〜八十メートル行った、友達がやっている、松本ガレージと言う立体駐車場にこの自動車をとめる」私は目を丸くして
「立体駐車場って、それ、なに」
「ビルが駐車場になっていてエレベーターで二階とか三階に自動車を上げるらしい
俺の友達が苦肉のさくだ、わずかな土地であまり人を使わずにできる商売はないかと考えた訳だ、まあ、ぼろ儲けはできないが、駅の近くだから長く続けられる良い商売になるんじゃないのか」
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親父は松本ガレージの入り口の大きな丸いターンテーブルような鉄板の床に自動車を止め、
「龍之介、着いたぞ、ここから、さっきのユーガン自動車のビルまで歩くぞ」
「えっ!この自動車はどうするの、上まで行かないの」
立体駐車場は4階立てだった
「いいんだ、ここは係りの人に自動車のキーをあずけるだけで後はエレベーターが上まで運んでくれるから、龍之介は立体駐車場って本当に知らないだな」
「だってオレ子供だよ自動車の免許も自動車ももってないもん駐車場なんて利用する訳ないじゃん」
親父は大きく笑って
「そうか、そうか、龍之介は情報が早いから知っているかと思ったんだよ」
こうやって私たちが話してると
駐車場の奥の引き戸が開いて男が出てきたガソリンスタンドの人のようなツナギを着て頭には青いキャップをかぶり少し左足がビッコを弾き歩いてきた
親父が私に
「あいつが私の仕事仲間の松本君だ、なかなか若いくせに商売熱心な人で夜は人を使って清水の私のお店の近くで居酒屋を経営している、なかなかの男だ、障害があろうが無かろうが、お前も働き物の大人にならなきゃいけない、まあ男は仕事しかないからな」


自動車の窓を開けて親父は松本さんに
「やあ!相変わらず手堅く稼いでいるみたいでいいですね!」
松本さんは私たちの自動車の窓に近寄り、かぶっていたキャップを取り頭をペこりと下げまた私達を見て
「巴川社長じゃないですか、いつも、お世話になっています
いらしゃいませ、」
「何時もハツラツとした態度でいいね松本くん俺はあなたの足の障害にも負けず、一端(いっぱし)に商売をやっている姿に尊敬するよ」
親父は私を見て
今日はうちの一番、下のばか息子とそこの駅の近くの車屋に行こうと思ってな
こいつも、あなたと同じように障害を受けている
さあ龍之介、
早く降りろよ、歩くぞ!のんびりしてるな!」
「はい、はい、降ります、降ります」と言いながらドアを開けようとしたら松本さんが私の仕種(しぐさ)を見て私の手を取ってくれて自動車から降ろしてくれながら「坊ちゃんの障害は脳性だね私はポリオと言う障害だよ」
「知ってます!知ってます、私の学校のクラスにも居ますよ、ポリオは障害の中で一番、軽い障害ですね」
松本さんは苦笑して
「坊ちゃん、そうでも、ないんですよ、足は細いしすぐ、つまづいてしまうしね!けっこう大変ですよ、坊ちゃんこそ 脳性マヒなのに歩けるし言語障害は有るみたいだけど喋れるからいい方ではないですか」
「お蔭様で今のところは障害はあるけど思うように動ける、だけど歳をとったら、どうなるか解りませんけどね」
「それじぁ私と同じだ私も、もともと障害で細い足が歳をとってカルシュウムとかの栄養の吸収率(きゅうしゅうりつ)が悪くなり足の骨が折れやすくなり立てなくなったり歩けなくなったりするかもしれない
坊ちゃんと同じですよ
また親父は私の頭に手をやり
「また松本さんに話し相手になってもらい、いろいろ勉強させてもらいなさい、でも今日は夕方から大事な会議があるからさっきの自動車屋に早く行くぞ
さあ歩きますよ」と言われ
私達は松本ガレージを出て駅の前の道になる大通りの歩道を出た
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私は何時も親父から、のんびりしてるな!早くしろとか言われるので、親父より5〜6メートル先を歩いた
これなら文句は言われないだろうと振り向くと大柄な親父のよれよれの服と靴のかかとをふんずばいた歩く姿を見て私は大笑いをしてしまった
「おーいオトウ、自分の高級車から離れると本当に貧乏人みたいで、いくら体格が良くても凄く、みすぼらしいや、かっこわりー」
親父もおお笑いをして
「そりゃあそうさ俺は吉田の山奥から清水の港町に出てきた何も知らない田舎者だよ、何かを勘違いしているんではないか?たまたま商売が当たっただけなんだ
有るのは強い体と強い心だけだよ、何を言っているだか!お前こそ、えのぐをいっぱいについた洋服を着て、みすぼらしい、それにお前は障害を持っているから余計にみすぼらしいぞ、龍之介もかっこわりー」
「だってオトウの言う通りにしただけだよ、でも自分らしい物を身につけたら心も体も楽だよ」
「何時も、お前は良い洋服やアクセサリーで自分をごまかし自分をよく見せようとしているから疲れるんだ、それを教えようと思って、もっともらしい理屈を言って龍之介に
何時も家で着ている、えのぐ、べとべとの洋服を着せたんだ
でも、おしゃれもとっても必要な時もある
自分をごまかす事が大事だという時もあるし自分らしく正直に生きた方が良い時もある世の中、難しいんだ」

みすぼらしい親父と私は
こんな、取り留めも無い話しをしていたら、いつの間に、ユーガン自動車の入り口の5〜6階ある階段の前まで来てしまいました、入り口の自動ドアは階段の上だった
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「ほら龍之介、手を貸しなさい」
私は親父と階段を一つずつ上り自動ドアの入り口が開いたので店に入った、私と親父は立ち止まり店内を見回した
「おとう、割合とでっかいね!」
「まあな、でも外国のお店にしては小さいような感じがする、でもセンスのいいお店だ、さすがドイツの自動車会社だ」右の広いフロアに私達が今、乗って来た、同じ車種のアールシリーズのアール2300と今、売り出し中のアールターボが真っ白い床に置いてあったスタッフの紺のスーツを着た男女が車の前に立って接客(せっきゃく)をしていた

そして中央には螺旋階段があり、その横には小さなカウンターがあった

きっと、接客の為にコーヒーとか紅茶をいれる、カウンターなんだろうスタッフの女の子二人がカウンターの中で忙しく働いた
左のフロアには客との商談の為の机と椅子が並べてあった
私達はそこへは座らず入り口のすぐ横にも
椅子と机があり親父はそこにすわった
「龍之介も座りなさい」
机ごしの椅子を指を刺し
私はそこに座り
「おとう、店員さん、こないね!」
「いいんだ別に店員を見に来た訳ではない、私達は、お店と自動車を見に来たんだ」
親父は来客用の机の上の新聞を取り
「俺はここで新聞を読んでいるから、お前はあそこの自動車が2台並んで置いてあるフロアの所のスタッフ男女に新しい自動車のアールターボのパンフレットをもらって来てくれないか」
「取りに行けと言うのなら取りに行くけど、普通は自動車のパンフレットとかカタログとかは、ここの店員がいらっしゃいませと言って持って来ないのかな」
親父は急にとぼけ顔になりフロアのスタッフ達を眺め

「龍之介、ここにはそんな店員は居なそうだぞ」
「やっぱ、いい服を着てくれば良かったな」
「まあな!」
気のない返事をした
「このままだと、外国の高級車を買えるような人ではなく、ただのみずぼらしい親子にしか見てくれないんだよ」
「いいだ、そんな事より自動車のパンフレットを持ってきてくれ」
私は立ち上がり
「それじぁ持ってくるかな」
「できたら、新しい自動車の座席の乗り心地を調べてきてくれ、」
「僕の言葉がわかるかなボク、言語障害だよ
親父はおっかない顔になり
「そんな事は昔から解っているよ、お前の言葉はゆっくり話せば解るんだ、後は相手の心しだいよ、聞く耳を持つか持たないかの問題だ、とっとと行ってパンフレットをもらって来い、頑張ってこい」
私はまずは自動車にのせてもらおうと思いフロアの2台並ぶ自動車の前の男女に言語障害の言葉で、
まるでカエルの泣き声のような声で
「こんにちは」

と言って近寄ってみたが返事がなかったので今度は少し大きな声で言ってみた、
「こんにちは」

男のスタッフが私を見たが他のお客に自動車の説明しかけてるようで又、客に話をし始めたていた
女のスタッフは
私を無視するかのように
「窓ガラスを拭かなくちゃ、ええとウエス、ウエス」
と自動車のボディの上の布切れをとり自動車の窓ガラスを拭いていた



私は女性スタッフを覗き込むようにして
「すいません 自動車の座席に試乗させてもらっていいですか」
声をかけたら
眉間(みけん)にシワを寄せ
私を見たが、すぐに反対方向の男性スタッフに顔を向け
「永井君どうにかして」
男を見ると客との商談を途中で止めお辞儀してツカツカと怖い顔をして自分の方に向かって歩いて来る
(えっ!どうにかしてと言うのは自分のことか!)と初めて気付き、なんでだ私はただ自動車の乗り心地を試(ため )そうとして自動車に他のお客と同じように乗せてもらいたかっただけなのに男のスタッフは
まるで私が悪い事でもしたように私の手を無理やり取り
「さあ、お父さんの所へ行こう、話しは、それからに、しましょう」
この男は私の言語障害の言葉を聞こうとしない男だなと思い、こんな時には相手の言いなりになるしかないんだ
私は男に親父の所に連れていかれ
男は物凄く不愉快(ふゆかい)な
顔をして私の親父に



「すいません、この子のお父さんですか」
親父は読んでいた新聞から目をそらし老眼鏡を外し
「ええっ!そうですよ、この子がなにかしましたか新しいタイプの自動車のパンフレットをもらいに行っただけですよ」
「でも、困りますよ、いきなり来て訳の解らない言葉を大きな声で話されては他のお客様の迷惑になります、これから夕方になり益々お客様が来るから、今日は帰って、また日を改めて来て下さった方がいいと思いますがどうでしょうか?」
日頃、うちの親父は作り笑顔をしない人だったけど
この時だけは、わざとらしい笑顔を作り
「 すいません、ここの空調が
あまりにも気持ちいいので、もう少し、居てもいいですか?」
男スタッフは嫌な顔をしながら
「えーと、それじゃ、他のお客様の御迷惑にならなければいくらでも居てく構いませんけどね、私は他のお客様のお相手で忙しいですから、向こうのフロアの行っています
親父は歩き出そうとした、男スタッフの胸のネームプレートに目をやり
「永井さん、永井さん、あそこのフロアで永井さんと御一緒に働いてらしゃる女性はなんと言うお名前ですか」
男スタッフは振り向き
「馬場さんですか、なんですか」
「うちの馬鹿息子が御迷惑をかけたとあやまといてください」
「解りました
言っておきます」




男スタッフは早足で元に戻った
私はまた、親父の横の椅子に座り

親父の顔を見て
「どうして俺の事を馬鹿息子、馬鹿息子と言うの」
親父はニヤリとして 
「安心しろ謙譲の美徳だ俺の息子は世界1偉い、気にする事はない、それより、あそこのフロアの中央の奥のカウンターの中の女性スタッフにお前はコーヒー俺は紅茶がいい、だから紅茶とコーヒーを頼んできてくれないか」
私は、顔をいがめ
「えっ、またなの」
「大丈夫だ、お前の言葉は誰でも解る、ただ相手の心しだいだけさ」
(「まあ、それはそうなんだけさ、おとうの頼みだから行ってきますよ」
私はまた椅子から立ち上がり
広いフロアの中央のカウンターに向かった、カウンターの中には二人の女性スタッフが後ろ向きで何かを水洗いをしていました
私は子供だったのでカウンターの台の高さが高かったのでカウンターの中を私は背伸びをして除き覗き込むように
「すいません、すいません」


右側の女性がすぐに反応してくれた、洗い物をしてたので振り向きはしなかったが顔だけを横に向け
「はい、はい、わかったわ、今、終わるから」

「お姉さん、僕の言葉がわかるんだ」
当たり前じゃない解るわよ言語障害の言葉は慣れれば解るわよ!」
「なんで、お姉さんが言語障害の言葉に慣れてるの?」


女性スタッフは洗い物を止め側にあったタオルで濡れた手を拭きながら体をこちらにむけて

「私はね!ボランティア仲間5〜6人で毎週水曜日の夜に駅の近くの福祉会館で障害者向けの相談室を開いて障害者の人の日常の悩み事を聞いているのよ、障害者の人がいっぱい来てくれるわよ、車椅子の人や、耳の聞こえ無い人や目の見えない人や、その中であなたみたいに脳性麻痺で言語障害の人も2〜3人くるわ、だから、あなたの言葉がとっても解るのよ言語障害の人の言葉って聞き慣れないと解らないのよね」

「姉ちゃん凄い僕を見ただけで僕の障害名を解るなんてオレ、こんな所で障害者に理解のある人が居るなんて想ってもみなかったから、オレとっても嬉しい」
もう一人の横の女性スタッフが
「へー恵津子そんな偉い事をやっているのね!

まるで歩く道徳ね、何も知らなかったわ。恵津子はやっぱり、私の友達よ」
恵津子という女性スタッフは顔を赤らめ
「まあね、なにか人の為に何かをやりたかたっだけよ
祐子も、この子の言語障害の言葉を聞いてやってね」
「もちろんよ」
と言いながら女性スタッフは私を眺めながら
でも。少しここのお店にふさわしくない服装ね、向こうの親父さんもそうだわ、みすぼろらしい格好をしてるわ」
と言い、スタッフ祐子は微笑みながら
「ごめんね言いにくい事をズケズケ言って、私、そうゆう性格なの!まあ、いいわお客様は、お客様だからいいわ、いいの!いいの!それでなんの用事なの」
「親父は紅茶、僕にはコーヒーを持ってきてくれますか?」
女性スタッフ祐子は微笑み
「お客様だから平等に、はい持って行きますよ」
私も女性スタッフと同じように微笑み
「新発売の自動車のアールターボは買わせていただきますから」


今度は女性スタッフ二人で顔を見合わせて、
祐子というスタッフが
「あーら、そんな事を言っていいの!」
祐子はフロアのアールターボを見て
「あの自動車、高いのよ、あれ一台で家が建てられるのよ、大丈夫?」
「間違えました僕ではなく私の親父が買います」
「まあーどっちでも同じ事じゃ無いかしら」
女性スタッフ祐子はフロアの端っこの椅子に腰掛けている親父を振り向き
「あそこのみすぼらしい、お父さんだって困ってますよ」
「そんな事を言われても僕の親父はユーガン自動車が好きなので、家にユーガン自動車なら三台もあります」
もう一人の女性スタッフ恵津子が
「私は障害者は好きだけど嘘つきな人は嫌いですよ」
私は真剣な顔になり
「僕は本当の事を言ってますよ」
コースターに乗せた、いれたてのコーヒーと紅茶を恵津子と私を見て
「そんな事はどうだっていいわ!お客様は神様、かみさま、平等、びょうどう、龍之介君コーヒーと紅茶が出来たわよ、おまけにチョコクッキーを付けてやったから、あそこのみすぼらしい、お父さんの所に行きましょう、あっ!又みすぼらしいと言ちゃって、ゴメンね」
「今さら遅いよ」
「いくら気を付けていても、このはっきりした性格は治らないわ」
と言いながら親父の所に行った

「おとう、コーヒーと紅茶ができたよ それから、この姉ちゃんがおとうの事をみずぼらしいって」
祐子は笑みを浮かべながら、慌てて私の顔を見て
「内緒だったのに」
親父も顔、いっばいに笑みを浮かべながら
「みんな聴こえましたよ、まあ、悪い事ではない、みずぼらしい物はみずぼらしいんだ、正直で大変けっこう」
祐子は調子にのった口調で私に
「あら、あなたのお父さんって ずいぶん話の分かる方だわ」
と言いながら
持って来た紅茶とコーヒーをテーブルに置くと親父に
「いらしゃいませ フロアー喫茶室担当の大幡です よろしくおねがいします 私、正直なんです、だから他人に対して余分な
、事ばかり言って困っています.すいません」
笑みは絶やさず親父は紅茶を手に持ちながら
「いいじぁないですか、誰とでも心をゆるしあえる感じがして、とても好感が持てる、それより うちの小僧に普通に喋ってくれて、有り難う、いやいや、とても良い感じだ、
うちの小僧は言語障害が有るので他人とあまり話さないんだ
イヤーとても有り難いな」
後ろから、もう一人の女性スタッフ恵津子がチョコクッキーを皿に乗せ持って来てくれた
龍之介君 先日のオープニングパーティーの時に出した、クッキーよ」
とクッキーをテーブルに置き、もう、肩一方の手に新車アールターボのパンフレットを持って来てその手を上げ
「龍之介君、さっき、これが欲しかったじゃない」
私はニコリとして
「そうそう」
恵津子はさっきのフロアの無愛想な男女を振り向き
「あの人達は障害者が嫌いとゆう訳でもないけど、龍之介君の言葉が解らなかっただけよ勘弁してやってね!」
14.5/21
とっても嫌な感じだったよ、でも、姉ちゃんが良い人だから許してやろうかな」
「そう言っていただくと、とっても有り難いわ」
と言いながら僕に新車のパンフレットを渡すと
「さあ、私達は失礼するわ、これから夕方にかけて、お客様がいっぱい来るわ、頑張らなくちゃ、龍之介君、お父さんとゆっくりクッキーを食べてね」
「えっ!姉ちゃん達、もう行ちゃうのか、もう少し話しをしたかったな」
親父はその、大きな顔を女性スタッフに向け
「私も、もう少し話しをしたかった
君たちは、とっても良い感じのお嬢さんたちだから
私は感心している、でも、障害者の子供とみずぼらしい父親では新車アールターボは絶対に買いそうもないからね、いつまでも私達と付き合ってはいられない」
なんでも言ってしまう女性スタッフ裕子が
「そうです!すいません私達も
、もう、少し話したかったわ、でもビジネス、ビジネス、自動車を買ってくれないお客様の側にいつまでも居る訳にはいかないわ」
親父は苦笑いをする
「そうですね、今から夕方にかけてお客様が来ると思います、どうぞお稼ぎ下さい」
恵津子と裕子は私に手をふりながらニコニコして
「龍之介くん、またね」
「龍之介くん、じぁね!」
14,8/15
父も女性スタッフ達に笑顔で見送った
そして私に振り向き
、「龍之介、お前 今度は窓際のソファーの所で中年の夫婦のお客さんに紺のスーツで男のスタッフ二人が商談しているだろ、その二人にな」
親父はそこまで言うと
さっきの新車アールターボのパンフレットのエンジン部分を紹介されたベージを開き
「あった、あった新しい奴の、このターボエンジンって何だと聞いて来い」
「俺も解らなかったなんだターボエンジン、どうゆうものかね、いいよ、聞いて来るよ」
椅子に座り治して
「おっ!行って来い、俺は障害者だ、解りやすく説明してくれとか、なんとか言ってもいいからな!胸を張って行って来い、このパンフレットも持って行け」
私はパンフレットを手に取り、立ち上がり

「おとう、それじゃ 行ってくるぞ」
その時 私は変な正義感がわいてきた事を覚えている
麻痺した、足で
窓際のソファに座りながら向かい合い中年の夫婦に商談している 紺のスーツの男二人のに近づき言語障害の声で
「すいません、」
と言うと商談していた二人の男の右側の男が振り向き
私のつま先から頭まで見て
「あっ、そうか」とつぶやき一人で納得して
「はい、なんでしょうか」
私はパンフレットを取り出し


「新しい自動車のアールターボのエンジン部分を説明してくれませんか」
男スタッフは言語障害の言葉が また解らなかったらしく
キョトンとした眼で
「はっ〜?」
とか言って もう一人の男スタッフに目をやり、「どうしましょう」と言い
男スタッフは私をチラッと見て


「自動車の運転免許を持ってない障害者と子供はお断りとお伝えください」
それを聞いて私は怒りであまり興奮したので脳性麻痺のアテトーゼと言う障害が出てしまい言葉が出てきませんでした、本当は 「出入り口の机の所に運転免許を持った私の親父が居るよ」と言いたかったのですけど言葉が出てこず
もう一人の男スタッフが私に振り向き
「フロア主任が免許を持っていない子供と障害者はお断りだそうです」私はしょうがないからので+
.
3
、渾身の力を自分の目に込めて男スタッフを睨みつけ
「人を姿、かたちで見やがって」
とつぶやき
でも それが相手に伝わっているか、どうかは解りませんが
とりあえず、その時は睨みつける行為で自分の気持ちのはらしました

私は親父の前に行き、
「おとう、ヤッパ、僕の言葉が言語障害で通じなかったよ」
親父は私に向き
「いや、龍之介の言語障害は聞こうと思えば解る言語障害だ、気にしなくていい」
と言われたので子供の頃 私は親父の言葉は絶対だったから安心をした
そしてフロアを見ると階段から紺の背広を着た男の人5〜6人が真ん中の恰幅(かっぷく)のよい五十代なか場の 男の人を中心に話しながらザワザワしながら
降りてきた、その恰幅の良い男がヨレヨレ服の私の親父に気がつくと急に営業スマイルになり、親父の所にを駆け寄りながら「(社長!社長!巴川社長じぁないですか、ようこそ、新しい静岡支店ユーガン輸入車専門ユーガン自動車店にようこそ、社長、来てるのなら一言、誰かに言ってくれれば、良かったのに
「わはは!少し時間ができたので寄ってみたんだ」
親父の、高笑い、これが出ると、これから先は自分のベースだというサインだった
「噂では東京支店の杉山課長が静岡支店の店長になると聞いていたけど本当だったんだハハハ良かった」
「皆さんのお陰で店長を引き受けさせていただきました」
店長は一礼を親父に深くして、こちらを見て
「龍之介くんですね、やあやあ!社長から何時も聞いていますよ」
と言い拍手を求めてきた、私は子供の頃から見知らぬ人と握手するのは嫌いだったが親父の知り合いだから拒否する訳にはいかないと
思い、麻痺した手を出してやった
かっぷくの良い男は私の手を力強く握り握手したまま話しを続けた
「龍之介くんは絵が大変、うまいとお父様から聞いていますよ」
オダテに弱い私はニヤニヤしながら、頭をかき、
「僕は小学校一年から中学二年まで通信簿の図工、美術の点は4か5でした」
その時フロアのスタッフ達は握手している私達の光景に注目した
「凄いじゃないですか、私どもの会社でも少し奮発して版画家の池田満寿夫の版画を買いましたよ、奥の部屋にあるので、後でご案内す
るので見ていただけられば幸いですよ」
私は目を大きく見開き
「知ってる、知ってる去年、版画家なのに芥川賞を取って今、ニューヨークで活躍中の版画家ですね」
男は私の手を離し
「ヤッパ龍之介君は芸術家ですね、良く知ってますね!」
男は顔だけをフロアの方を向け大きく手を上げ親指と人差し指で指を鳴らし、
『「オーイ」と言い
さっきのフロアのカウンターで働く女性スタッフの二人の一人を呼んだ
「はい、ただいま」親父の所に私と一緒にコーヒーと紅茶を運んだ恵津子が小走りで来た
「店長、なんでしょう」
「昨日のオープンニングパーティーの時にケーキ屋に特別に久能の石垣イチゴで作らせたショートケーキを龍之介君にお出しして、それ
から社長に肝臓がお悪いようだから紅茶よりトマトジュースをお出してやってくださいトマトジュースがなかったら、近くのスーパーで買って
きてください・」
「かしこまりました」
恵津子はお辞儀を深くした

店長は戻ろうとした恵津子に
「えっちゃん、それからフロアのスタッフをみんな、呼んでください
東京で大変お世話になった、巴川社長を紹介したい」
「わかりました はい、ただいま皆を呼んできます、あたしだけケーキ・トマトジュースを用意するので遅れます」
「ああ解っている」
恵津子はもう一度深くお辞儀をして戻った

店長命令だったのでスタッフ達は店長の座って居る椅子の後ろにすぐに集まって並んだ、カウンターで働く裕子が店長の耳もとで
「使いに行った恵津子さん以外のスタッフは全員集まりました」
とささやいた
「ああ」
店長は椅子から立って
スタッフ達を見て
「忙しいところ集まってもらい、ありがとう、実は
私が東京店でいつも大変お世話になっていた巴川社長が来てくれて居る社長は我社のリーガン自動車のアールシリーズが出る度に私から新車を買っていただいている私にとっては
とても有難いお客様だ、皆さんも一人ずつ ご挨拶してください」
親父は高笑いを何時ものようにして話し始めた
「なーに私は吉田の貧乏農家の家に生まれた田舎育ちなので、皆さんのようにセンスも教養も何もありませんが、何故か、ここの車がとても気にいっている前にはリーガン自動車を買う時はわざわざ東京まで行き 店長の杉山君から このリーガン自動車のアールシリーズを買わせていただいている
でも、リーガン自動車の静岡店ができ非常に近くなり喜んでいる
今日は杉山店長に大変、失礼かと思ったが新しいリーガン自動車静岡店には どんなスタッフがいるのだろうとみんなが構えないように技と障害を持った三男を連れて連絡無しで来ましたので、今日は皆さんの事が良く解りました差別ない接客ありがとうございました。
え〜と、」
そこまで親父が言うと店長は話をごまかすように
「さあ、さあ早く一人ずつ出てきて社長さんに名刺をお渡して.
ご挨拶して」
まず最初に新車アールが二台 置いてあるフロアに居た、女性スタッフが出てきて親父の机の前で屈み
「先ほどは大変 失礼しました、なにも知らなかったものですから」
女性スタッフはジャケットのポケットから自分の名刺を出し親父の前の机に置き
「馬場明子と申します」」
親父は冷たく
 「嗚呼!ありがとう」

それから五人のスタッフ達は親父
の前に一人ずつ出て名刺を渡した、同じように親父は無愛想にお礼を言っていました
恵津子がスーパーから戻りイチゴのショートケーキとトマトジュースをトレイに乗せ、持ってきて
親父の前の紅茶とトマトジュースと取り替え
そしてケーキを私の目の前に出してくれた
「はい、隆之介君、お食べください」
店長は親父に
「久能のイチゴがショートケーキに合うかどうかは解りませんがオープニングの記念にな
るかと思い久能の石垣イチゴで作らせました」
親父は私を見て私の頭をさわり
「こいつの今日の目的はこれなんですよ!なっ!隆之介!」
私は親父にニカッと笑い満足げな顔を向けた
親父はポケットからダイヤモンドが文字盤にいっぱい 付いたた、腕時計を取り出し
「おっ!もう、こんな時間だ、隆之介それを食べちゃたら帰るぞ夕方から店の会議なんだ」
私は
「えっ!僕はこの奥の特別室の池田満寿夫の版画を見ようと思っていたのに」
「ダメダメ帰るぞ、会議なんだ、又、連れてきてやるから」と言われ私は食べる速度を早めた
そのうちスタッフの一人の永井と言う男が
「巴川社長、お簿茶まが足がお悪いようだから、お車をお持ちしましょうか」
「嗚呼!そうしてくれるか、助かるよ松本ガレージだ巴川と言えば解る」と言い、又ポケットから車のキー取り出し渡した
2016/10
さっきスーパーから戻ってきた恵津子が親父のところに近寄り
「巴川社長、喫茶室の柴田恵津子です、私の名刺も受け取ってください、よろしくお願いします」
深くお辞儀して自分の名刺を差し出した
親父は無愛想な顔は止め、ニコニコしながら
「あっ!そうだ!そうだ!君の名刺を貰わないとバチが当たりそ
9
「巴川社長、お車をお持ちしました」
「、ありがとう、早くて、いいじゃないか!仕事の鉄則は早く正しく美しくだ、誉めとくよ」
「ありがとうございます」
と長井スタッフは親父に深くお辞儀をした
私は長井スタッフはさっきと大分、違う態度に唖然としてコーヒーとショートケーキを食べながら見ていました
親父はゆっくりベースのコーヒーとショートケーキを食べている私に
「まだか!龍之介」
私は後 ひとかけらのケーキとカップに半分ぐらい残っていたコーヒーを一気に食べ飲みほして
「とてもおいしかったです、どうもありがとうございました。」
私は久能の石垣いちごを使ったショートケーキが大変おいしかったのでばか丁寧に杉山店長に お礼を言って
私は立ち上がり、
「おとう、行けるよ」
「はい、行こう行こう、あっ!そうだ少し待ってろ」
と言い、さっきの6人のスタッフからもらった、名刺を机の上に並べて
「えーと喫茶室の柴田恵津子君と大畑裕子君」
二人は呼ばれて親父の近くに立った
裕子が親父に
「巴川社長、何かご用ですか」
「私はあなた達の接客態度がとても気に入った、来週の
日曜日辺りに新車アールターボのパンフレットを持ってきて 新車の説明に二人で来てほしい」
二人は顔を見合せたが、なんでも ハッキリ言う裕子が
「あのう、私たち喫茶室を担当なので自動車の事は解り」」
そこまで裕子が言うと二人の後ろか店長が出てきて
「裕子君、もう、いいですよ、二人戻りなさい」
店長は親父に
「承知しました この二人に新車リーガンアールターボの事を教え込み社長の自宅に行かせます」
親父はニヤリと笑い
「そうです私は客です、客の言う事は聞いてもらわなくては、それでは来週の日曜日は、この息子と待ってま
のでよろしくお願いします」
親父も立ち上がり私の手を持ち
「さあ、行きましょう、これから私は会議だ会議だ」
10
お店の出入り口のの自動ドアをくぐって階段の所まで来る
と見送るつもりなのか 杉山店長、喫茶室の裕子、恵津子、そしてフロアースタッフの永井という男が私たちの後ろから着いてきた
態度を180度、変えた長井スタッフが私たちに近寄り私の親父と手をつないでいた反対側の左手を取り私に「たまにはお父様ではなく階段を私と降りましょうか」
親父は私を見て
「それじゃ、そうしてもらいなさい、なんだったら長井君に階段の下までおんぶしてもらえれば良いじゃないか」
私は目を見開き親父を見上げて笑顔で
「そうする、そうする」
親父はスタッフの永井を見て
「すまないが、コイツをおんぶしてもら得るかな」
「はい、喜んで」
と言いネイビーのスーツを上着を脱ぎ恵津子にあづけて、しゃがみこみ私に背を向け
「さあ隆之介君、、私の背中に乗ってください私は学生時代サッカーと空手を同時にやっていました、体は鍛えてあります、だから力は人一倍、有ります、さあ、お乗りください」
私は
「本当かな」と
呟きながら永井の背中にのった、本当に背中はガッチリしていて本当に鍛えてある体だった
20-6-04

永井はスッと立ち上がり「何処か、痛いとこ有りますか」

「はい、大丈夫ですよ痛い所はありません」

 

 

永井は20段ぐらいある、階段を下まで見下ろし「いいですか一挙に降りますよ、しっかり私に捕まってください、でも痛い所や苦しい所があれば言ってください、すぐ止まりますから」

私も階段を見下ろし

「やっぱり怖いので、ゆっくり行ってください、一挙に行くより ゆっくり行った方が大変かと思うけど お願いします」

 

「隆之介君は割合いと軽いのでゆっくり行っても早く行っても同じです、大丈夫です、何度も言うようだけど体は鍛えてあります、はい、かしこまりました、ゆっくり行きます」

永井は私を「ヨイショ」と背負い直して一歩ずつ階段を降り始めた

私は永井スタッフの背中の中で、さっきの冷たい態度から親切な態度に代わってしまったので、
「さっきの自分と今の自分は何がどう誓うの、さっきの永井さんの目は物凄く怖くて物凄く冷たかったよ」

永井は階段を降りながら

「店長の申し送りの言葉が足りなくて、すいません、でした、巴川社長とその越し俗様だと、解っていれば、あんな冷たい態度は取らなかった、大変申し訳ありませんでした。」

私は相手が大人で謝ってきたので、子供だった私はなにを言ったらいいか解らなく黙っていたらいつの間にか階段の一番、下に降りていて

「はい、着きましたよ隆之介君」と言いながら

私を背中から下ろして

下の駐車場にはディーガル社の車が他のお客さんの車と親父の車と5台、並んでいた

永井は私の左手を取り
「一番はずれの5台目の お車がお父様のお車です鍵は預かっています、先にのっていましょう」

私はそれより駐車場のはずれに缶ジュースの自動販売機が気になった、それに 冷たくされた悔しさが残っていたので

「永井さん あそこの自動販売機の桃のネクターがほしいな」

私は永井が断れないと思い わざと言ってみた永井は案の定

「かしこまりました」 と一言 言い

自動販売機の前に立ち、素早く紺のジャケットのポケットから財布を出し

缶ジュースを買っていた

そして私に近より「はいネクターです、これ甘くて酸っぱくて、とても、美味しいですよね私も好きです」

私は、フッと自分はとても嫌な人間だと思ったが冷たくされた悔しさが増大していたので(まあーいいか)と思った

「隆之介君、お父様がもう、自動車の側まで来ていますよ」

自動車の方を見ると親父はポケットから自動車のキーを出そうとしていた

私はあわてて自動車まで走って親父の横に立った親父は自動車のドアを開け

「さあ龍之介、早く乗れ会議に遅れる」

私は素早く助手席に乗った窓の外を見ると今、階段を降りて来た階段の前に店長と永井それから、喫茶室の女性二人、柴田、堀がきっと私達を見送るつもりだろう横並びに並んで居た、親父も同じ方向を見て

「龍之介、お前、永井さんにお金を使わせて缶ジュースをもらったでしょ、御礼を言ったか」

私は自動車の窓のボタンを押して窓を開け店長の横の永井に

「ジュースありがとう」

永井はニコニコしながら

「いえ!いえ!又、来てください、御待ちしてます」












 




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