おでんの分布
味噌、醤油に始まり、日本人の食べ物を加工する知恵には驚くものがある。魚好きの国民が編み出した”ねりもの”。タンパク質やカルシウムが豊富な上、鍋物のだしにもなる優れものだ。
そして、大豆やコンニャクイモから作られる豆腐、コンニャク。古今東西、様々な”種”や”だし”を楽しめるおでんは、鍋料理の天国、日本の中でも注目すべき伝統食品だ。
おでんのルーツは、豆腐やコンニャクの田楽。その歴史は古く、初めて文献に登場するのは室町時代のことである。焼いた豆腐に味噌を塗った田楽のことを宮中の女性たちが隠語として「おでん」(おでんがくの略)と呼び、それが庶民の間に広まったといわれている。
東北地方に汁気たっぷりのおでんが伝わったのは戦後で、東北では今でもおでんを注文すると田楽が出てくることが多い。
サトイモやジャガイモの田楽が郷土料理になっている地域もあり、川魚に味噌を塗って焼いた魚田もうまい。
一方、江戸後期に田楽が醤油で煮込まれるようになり、おでんの原型である”煮込みおでん”が登場。
明治時代には、東京・本郷にあるおでん屋「呑喜」が汁気たっぷりに”改良おでん”を考案し、大正時代には甘辛で濃い口の関東煮が普及した。昭和に入ると、銀座の「一平」が薄味のおでんを提供。行列ができるほどのブームになり、現在の主流である薄味おでんのきっかけを作った。
おでんは関西風や関東風と区別されがちであるが、このようにじつは時代と共に味を変化させてきたのである。
昆布や鰹節のだし、醤油や味噌などの調味料、豆腐や魚を使ったおでん種、季節の野菜。おでんは、和食の要素を凝縮した食べ物なのだ。全国各地に様々な味のおでんがあり、そのどれもが日常の中に溶け込んでいる。

おでんのだしを作る
【材料】(4人分)
水 3リットル
昆布 40cm
鰹節(カツオとサバの混合節) 25g
干ししいたけ 15g
シジミ 1個
塩 小さじ1
【作り方】
@干しシイタケはさっと湯通ししておく。
A鍋に水と昆布を入れて、沸騰したら引き上げる。
B鰹節と干しシイタケを加えて弱火で5分煮る。
Cシジミを入れてさらに5分煮て火を止める。
Dふきんでこしてから塩で味付け。
Eおでん種を入れて弱火で1〜2時間煮込めば出来上がり。おでん種を手作りすると塩分が少なめになるので、味をみて塩を加えるといいだろう。
エスニックおでん
【タレの分量】
ラッキョウの漬け汁 3(ない場合は砂糖と酢1:1で合わせる)
ナンプラー 0.2
カピ(蝦醤) 0.2
おろしニンニク 0.2
オウガラシパウダー 1
コリアンダー、またはアケギなどの薬味 適宜
ライムもしくはレモンの汁 1
コショウ 適宜
【作り方】
@半月切りにしたダイコン(10cm程度)と粗く潰したニンニク2粒を、鶏がらスープ2リットルで30分ほど煮込み、スープのベースを作る。
Aできあがったスープに小さじ1程度のナンプラーを入れてだしは完成。
B好きなおでん種や、肉などを竹串に刺し、また白菜、ネギ、青菜などの野菜も入れて煮上がったところをタレにつけていただく。日本のおでんのように長時間煮込まなくてもおいしくいただける。
【材料】
ねりもの全般、焼き豆腐、厚揚げ、モツ、ハクサ、コンニャク、しらたき、春雨、ネギ、チンゲンサイ、肉団子、エビカニ類などの魚介類
具のつくり方
つみれ
コンニャク
豆腐
さつまあげ、はんぺん、ちくわ
京がんも、サトイモ団子きんちゃく
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