・・・と、題は大きく出てみた(笑)この日記、本編の番外編としてイエローストーンでの釣り日記を作ってみました。イエローストーンは店主がフライフィッシングを始めた25年ほど前(ただし、「歴」は長いもののブランク期間非常に多し(^^;)に、アメリカ、特にそれまで絶対とされてきたヨーロッパのメソッドを根底からひっくり返す「ノーハックルフライ」、「フローティング・ニンフ」、「ハイスピード、ハイライン」などのウェストコーストの斬新なスタイルや用語の紹介と共に知らされた名前で、その時目にしたファイアホール川の川辺で蒸気が沸き立つ中での釣りの写真の印象は強烈でした。

以来強弱はあるもののずっと憧れてきた、自分の中では「フライで鱒釣りをする者が一度は詣でることを憧れる聖地」、として認識されていたのが、ここイエローストーンだったのです。

ところでこういうものって一般に「釣りの記録」、となるのだと思いますが、どうもこの店主の場合「釣れずの記録」に近いものになっている様です(^^;。ですから「コノヤローこんなにオイシイ思いをしやがって許せん」的な部分はありませんので、安心してお読み頂ければと思います(爆)。

では、どうぞ。

8月23日(イエローストーン滞在2日目)
入漁規則っす午前中に観光し、午後になってから当日の宿泊地、オールド・フェイスフル・ガイザー(Old Faithful Geyser)に動き、まずは近くのビジターセンターのパークレンジャーのデスクで入漁証(Fishing Permit)を購入しました。イエローストーン国立公園内では独自の公園用の入魚証が必要で、公園のそれぞれの部分が属する州の入漁証では釣りができません。17歳以上は$10で、10日間有効です。年間パスもあります。また16歳以下は無料ですが、やはり申請して入漁証の交付を受けなければなりません。

ここや公園内のお店などでもらえる入漁規則(Fishing Regulations)を良く見て、規則をきちんと理解します。公園内で許可されているのはルアー/フライフィッシングのみで、それもワームや人工魚卵などの「Artificial Bait」は使用できません。また川や湖、あるいはその特定の水域によっては禁漁であったり釣り方の規制を設けてあります。更に魚種、場所によってキープ数やサイズの制限が細かく定められていますので注意が必要です。加えて公園内の釣りでは鉛を用いる事は一切できません(Non-Toxic Fishing)。ルアー(特にジグなど)、フライのスプリットショット、ウェイテッド・ニンフなど、気をつけなければなりません。代替品として錫(Tin)のウェイトがありますが、公園内の雑貨屋さんにある釣り道具のコーナーでは手に入らず、数日後にウェスト・イエローストーンの街まで出かけて調達してきました。その他にも公園独自の規則がありますので注意が必要です。

さらにここの在来種ではないレイクトラウトが繁殖しており、公園側ではこれを釣った場合は全てキープしてレンジャーに状況を報告して欲しい、と呼び掛けています。その他、公園内、公園外での生態系を崩さない様にする為の諸注意などが規則のパンフレットには書かれています。

むーん・・・なんか固いですね(笑)。規則のパンフレット自体は右上の様なもので、綺麗でなかなか見ごたえがあります・・・ので、ちょっと大きいけど表裏載せちゃおう♪

豊富な虫たち(笑)ファイアホール川さて、キャビンに荷物を置いて、早速近くのファイアホール川(Firehole River)へ様子見に出かけました。流れは全体に穏やかで、深さもこの辺り(:宿泊地周辺)ではおそらく1.5メートル内外、時折浅い瀬が混じるといった感じです。川岸のあちこちには、この川の名前の由来となった温泉群がもくもくと水蒸気を上げています。・・・しかし、どこが良い場所なのか、どんなフライを使って良いのか前情報がない(^^;。虫は豊富な様ではあります。という状態であった為、とりあえず時間も遅かったこともあって、道から眺めて適当な、ウェーディングしなくて済む場所を選んで記念すべきイエローストーン第一投を放ちました。フライは、#16ブルーウィング・オリーブ・パラシュート、自分のパイロットフライの一つです。っと、とたんにライズですっ! 推定体長約10cm(笑)。速すぎて、フライフィッシングブランク丸3年の店主にはとても歯が立ちませんっっっ(笑)。

んで・・・ここと思って流したポイントの殆どで小さいながらライズがあります。魚影はめちゃくちゃ濃い様です。フッキングはしないもののバカバカと飛び出す小魚たちにすっかりおだてられて(笑)この日の1時間は幸せに過ぎたのでした。

本日釣果なし、だがまだ余裕あり(笑)。

 

8月24日(イエローストーン滞在3日目)
大場所♪朝早起きして、ファイアホール川の下流の方を見に行きました。この川は最終的にギボン川(Gibbon River)と合流してマディソン川(Madison River)となるのですが、その手前で落差を大きくし、大岩なども点在する誘惑一杯の相になります。昨日の上流部の、比較的ポイントを把握しにくい流れと違って、こっちの方ならポイントを絞れ込めそうです。早速、昨日実績あり(笑)の#16ブルーウィング・オリーブを6Xに結んで流してみます。
うーむ、期待を裏切らずに、小さいながら嵐の様なライズです。が、反射神経なし(涙)の店主ではフッキングできません。それにしても、これくらいのポイントなら少し大きめの魚が入っていても良さそうなものだけど、と思える所でも小ぶりなライズが続きます。もしかしたらアプローチを全く間違っているのかも、と不安になってきました。この時点ではまた錫のウェイトを持っていなかったので、ニンフ/ウェットフライ類が使えません(;;)。

ひっとぉ〜!日中観光し、夕方からファイアホール川の支流、ニズ・ピアース川(Nez Perce Creek)へ出かけてみました。家内と息子がルアーフィッシングをしたいのですが、ファイアホール川本流はフライフィッシングのみが許可されているのです。レンジャーに確認した所、支流ならルアーフィッシングをしても良いとの事でした。この川はアクセス点のすぐ横に観光スポットがあってそこから橋を渡っていく人が多数おり、ちょっと恥ずかしい(^^;・・・釣れないと特に(笑)・・・がイエローストーンでは衆目の中で釣るのが普通であるのだ、と2日目、3日目には達観していました(笑)。

とりあえず1匹相変わらずの嵐の様なライズの中、流れの中の小さなスポットからやっとの事で22センチのブラウンを引っ張り出しました。あとは電光石火のライズに慣れたのか、10センチ前後(わははは)のレインボーを何匹か。内容はともかく、一応はボウズを免れ一安心です。

本日の釣果 : 5尾・・・位だと思う。

 

8月25日(イエローストーン滞在4日目)
ミュール達-マディソン川にてまたもや朝早起きして、今度はマディソン川へと向かいます。これもフライフィッシャーの間では有名な川です。アクセス点を見つけて、ってか、そこここにパーキングスペースがあるので一つを選んで釣り始めます。しかし、道から見ると手頃そうに見えたポイントも、実際に川に入ってみるとものすごく大きい。背景が雄大である為か、惑わされてしまうのです。更に対岸にはミュール鹿(Mule Deer)の群れが朝日を浴びながら、巨大な断崖をバックドロップに草原をゆっくりと移動している・・・むーん、なんか冗談みたい、これ(笑)。

今回選んだ場所は川が左にカーブしてバンクを作っている所だったのですが、もう川全体がごうごうと流れていてどこにフライを落して良いのやら皆目見当がつきません(^^;。結局岸際の藻穴から20センチのレインボーを釣り上げる事ができました。なんか、場所の割に釣り方と魚が小さいですね〜(笑)。

日中観光し、夕方からファイアホール川の支流、Little Firehole Riverへ出かけます。川幅は10メートルくらいで、ゆっくり目の流れです。家内と息子はルアーを、自分はフライを投げます。ややあって息子のスプーンに25センチのレインボーがヒットしました。しかしフライの方は、今までとは打って変わってさっぱりでした。一応実績のあった(笑)パラシュートに加え、テレストリアル、フローティングニンフ等を使ってみますがだめです。風が強くなってキャスティングが困難になったのを期に引き上げました。

本日の釣果 : 1尾

 

8月26日(イエローストーン滞在5日目)
フライども朝の釣りはせずに早々に宿をチェックアウトして、公園の西の入り口になる街、ウェスト・イエローストーンへと向かいます。ここまで、確かに釣っている時間は短いもののこの釣れ具合のままではちょっとマズイと思い(笑)、錫のウェイトと情報を仕入れに釣り道具店へと行く為です。最初に目に入った「Fishing Tackle」の看板を出した店に入ろうと止まってみると、ありゃ、有名なバド・リリー(Bud Lilly)のショップでありました♪店内で鉛ではないウェイトはあるか、と聞くと、をを、どっさりと有りまする。んで、ついでにこの季節のイエローストーンでのヒットフライを選んでもらいます。ショップのスタッフ、ボブがまず「こいつだ」と選んだのが、全長3cm余りのフォーム製のアントでした(^^;・・・ご丁寧にラバーコードの足が6本、びよんびよんと揺れている(笑)。これじゃクモだ、と思いつつももう何種類か選んでくれと頼むと、グラスホッパー、とロイヤルハンピー、マラブーウーリー、あとはピーコックボディのニンフ(名前忘れた)を渡されました。むぅ、テレストリアルか、と妙に納得してみます

本来はガイデッド・フィッシングが確実なのですが、観光を兼ねている今回は丸1日を釣りに使えないので、ボブにイエローストーンの地図を渡してどの辺りが良いのかマークしてもらいます。

遠くにギボン滝を臨むそれに示されたギボン川(Gibbon River)のギボン滝(Gibbon Falls)下のパーキングエリアから滝までの1キロほどを、午前11時頃からお勧めのアントで釣り始めました。こいつ、着水時には「びたん」という感じで落ちて水飛沫を跳ね上げています(爆笑)。川は日本の大き目の山岳渓流ほどの規模になり、ポイントやスポットも特定し易く、ちょっと気が楽です。

で、ですね〜、このアントなんですが・・・もう冗談の様にストライクがあります、わははははは、笑うしかない。数本のミスの後にまずは25センチのレインボーを獲りました。続いて20センチほどの物を1尾獲ります。段々とこのアントがなくてはならない必殺のフライに見えてくる(苦笑)。

ブラウン〜♪暫く釣り上って行った後、大岩のぶっつけの反対側の瀬脇の沈み石、というポイントで横様にゆっくりとアントを咥えた43センチのブラウンを獲りました。これが今回のイエローストーンでの釣りで最大の1本になります。この辺りはギボン滝の展望台から見下される形で川で釣りをしている姿が見える筈で、いやー、ばらさなくて良かった(笑)。上げるまでに多分3〜4分はかかったと思うのですが、フックを外して緩い流れの中に手を添えて上流を向けて支えてやってみてもなかなか泳ぎだしません。消耗させすぎたか、と思いつつ、多分5分くらいはそうしていたと思いますが、やがてゆっくりと流れの中に帰っていきました。ふぅ。

それにしてもイエローストーンの魚たちは良く走る。ここでは放流は一切行なっていないそうです(:鱒たちも自然のまま、っすよね♪)。だから釣れる魚たちのひれは大きくぴんと張って、とても美しい。

その後、20センチほどのレインボーを釣って滝の直下で切り上げました。

本日の釣果 : 4尾

 

8月27日(イエローストーン滞在6日目)
釣るぜ!今日は公園内でも難しい方に属すると思われるイエローストーン川(Yellowstone River)に挑戦です。ここではルアーが使えるので家内、息子と張り切って早朝に出かけました。朝方はものすごい霧です。視界は20メートルほどだと思います。現在の滞在地のキャニオン・ビレッジ(Canyon Village)から暫く走るとヘイデン谷(Hayden Valley)です。イエローストーン川はこの中も流れていますが、この区域では永年禁猟です。目指すのはその上、イエローストーン湖直下にボブが昨日マークしてくれた辺りです。

深い霧にが立ち込めるヘイデン谷の道路でバッファロー(Buffalo)の大群に遭遇しつつ、一路目的地へ向かいます。それにしてもこの川も大きくて、掴み所がありません。こういう川こそガイドが必要であると実感しました。目星をつけた所で1時間ほど頑張ってみましたが、結局自分が釣っている所に魚が居るのかの自信さえ持てず、観光の為に切り上げました。

ラストチャンス-イエローストーン夕方、わかり易そうな場所を探して再度挑戦です。明日は帰宅の途につきますのでこれが最後のチャンスです。回りにはフライフィッシャーも何人か居て、もしかしたら良いポイントなのかなぁ、などと思いつつ釣り始めます。選んだのは、中州があってその右が瀬になっており、左は細目の速い深い流れとなっている所です。その左の流れに狙いを絞り、まずはアント(笑)を試してみます・・・だめ。次に景気よくウェイトをかませてニンフ・・・だめ。ハンピーもグラスホッパーもだめでした(涙)。助けてくれ、ボブ(笑)。

そこを見切って右手の瀬の方に動きました。うーむ、やはり把握できない(^^;。浮力の強いグラスホッパーをここは、と思う所に比較的ロングキャストで落すのですが、どこも良く、どこも良くなく見えてしまい、いけません。しかもこいつ、キャスト時にくるくると回り、気がつくとリーダーがよれよれです(涙)。2時間ほど頑張りましたがストライクなしでした・・・まぁ、周りでも釣れていなかったから、と自分を納得させてみます(苦笑)。

帰り際になって、ベストのバックポケットにインセクトネットが入っていたのに気付きました。底をかき回してみると、クロマダラカゲロウの幼虫が豊富に入っていました・・・って、やることが遅いって(^^;。

本日釣果なし(涙)。

 

以上が今回の顛末です。一口にイエローストーンといっても川には色々なバリエーションがあり、たとえば山岳渓流的な場所を選べば日本の渓流でのフライフィッシングのノウハウがそのまま活かせそうですし、魚の方もさほどセレクティブでもない様です。今回43センチのブラウンを獲った場所も、大きさ、構成ともに結構平凡なポイントだったんじゃないかな、と思います。が、特に大きな川、ライムストーン・ストリーム的な場所で成功する為には、やはり事前に良く情報を仕入れる、またできればガイドを頼む事が必要だと思いました。

それにしても良い所です。自分がイエローストーンの景観の一部になれている、というだけで満足してしまえます(笑)・・・この「景観の一部」、時にはとても実感できるのです。というのは、川に立ち込んでいるフライフィッシャーは、結構な確率で他の観光客の写真やヴィデオに撮られるのです(笑)。

公園内をあちこちと走っていると至る所に良さそうな川があり、ついつい止まりたくなってしまいます。いつまで釣っても釣り残している様な感じがして・・・心残りは、ここの名物カットスロート・トラウト(Cutthroat Trout)を手にできなかった事です(涙)。

また釣りに来たいなぁ♪

最後に。
もし私が今回の釣りで得た範囲での情報で宜しければ喜んで提供させて頂きます。メールにて御連絡頂ければと思います。また、参考までに使用タックルは下の様なものでした。

ロッド : Scott Power Ply G85-5 8.5ft. #5
リール : Hardy Marquis #5
ライン : Scientific Anglers Ultra3 WF5F
リーダー : 9〜11ft. 5、6、7Xティペット

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