読者の感想
●投稿「20代医師より」その3 2009.07.27
「被害をなくす会について」を読んで
HPに記載された、『レベルの低い単なる嫌がらせとしか思えません。』という言葉は至急削除されるほうがよろしいかと思います。
なぜなら、レベルが低い嫌がらせではなく、医師側から見れば、重要な意味を持っています。
私も医師のサイトを見ることができますので、ここのHPが接待の告発がHPに載った後に、掲載され話題になっていることは知っていました。医師、患者が歩み寄るのが必要で、書かれている内容に対し、『嫌がらせ』という言葉を使うと、歩み寄りとは逆になってしまいます。
私は、一医師として、また、同時に自分自身も医療が招いた後遺症を持つ患者として、 両方が歩み寄り、両方にとって酷くつらい環境となっている医療を、少しでも改善し、医療の避けられない合併症については、お互いが納得できるような体制をつくり、改善し、日本が築きあげてきた、世界一高齢と誇れる医療を存続させ、医療崩壊を少しでも防ぎたいと思っています。
竹下様が書かれていらっしゃる説明を、両方の歩み寄りの言葉に、もう少し変えていただけないでしょうか。
そもそも、このHPが、イメージとして、病院は悪者で、私たちは被害を受けていて、被害を受けられた方、内部告発をみつけたら、報告してくださいというイメージになってしまっていて、医療問題を、患者、医師、その他の人々、などが改善するために、みんなで何をできるか、『医療の合併症または過誤でお困りの方へ&医療事故を減らし、納得のいく医療のために。医療崩壊を防ぐために 私たち・病院側ができること』などの題名に変えるなど、なにか、変更していかないと、医師のサイトから見れば、患者と病院の対立に見えてしまっているということです。
要するに、医師側から見た時、公的病院はとても待遇が悪く、そんな公的病院(○○市立病院など)は、自分自身が医局をやめることになっても、または、医局がその後、医師の補充を出せなくて、その病院が縮小・撤退することになっても、われわれ医師も我慢しないで、そんなつらい病院は、勇気を出してやめましょう。という、労働組合もなく、ただただつらい公立病院で文句を言わずがんばって働いている医師へのススメです。
補足です。
(1) 公立病院で、本当に医師は公務員という立場がふさわしいのか。ということ自体、多くの医師は、本音では、公務員でありたくはないと思っていると思います。
医師の労働環境上、公務員であることのメリットはほとんどありません。また、ずっと公務員である医師は少なく、大部分は医局派遣で、私立や公立などを行き来しているため、特殊な環境にあるとおもいます。
また、公立病院では、私立病院に比べ、事務員・看護師・技師などの給料は高く、退職金も医師の10倍ということもあります。
公立病院では、医師数が少ないため、多忙なことが多いです。
(2) 医療過誤=医療ミス=医療事故のうち医療従事者側等の人的または物的なミス(過失)がある場合をいう言葉である。
医療合併症のうち、医療ミスは、ほんのごく一部の少数であって、
過失や悪意がない、医療合併症は大多数です。HPに記載のある事例も、医療ミスではない合併症であろう事項も記載されています。
ただ、そのグレーゾーンの場合、マスコミは、医療過誤側に記述し、非難をあおることが多いようです。新聞やテレビでは医療ミスと記載されていても、結局は無罪の合併症であり、医療に過失はなかったこともあります。
また、裁判もすべてが正しいわけではなく、なかなか、過失があったかなかったかを立証することも大変な年月と苦労が伴うと思います。
被害という言葉は、医療過誤を意図したいのか、それとも、医療の防ぐことのできない合併症も含めたいのか、とても気になってしまいました。
医療の世界では、医療の合併症と、医療ミスは全く別物ですが、一般の投稿される方や、新聞記者は、どちらか区別がつく前に、一方的に医療ミスと報道されることについて、大変残念で、一生懸命身を削って臨床の場でがんばっていらっしゃる先生方の思いも考えると、やりきれない思いです。
医療合併症について、すべて報告し、検証し、過失の可能性が少しでもあれば、警察に通報するよう義務付けるというように、理想を追い、正義をつらぬくと、常に合併症と隣り合わせの医療という世界では、いつ、自分が警察に連行されるか分からない、ロシアンルーレットのようになり、誰一人として、医療をやりたくなくなり、やる気を失い、モチベーションは下がり、内科や外科、小児科などのメジャー科を志望する若い医師がいなくなり、医療は崩壊していくと思います。
今の医療から、できるだけ防ぐことのできる合併症を減らし、また、過失の起こる頻度を減らすためには、
まず、
1. 労働環境の改善 病院あたりの医師数を増加させる 医師にも労働組合を作る
2. 医師の長時間勤務、36時間徹夜勤務などにメスを入れる (医療事故の原因
にもなっています)
3. 医療者・患者両方が、もっと歩み寄って、どうすれば医療事故が防げるのか、
知恵を出し合い協力する
4. 1・2のためには、医療費を他の先進国の平均レベルまでに増額する
5. 4のためには、道路予算など、他の先進国よりかなり多い予算の削減、
社会保障のための増税
6. 5は不況では難しい??
という、大変困難な壁を乗り越えないと、なかなか改善しないのではと思っています。
医療ミスが起きないほうがおかしいと言われているぐらい、多忙で危険な現場を、なんとか改善してほしいと切に願っています。
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