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投稿「一医師の立場より」その2  2009.03.31

「コミュニケーション不足」
 コミュニケーション不足はやはり大問題ですね。一部医師の資質の問題(人間失格医師)が大きな原因と思います。

 私も某大学病院で患者をモルモット扱いする医者を沢山見ました。ですが、コミュニケーション不足の原因には、医師不足(忙しすぎ)、マスコミの医師バッシングによる先入観(医療不信を煽り立てる)も大きな要因だと思います。医療崩壊関係の本が色々ありますので御一読をお勧めします。

 技量不足なリピーター医師をチェックする公的な認定医、専門医制度を確立すべきです。確か現在50歳台以上の医者は、自動的に(無試験で)認定医をもらっているはずです。制度ができた後に卒業した者は試験を受けています。また、現行の制度では、専門医の資格を持っていなくても、専門的な手術、手技をできます。

「医療崩壊」
 猫の目の様に変わる医療行政のおかげで、多くの病院は赤字に苦しんでいます。

 特に地方自治体の病院は崩壊しています(最近では、銚子市立病院が閉鎖されました)。過労死寸前の激務、不当なバッシングにより「燃え尽きた」病院勤務医が、続々と止めています(夕張市立病院崩壊、北見赤十字病院内科崩壊、鳥取大学救急部全員退職、成田赤十字病院危機、大阪阪南市立病院崩壊、大阪松原市民病院閉鎖、榛原病院危機等、ごく一部の例です)。

 マスコミで「救急患者のたらい回し」とバッシングされていますが、多くの病院では、救急を受け入れる余裕なぞありません。

 私は日本全国色々な地域で、40箇所ほどの病院で当直しましたが、二次救急指定病院でさえ、設備、スタッフとも極めて貧弱で、「助かるか助からないか運次第」の状態だと感じています。医者がいても、設備がなければ何もできません(人工呼吸器さえ無い病院もよくあります;心臓の治療なぞ殆どの病院では不可能です;愕然としてしまいます)。

 また、善意で受け入れて結果が悪いと、「逮捕、起訴」されますので、受け入れたくても受けられないのが現状です。「たらい回し」という表現には非常に頭にきています。

 例を挙げますと、加古川市民病院で、狭心症の患者を善意で引き受け初期治療後、循環器専門病院に転送する前に心筋梗塞で亡くなってしまいました。「何故、心臓カテーテル治療を出来ないのに救急を引き受けたか」という事で民事訴訟になり敗訴。賠償3900万円の判決だったそうです(http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.kobe-np.co.jp/news/kurashi/0001463280.shtml)。

 福島県立大野病院で非常に稀な疾患で出産中に患者さんが亡くなられました。
一人医長として地域のお産を一手に引き受けていた産科医が、逮捕拘留されました
http://www.j-cast.com/2008/08/20025437.html)。
 全国紙で大きく、「また医療ミス」と報道され、この医師は殺人者のように取り扱われました。最近、「不可抗力であった(できるだけの事はやったが残念ながら助けられなかった)」との判決で、無罪となりましたが、全国の医者に与えたショックは大きく、この事件をきっかけに、雪崩をうつように産科医療が崩壊しました。

 最近の「東京妊婦脳出血死亡事例」のごとく訴訟になるリスク患者を誰も引き受けなくなりつつあります。体制の不備とか色々言われていますが、本音は「引き受けたくない」という事だったろうと推測します。

 麻酔科も崩壊しています、最近、国立がんセンターで麻酔科医が半分退職しました
http://www.asahi.com/national/update/0403/TKY200804030135.html)。
 麻酔常勤医が定数どおりいる病院なぞ殆どありません。多くの病院で、非常勤医(バイト医者)や外科医が麻酔をかけています。県の中央病院でも殆どの症例は研修医が麻酔を担当します(少ないスタッフがバックアップしますが)。

「海外の例」
 海外の例を具体的にご紹介します。

 米国では、2007年度で、およそ4600万人が無保険でした。実に65歳以下の人口の約18%が無保険です。2006年度では、65歳以下の人口の内、約9000万人(約3人に一人)が、保険でカバーされない医療費を払いました(保険に加入していても、保険会社が支払いを拒否するケースが多いのです)。また、元々の持病に対しては、保険会社は最初から支払いを拒否します(preexisting conditionと呼ばれます)。18-24歳の人口では、実におよそ1/3が無保険です。

 日本では有り得ないと思いますが、無保険家庭の80%が職を持っています。70%は共稼ぎにもかかわらず保険料を払えませんでした。小さな会社では、自己負担が大きく、平均保険料は、月額11万円にもなります。2007年度では、3700万人の労働者が保険料を払えませんでした。無保険者の内、約40%の家庭では年収が500万円以上有るにもかかわらず保険料を払えませんでした。

 イギリスでは、まず家庭医を受診しないと病院、専門医を受診できません。ちょっとした急病で家庭医を受診したくても、予約制で数日待ちはざらです。CT,MRI等の検査や手術は、それこそ半年〜2年待ちで、待っている間に病気が悪化して亡くなる例も結構あるそうです。心臓発作をおこしても、カテーテル治療やバイパス術は、平均寿命+3歳以上ですと受ける事すらできません!

 カナダもイギリスと同様です。さらにひどい事に、米国ですら6ヶ月間投与される事が認められている薬でも1月分しか処方されない事もよくあります。

「思い」
 
殆どの日本の医者は、「医は仁術」の哲学で身を粉にして働いています。一部の不心得者の成した事がマスコミで針小棒大に報道され、医療不信のプロパガンダが繰り広げられているのが私には残念でなりません。日本の医療がいかに恵まれているかも考えて欲しいのです。勿論、このサイトで被害を報告されている患者さんとご家族が、不心得者の犠牲者となってしまった事はよく解りましたし、本当にお気の毒で、民事訴訟を含め納得のいく解決策を追求されるのは当然です。

 ただ、良質の医者を育て、患者さんとじっくり対話ができる環境を整える為には、現在の医学教育、医療状況では難しいものがあると思います。

 しかし、今こそ医療側と患者側が協力して厚労省、政府と戦わねば、日本の医療は完全に崩壊してしまうと思います。

 恐ろしく高い保険料を払っても病院に行けなくなる日がすぐそこまで迫っています。



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